2024/07/31 徒然コラム#06

徒然コラム

飛行機模型の製作作業の得手不得手考 ~工作派と塗装派の行き着くトコロ~

 当サイトの主が、模型製作を通じて感じた事や気付いた事等について、思いつくままに書き綴る「徒然コラム」。第6弾のお題は「飛行機模型の製作作業の得手不得手考」です。今回もお付き合いの程よろしくお願いします。一般に模型製作を進めるにあたり、必要な技術となるのは、各パーツを組み立てて形作って行く技術である工作術と、実物と同じく各部や全体を美しく色づける塗装術ですね。これらの技術は、模型製作をする上で一方が不十分であると魅力的作品を作り上げることが出来なくなります。

 昔にリリースされたキットは、簡易キットや部品数を極力減らしたビギナー向けのキットが主流で、これをベースに中上級モデラーがディテール・アップして仕上げることで、その時代でのニーズを一応満足していましたが、今日ではモデラー人口の増加や模型ジャンルの多様化が進むと共に、時代のニーズのハードルも上がり、より精密なキットが求められるようになりました。これにより。最近のリリースされるキットは、組立て易く配慮されていたり、細部まで再現されていたりと良質のモノが多くなってきました。また、ネット環境の進歩により、情報が得易くなると共にモデラーの知識が向上し、更なるディテール・アップの追求が進むことになりました。そんな中で、模型製作における詳細資料やアフターパーツも豊富に手に入る時代となりました、また、塗料も近年は色数が豊富になり、加えて性能も格段と良い品が開発され流通していますので、無理にディテール・アップしなくても、良いキットを選んで塗装を主体とするだけでも完成度の高い作品を作り上げることが出来るようになりました。

 この様な模型業界の進化が進む中で、モデラーの製作作業の得手不得手の傾向は、大きく二つのグループに分かれて来たと考えられます。一つ目は、各部のパーツにディテールを施して実機さながらの細部を再現してリアルを求める「工作派」グループ、二つ目は、各部の塗装工程を工夫して実機さながらの平滑な塗装仕上り、退色感や汚れ感を再現してリアルを求める「塗装派」グループです。そして、それぞれの特色・傾向として、「工作派」モデラーは、細かい模型製作が得意ですが、塗装はあんまり得意ではないと自覚されており、「塗装派」モデラーは、その逆の自覚をされている様に考えます。更にこの問題の解決を難しくしている要因は、「工作派」モデラーは、構造解析に基づくメカニック的な視点や実機情報を非常に長きに渡って深くリサーチされており、「塗装派」モデラーが少々勉強しても簡単にその境地には辿りつけない状況に並行して、「塗装派」モデラーは、絵画的な非常に優れた観察眼を持って作業工程での試行錯誤のフィードバックが豊で、「工作派」モデラーが少々練習しようとも、その経験知識は簡単には得られない状況にあることが考えられます。

 特に飛行機模型は、操縦室内を先に仕上げないと機体内に組み込めない等、工作しながら部分塗装をすると行った工程を繰り返しながら製作を進めて行きますので、工作と塗装との工程を適切に行わないと、手戻り作業が生じて汚れてしまったり、パーツの付け忘れや塗り忘れと言った残念な仕上りになってしまいます。この辺当たりがスムーズに作業できるようになれば、ビギナーの卒業でしょうか。しかし、人間というものは探求心が深いので、いつしか組立説明書の通りに色を塗って組み立てた完成品では満足できなくなってきます。つまり、よりリアルな模型を求めて、これを実現する技術の習得を求めることになりますが、ご自身の傾向を観察しつつ、工作術と塗装術、片方のみの練度を上げても、もう片方の練度を上げない限りお互いが足を引っ張る事になり最終的に作品の完成仕上りは、あるレベルで頭打ちになる様に考えます。この観点で、このコラムの結論として「工作技術と塗装技術は、模型製作の両輪の如く、常に意識してそれぞれをバランスよく習得することで、完成度の高い作品を作り続けることが出来る」という考えを提言致します。如何でしょうか・・・。

以上

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