黒染め法の解説
市販アフターパーツでは、真鍮製の銃器(機銃や機関砲)等が販売されています。そして、それらの商品のほとんどは、実物そのままの細部に渡るディテールが再現されています。これを塗装で仕上げると折角のディテールが、塗膜厚で減じたり、埋まったりして残念な仕上りになるケースがあります。そこで、専用の薬品による化学変化で真鍮の黒染めを用いて黒染鉄が鈍く光るリアルな「銃」の仕上り感となる様、私が常用している方法を紹介してみたいと思います。
黒染め法の手順
今回サンプルとするのは、1/32スケールの機首のホ103一式12.7mm機関砲の市販アフターパーツ(真鍮製)です。尚、本製品は2重構造となっていますので、それぞれの黒染めを終えてから、組立てて仕上げます。
今回使用する黒染め液は、バーチウッド社製の真鍮用黒染め液です。因みに現在(2023年)、この商品は国内輸入されておらず、入手困難になっています。ですので、他メーカーの真鍮用黒染め液で代用することになりますが、黒染め効能については、メーカー毎に事前テストして確認する必要がありますので、注意が必要です。
作業前の準備として、陶製の小皿(金属製の小皿そ使用すると変色反応します)に真鍮用黒染め液を適量小出しします。
次に陶製の小皿に小出しした真鍮用黒染め液に真鍮パーツを浸しますが、事前に真鍮パーツは溶剤やヤスリ等で脱脂と表面汚れを除去しておきます。真鍮パーツは、満遍なく黒染め液に浸るように上下を入れ替える様にする等、十数秒間浸すと表面が黒くなります。
浸した真鍮パーツの全体は黒く変色したら、ティッシュ等を液吸い取り紙にして、黒染め液から取り出し乾燥させます。
黒染め後、乾燥した状態の真鍮パーツです。筒状のパーツは内部まで黒染めされています。尚、このままだと強い艶消し黒色なので、銃器感がありません。続いて仕上り調整を行います。
仕上り調整の作業には、小平筆を使います。先の黒染め液を小平筆に含ませて、黒染め後の真鍮パーツに再度塗り付けた後、黒染め液が乾く前に、その筆で今度は真鍮パーツに塗った黒染め液を拭うようにして数回塗り延ばしてから真鍮パーツを乾燥させます。そうすると、下写真左の様な黒味が少し落ちて鉄が熱焼けした風な仕上りになります。因みに下写真右は、黒染め後で仕上り調整前の状態です。
下写真は、機首のホ103一式12.7mm機関砲の仕上り調整が完了した状態です。この後、組立ててから、黒染め仕上げの定着用にラッカー系でクリアーコートして作業完了です。このクリアーコートですが、艶を調整してやることで、新品状態(光沢コート)、使用感のある状態(半艶コート)、廃棄された状態(艶消しコート)を表現することが出来るかと思います。
以上