【リベット打ち工作の勘どころ】

使用する工具

 まず初めに、当サイトの作品製作において、リベット作業に使用している主なツールを紹介します。海外製品のため入手が困難なものもあるかと思いますが、同等品でも代用可能ですので参考程度として下さい。

ビンディングツール(玉繰り)

 上の写真は、 ビンディングツール(玉繰り)とも呼ばれ、本来は革細工や彫金細工に使われていた工具で、飛行機プラモデルでの小さな◎形のリベット形状を彫刻する工具です。パンチの先端には半球状のへこみになっており、材料に押し付ける事で簡単に小さな◎形を彫刻できますので、番手に応じて色々な大きさでリベット打ちツールの先端としても使えます。このツールは、リベット打ち作業で次のMr.リベットマーキングの先に装着して使用します。

GSIクレオス Gツール Mr.リベットマーキング ホビー用工具 GT70

 上の写真は、GSIクレオスから発売されているリベット打ちツールで、本体を押し下げると先端が回転するので、強く押し込まなくてもシャープで均一な◎形のリベットを作ることができます。先端部分は付属するレンチで簡単に交換できます(先端径:0.25φ、0.45φ、0.60φの三種類が付属)。このツールは、 ビンディングツール(玉繰り)を先に装着し、リベット打ち作業においてメインに用いて手打ちで行います。

リベットルーラー Z63 Riveter

 上の写真は、海外メーカーのSBS MODEL(エスビーエスモデル)から発売されているリベット打ちツール(リベットルーラー)で、 先端が歯車状になっており転がすだけで簡単に等間隔の・形のリベットを作ることができます。 機体の入隅部(例えば主翼~胴体部のフィレット部)の奥まで届く様に歯車の径は小さい方が良いので、他社の同等品ではこの点に注意が必要です。因みに把手に刻印されている適用スケールはあくまで目安です(参考 1/32のピッチ:約0.8mm 1/48のピッチ:約0.6mm)。このツールは、リベットを打つ位置やピッチ(間隔)の当りを付ける目安用で使用します。

製図用の塩ビ製テンプレート

 上の写真は、製図用に市販されている塩ビ製のテンプレートです。比較的曲がり易くて機体曲面になじむのでシャーペンで線を引き易く、また小振りなので取り回しが良いです。更に半透明なのでキット表面のスジボリやモールドが視認できて便利です。このツールは、リベット下書きラインをシャーペンで線を引く際の定規に使用します。

製図用コンパス

 上の写真は、製図用に市販されているコンパスです。鉛筆芯部をコンパスシャープに付け替える事が可能なアジャスタ付きで細い線を引くことが出来ます( コンパスシャープは0.3mmで芯は2Bを使用)。このツールは、円を描くのでなく凹スジ彫りモールド部分に針を入れ滑らせて、スジ彫りラインと平行したリベット下書きラインを引く際に使用します。

市販の製図用シャープペンシル

 上の写真は、製図用に市販されているシャープペンシルです(芯径は0.3mmで芯は2Bを使用)。このツールは、リベット下書きラインを引く際に使用します。

トンボ鉛筆 消しゴム MONO モノゼロ 丸型

 上の写真は、トンボ鉛筆から発売されている製図用のペンタイプ高性能極細消しゴム 「MONO zero/モノゼロ」で、先端部が細いので消したいところをピンポイントで消せるので、精密な作業も容易に向いています。シャープペンシルの様にノック式で先端の消しゴムが出て、微調整可能で折れにくく、消しやすいです。このツールは、間違ったリベット下書きラインをピンポイントで消す際に使用します。

リベット打ち作業手順

 手順の解説は、ハセガワ製1/48川西 紫電改「前期型」を作例に順次行っていきます。尚、リベット打ちは、ビンディングツール(玉繰り)を用いた手打ちにて行います。このツールを使うことで多くの大戦機で使用された枕頭リベットを◎状表現できます。実機の戦闘機に使われた枕頭リベット径は概ね10mmΦ程度と仮定すると10mmΦ÷48=0.203mmΦ・・・なので、ツール番手は0番(0.25Φ)を使用します。
 作業手順は、①市販の詳細図面集を参照しリベットラインをシャーペンにてキットへ写します。②次に写したライン上へビンディングツールを使用しリベット打ちを行います。③最後にビンディングツールでプラ面を打つと、凹んだ分その周囲が盛り上がりますので、スポンジヤスリ等で表面を均します。
【①作業の留意点】
・事前にサフェーサーを吹くのは表面キズの有無確認も兼ねて、リベット作業時のシャープペンで引く鉛筆ラインを明瞭化し、かつ比較的に指で触っても落ちにくい様にする目的から行っています。因みに使用したサフェーサーは、ガイアノーツのサーフェーサーエヴォシルバーです。
・リベットラインは、正確に引く必要がありますので、比較的柔軟性がある塩ビ系の定規やコンパス等を使って、等分割線、並行線や垂直線を丁寧に写します。
【②作業の留意点】
・リベット打ちの“キモ”は、リベットラインの「直線性」とリベットピッチの「均等性」です。前者の「直進性」は①作業で正確にライン引きできて、正しくライン上にリベットが打てれば担保できます。後者の「均等性」については、市販のリベットルーラーをライン上に軽く転がして当りを付け目安とすることで調整できます。
・ビンディングツールでリベット打ちをする際は、ツールの先がラインに乗っていてもプラ面が柔らかいので力の方向に微妙にズレてしまいます。よって出来るだけ面に対して垂直に打つ様にする必要があります。また、力を入れ過ぎて使用すると打ち抜いたり、接着部分が割れたりしますので、力加減を常に注意することが肝要です。
【③作業の留意点】
・スポンジヤスリ等で表面を均しの際は、やり過ぎると折角打ったリベットまで消えてしまうので注意が必要です。特に角状部分にはヤスリ面が強く当りますので様子を見ながら作業を進めることが肝要です。尚、消えてしまったリベットは、再度リベット打ちにて復活させます。

 シャーペンでのリベットライン写しは、機体を構成する部分毎に分けて行いリベット打ち作業を進めます。一般に日本軍戦闘機は製造工場に隣接した飛行場が無いことが多かったので、機体を分割して運搬する必要性があったため大きく機首カウリング(発動機)部分、主翼を含む機体胴体の前部、及び尾翼を含む機体胴体の後部に分離可能な構造となっていました。この分割ラインに加えて工場内の製作上で発生する分割ラインがありますので、市販の詳細図面集を参照してそれぞれの部位を見極めます。
 上の写真は機体胴体のリベット打ち作業が完了し、主翼部分のリベットライン写しが完了した状態。下の写真は主翼のリベット打ち作業が完了し、仕上り確認のためリベットライン写しを消しゴムで除去した状態。この後、機体全体にスポンジヤスリをかける工程:表面均し作業に移ります。

  下の写真はリベット打ち作業が完了したフラップ。尚、表面均し作業でサフェーサーはほとんど取れてしまいますが、リベット・モールドが埋まってしまうリスクを避けるため再度のサフェーサー吹きは行いません。

 残りの部分も作業完了。この後、仕上げ塗装工程の前に再度全てのパーツを超音波洗浄器に入れて、パネル・ラインやリベット・モールドに残っているプラ粉の除去と同時にパーツの油脂等の洗浄を行います。

 リベット打ち工程が完了したら水平尾翼を機体に接着。「士」の字の形にして塗装工程に入ります。

Fine

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