航空自衛隊 第21飛行隊 航空自衛隊創設50周年記念塗装機
2004年 松島基地
◆作品概要◆
【キットメーカー】ハセガワ
【スケール】1/48
【機種タイプ】三菱 F-2B
【作品の完成】2021年09月
【外装工作】
・全面のスジ彫直し、全面のビス、クイックファスナー打ち直し。
・主脚ブレーキホース、放電索(細テグス)の追加。
・アフター部品(ピトー管、AOAトランスリミッター、主脚収容室、排気ノズル、
スピードブレーキ)置換え。
【内装工作】
・キャノピー内部のディテールアップ。
・キャノピー開閉用の作動アクチュエーター部分のディテールアップ。
・アフター部品(コクピットパネル、座席シート、シートベルト、バックミラー)置換えと追加。
【塗装全般】
・本体塗装は基本迷彩を多重グラデーション法(カスケード塗り)により塗色。
・機体全体の退色と汚れを油彩絵具にてウエザリング。
・ウォークウェイ、垂直尾翼のフィンバンドは塗装、その他はデカール(アフター品)を使用。
※工作内容の詳細は、製作記をご参照下さい。(本ページ末にリンクあり)
国産戦闘機F-1の後継機として、F-2はアメリカ空軍のF16C/D(ブロック40)を下敷きに日米の新技術を取り入れて開発され、1995年に試作機が初飛行しました。ヴァリエーションとして、単座仕様のAタイプと複座仕様のBタイプがあります。
F-2の任務は支援戦闘機として、領海侵攻する敵性艦艇の迎撃、及び国土上陸を許してしまった場合での敵性地上部隊を攻撃することです。また、脅威となる敵性航空機の邀撃も行う。このため、対空・対艦・対地任務に対応すべく、配備当初から多種多様な兵器を搭載出来る様になっています。
この様な万能戦闘機として誕生したF-2ですが、初飛行から四半世紀が経つ現在でも第一線で活躍しています。これは時代に合わせて能力向上を図るべく、兵装やセンサー類の先進技術を取入れてアップグレード改修をたゆまなく続けてきたためです。カテゴリ的にも4.5世代戦闘機のポジションを維持しています。
アップグレード改修として最初に追加された新兵器は、2009年度から開始されたGPSにて誘導可能な爆弾/JDAM(ジェイダム:統合直接攻撃弾)の搭載改修です。これは指定座標へピンポイント攻撃できる誘導兵器で、改修機体にはコクピット後方にGPSアンテナを設置されています。
2013年度にはJDAMにレーザー誘導装置が追加されたレーザーJDAM(LJDAM)の実装改修が行われました。これは移動する車両の様な予め正確な座標セットができない目標に対しての誘導方式で、爆弾投下母機や僚機、若しくは陸上自衛隊の地上部隊(火力誘導班)等がレーザー誘導を行います。
2010年度には、 新型の中距離空対空ミサイル /AAM-4(99式空対空誘導弾)を搭載できるようにする改修が実施されました。これは当初装備AIM-7の後継として開発された国産ミサイルで、ミサイル自体にレーダーが搭載されている「アクティブ」レーダー誘導方式となっています。
2011年には通信システムの進化改修となる「自衛隊デジタル通信システム(戦闘機搭載用)=JDCS(F)」という新たなデータリンク装置の搭載が行われました。これは編隊内だけでなく、他の編隊や防空指令所との情報共有も可能とするものとなっています。
その他、将来国内での戦闘機開発に向けた技術研究として、2021年度には敵の位置を特定する3次元高精度方位探知システム、2018年にはステルス戦闘機への対策としてレーダーと赤外線で捜索する先進統合センサ・システムの実装実験が行われています。
F-2BタイプにおけるAタイプとの外観上の違いは、主に複座化に伴うコクピット廻りの変更点と統合電子戦システム(IEWS)の装備内容の違いによる部分となっています。
この複座化の改修では、後部席の増設により後部まで大きく膨らみ大型化したキャノピー形状を納めるために周囲の外板の形状変更やアレンジ調整がされました。
もう一つの相違点である統合電子戦システム(IEWS)の装備内容では、後部席を設けたためスペースの都合でシステム構成の機能内でECMに関する部分が削除されており、これに伴いインテーク左右と右下に設置されていたアンテナ、ドラッグシュート格納部の上方側面にあるアンテナがオミットされています。
また、Aタイプのコクピット直後に搭載されていたと考えられるECM関連機材のオミットにより、右ストレーキ上に設置されていた空調用のアウトレットが無いことと、機首両側面に設置されている脅威警戒用と考えられているナマコ形アンテナの塗装(A:黒色、B:機体色)が異なっています。
松島基地をホームベースとする第21飛行隊は、航空自衛隊のパイロット養成部隊で1982年~95年ではT-2による曲芸飛行チーム「ブルーインパルス」を担当していました。尚、当飛行隊へのF-2Bの初配備は2002年4月1日で2機の到着をもって編成されています。
その後18機まで配備されますが、2011年の東日本大震災による巨大津波で全機を失い、一時、第3、第8飛行隊のF-2Bを借用して三沢基地へ移動して任務を継続していました。
水没にて使用不可となった18機の内、修理不能の5機は廃棄処分となり、残る13機は三菱重工にて再生修理され2015年2月16日に再生1号機が小牧で進空し同年4月21日に航空自衛隊へ納入となりました。
当飛行隊は、2016年3月20日に三沢基地から松島基地へ帰還しましたが、この時点でのF-2Bの保有機数は10機(再生機:6機+他隊移籍機:4機)でした。因みに本作品の33-8119号機は再生11号機として喪失を免れ現役復帰を果たしています。尚、再生最終号機の引渡しは2018年2月28日。
本作品を作り終えての感想ですが、近代ジェット戦闘機は前世界大戦期の戦闘機と違い機体の構造や材質の進歩によりリベット・モールド等を再現する必要が無い分、工作は比較的に楽でしたがステンシル・デカールを貼る量が非常に多く結果、トータル作業(時間)量は変わらない様に感じました。普段は前世界大戦期の飛行機で特に戦闘機を好んで模型製作しており、少々味の薄いと感じる近代ジェット機ですが航空自衛隊の戦闘機は格別と感じる今日この頃です。(これを契機に別機種にて追チャレンジするかも?)
Fine
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