【エアブラシ・アルコール落とし法】~排気ノズル内の焼け表現~

塗装方法の解説

 AFV模型界では、もはやトレンド?となっているウエザリング法で埃汚れを表現する「アルコール落とし法」を応用・転用し、航空機模型における特にジェット機の排気ノズル内で金属が高温にさらされて白く焼けた状態を再現します。「エアブラシ・アルコール落とし法」について簡単に説明すると、溶剤系塗料の基本塗装の上にアクリル水性塗料を塗布後、その上に無水アルコールを吹いて塗膜表面を荒らすと共に、アルコールが揮発する前にエアのみで吹くことで塗膜を白化させる現象を利用しウエザリング表現として活用する技法です。

塗装方法の手順

 手順の解説は、ハセガワ製1/48三菱F-2Bでの排気ノズルの塗装を作例に順次行っていきます。尚、排気ノズルはキット・パーツは使用せず、ディテールアップのため市販アフターパーツのレジンキット(RESKIT 三菱F-2用)を使用し置き換えていますが、キットパーツと比べて基本的なパーツ構成は同じなので、キットのモールドのある可変式ノズル(アイリス板付)部分へ使用しても効果的です。

本レジンキットの部位構成は大きく分けて、エンジン部、排気筒部、可変式ノズル(アイリス板付)部の3つエンジン部は更に4つのパーツで構成されています。レジン剥離剤の除去液に浸し乾燥後、プライマー吹きにて塗装下地をつくります。

 まず、エンジン部の塗装について、各パーツにシャドウ色として、黒色(Mr.カラー:ウィノーブラック(GX2))を全体に吹きます。次に金属焼けベース色として、濃茶系色(Mr.カラー:レッドブラウン(C41))を外周部に、明茶系色(ガイアカラー:オキサイドレッド(No.222))を中心部に吹きます。尚、エッチングパーツのみアクセント色として、メタリック色(Mr.カラー:スーパーゴールド2(SM202))を吹きます。更にハイライト色として、中央突起部にメタリック色(Mr.カラー:焼鉄色(C61)と同カラー:スーパーゴールド2(SM202))を吹いて基本塗装を完了します。

 
 次に「エアブラシ・アルコール落とし法」によるウエザリング塗装の解説をいたします。まず、各パーツに水性アクリル塗料にて、焼色1(タミヤカラー:デザートイエロー(XF59)と同カラー:レッドブラウン(XF64)の1:1混色)を溶剤と水で希釈(1:1:2)して、スポット吹きにて濃淡でできる様に全体に吹きます。次に焼色2(タミヤカラー:デザートイエロー(XF59))を溶剤と水で希釈(1:1:2)して、焼色1の上に重ねて同様にスポット吹きにて濃淡でできる様に全体に吹きます。ただし、本作品では一番手前に見える王冠状パーツについてのみ、当該部分の実機写真を見ると青緑色に焼けた金属なので、焼色1を焼色3(タミヤカラー:フィールドグレイ(XF65)と同カラー:ミディアムブルー(XF18)の1:1混色)に、焼色2を焼色4(タミヤカラー:フィールドグレイ(XF65))に変えています。各焼色が乾燥したら、ダブルアクションのエアブラシを用いて、無水アルコールを吹いてアルコールが揮発する前にエアのみで吹くことをスポット的に全体に行い、ランダムに塗膜を白化させて完了です。

 排気筒部の塗装について、各パーツにシャドウ色として、黒色(Mr.カラー:ウィノーブラック(GX2))を全体に吹きます。次に金属焼け色として、白色(Mr.カラー:つや消しホワイト(C62))を排気出口からエンジン方向へ一方吹き、基本塗装を完了します。

 次は「 エアブラシ・アルコール落とし法 」によるウエザリング塗装で、各パーツに水性アクリル塗料にて、同様に排気出口からエンジン方向へ一方吹きにて、焼色1(タミヤカラー:デザートイエロー(XF59)と同カラー:レッドブラウン(XF64)の1:1混色)を溶剤と水で希釈(1:2)して、スポット吹きにて濃淡でできる様に全体に吹きます。次も同様に焼色2(タミヤカラー:デザートイエロー(XF59))を溶剤と水で希釈(1:2)して、焼色1の上に重ねて同様にスポット吹きにて濃淡でできる様に全体に吹きます。各焼色が乾燥したら、エンジン部と同様に無水アルコールを吹いてアルコールが揮発する前にエアのみで吹くことをスポット的に全体に行い、ランダムに塗膜を白化させるのですが、部分的にエアブラシを近づけて集中してアルコールを吹くことで当該部分の水性アクリル塗料を溶かし出して下地色(白色)を露出させると実機の様にリアルになります。この後は、タミヤウエザリングマスター(Bセット)の「スス」を用いて実機写真を見本にスス汚れを入れます。これにて全てのウエザリング作業は完了です。

 参考までに、可変式排気ノズル(アイリス板付)部の塗装について説明します。まず、アイリス板の可動部分にグレー色(Mr.カラー:ジャーマングレイ“グラウ”(No.514))を吹きマスキング後、全体に基本色(Mr.カラー:スーパーチタン2(SM205))を吹きます。更にアイリス板の矩形モールドに沿ってラインマスキングを行い、アクセント色(Mr.カラー:スーパーアイアン2(SM203))を吹きます。また、基部のキットパーツの塗装は黒系メタリック色(Mr.カラー:GXメタルブラック(GX201))を全体に吹き、マスキング後、可変式排気ノズルとの見切りリングにシルバー色(Mr.カラー:スーパーシルバー(C159))を吹きます。

排気ノズル部分の完成後、機体本体へ組み込んだ状態。(上写真)

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