【ワンウェイトーン塗り】

【塗装方法の解説】

 本サイトの作品において、主に操縦室内部や外部から見える主脚格納部等に用いている塗装方法で、下地シャドー色の低明度色(暗色)の上へ、高明度色+彩色(清色)を入射光の照射の如く吹付けて塗装することから、暗清色照射塗法(ワンウェイトーン塗り)と称しています。
 概要は、溶剤系アクリル塗料(ラッカー系塗料)のビン生色を用い、まず全体に「陰影」となる黒系色(暗色)をエアブラシにて均一に吹いた後、白系色(清色/下地)を操縦室等の機体内部へ自然光が入射(機体下面は地面等からの反射)する方向を意識し、一方向から吹付けることで塗装による人工的な陰影をつくり、これをベースに仕上げ色(清色)を全体的にコーティング吹きすることで立体感の強調を図っています。
 また、光の性質の一つに回折現象(平行に進行する光が障害物に出会ったとき、障害物の裏側(影の部分)に回り込む)現象)があります。大きな物体であれば、この影響は少なく陰影は濃いままですが、小さな物体の場合は、この影響により陰影が薄くなる傾向があります。一般に人はこの現象によりスケール感を得て対象物サイズの大小を判別し認識しています。これを逆手に取り人工的に強目に陰影を塗装にて表現することで、小さいながらも疑似的な実機同様のスケール感を生み出す効果も意図しています。

一方向から強い光を照射すると強い陰影が生じ、この強い陰影によって小さい物を大きい物に見せる錯覚効果を期待することが出来る。

【塗装方法の手順】

手順の解説は、ハセガワ製1/48川西 局地戦闘機「紫電改“前期型”」での操縦室の基本塗装を作例に順次行っていきます。尚、計器盤類のモールドは、別売りエッチングパーツを使うため事前に削り取り処理を行っています。また、シートベルトは、キットのモールドを削り取り、別売りアフターパーツを追加しています。

塗装前の下地

対象物が小さいサイズなので、室内照明の光では陰影がハッキリしないため、写真であっても「小さい物」と直ぐに判別できてしまう。

準備として、後の塗装工程や作業の段取りを考慮し、可能な限り小物パーツは各部へ組立て接着して置きます。上写真の例では、操縦席とその背面パネルとは接着してありますが、背面パネルと床パネルとは未接着としています。

暗色(黒系色/シャドー色)の下地塗装

各部パーツで黒系色(シャドー色)の塗り残しが無いように十分確認して下さい。

まず、全体にシャドー色として黒系色を満遍なく吹き、陰影部分のベース色とします。
因みに今回作例で使用した黒系色(シャドー色)は、Mr.カラー:セミグロスブラック(C92)です。

清色下地(白系色)の塗装

次に、清色の発色下地として白系色を操縦室の上方向から、照射光の如く一方方向に吹き陰影を作ります。この時、陰影が強く付き過ぎるので、光の回析現象を反映・考慮し若干方向をズラし前後左右に振って吹くことで調整し、先の黒系色(シャドー色)がやや薄っすらと残るようグラデーションを付けます。
ポイントとして、エアブラシのノズルは絞らずやや開放気味に設定し、20cm程度離したところから吹いて薄く広範囲に塗装する加減で、様子を見ながらやり過ぎないように注意します。
因みに今回作例で使用した白系色(照射光色)は、Mr.カラー:クールホワイト(GX1)です。

清色(仕上げ色)の塗装

最後に、清色(彩色)として仕上げ色の塗装となります。先の工程で構築した陰影(白・黒色系グラデーション下地)を活かし、これをベースに全体的に着色コーティングします。ポイントとして、塗料はやや薄目に溶いたものを使用し、アブラシのノズルは開放気味に設定し、20cm程度離したところから全面(白い部分も黒い部分も)薄く広範囲に吹き塗装します。この時、やり過ぎて明暗感が無くならない様に注意します。
因みに今回作例で使用した清色(仕上げ色)は、Mr.カラー:コクピット色/川西系(C384)です。

以上

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