ハセガワから特別仕様キットとリリースされている、三菱A6M1十二試艦上戦闘機の製作解説です。1号機と2号機のどちらかを選択して製作することができますが、今回は2機分のキットを使用して、1号機(初飛行時)と2号機(軍納入時)の違い意識しながら改修を加え製作してみたいと思っています。尚、ハセガワ1/48零戦と共通する改修は、下記の記事をご覧下さい。
1号機の仕上げ工程
前回で2号機が先行して完成しましたので、続いて1号機の仕上げ工程に移ります。機体に部分突起物を先付けしますので、破損しない様に模型飛行機用の製作スタンドを導入しています。

試作2号機と同じくキットでは省略されている操縦室内への空気取入れ口を凹モールドにて再現します。(赤丸部分)形状は、1号機、2号機共通で、初期型に見られる楕円形の開口。

十二試艦戦(1号機、2号機)のみに設けられた主翼上面の点検パネル。(赤丸部分)主翼20mm機銃の弾道調整に腔軸を通視する「のぞき窓」として使用されたとのこと。因みに、この点検パネル、A6M2(11型:3号機以降)では設置されなくなります。

初飛行時の1号機は、設計通りで補助翼長さは実機で約2.9mなので、キットの補助翼長さを縮める修正を行う必要があります。丁度、翼端部パネルラインと主翼桁接合部付近のパネルラインに揃います。(赤丸部分)

補助翼の長さ改修に合わせてフラップの長さの延長改修(実機で約1.8m)を行います。(左赤丸部分)また、キットの主翼パーツは、21型ベースとなっているので、翼端折畳み機構のモールドを埋め、パネルモールドを追加します。(右赤丸部分)

第1、3風防を機体に接着し、ガラス部分をマスキング。あと、操縦室内、翼端灯類、防火壁スリット等にマスキングを行い、塗装準備完了です。

機体本体の塗装仕上げの工程
塗装工程の解説です。2号機同様、先ずは下地チェックを兼ねて、全体にグロス・ブラックを塗装します。下地表面の不陸部分やキズは塗装艶により見つけやすいので、発見次第に修正を行います。

続いて、国籍章、歩行禁止ライン、及び燃料給油ハッチの塗装の下塗りのため、フィニシャーズカラーのファンデーション・ピンクを塗装します。

下塗りが乾いたら、フィニシャーズカラーのディープ・レッドで国籍章、歩行禁止ライン、及び燃料給油ハッチを塗装します。

塗装が乾いたら、国籍章、歩行禁止ライン、及び燃料給油ハッチをマスキングします。因みに、1号機の初飛行時は、垂直尾翼に機体記号の表示が無かったとのことで、オミットしています。

マスキングが完了したら、下地シャドー色として、全体にガイヤカラーNo.212(緑色)を塗装します。

続いて、ハイライト色として、ガイヤカラーNo.211(灰緑色)をパネルラインを残すように塗装します。

そして、仕上げ色として2号機と同色のライトグリーングレー色(ガンダムカラーの量産型ザクⅡ色)を薄めに希釈し、下地色のグラデーションが残るか残らないかの加減で全体にオーバー・コート塗装します。


オーバー・コート塗装完了後、風防部分を除く機体部分のマスキング材を除去します。


塗膜表面のマスキング廻りの不陸をメラミンスポンジ等で軽く均してから、全体にグロス・クリアー塗装した後にスミ入れし、機体胴体の製造番号章のデカールを貼り乾燥後、再度グロス・クリアー塗装を数回重ねます。


主脚収納庫の塗装色について、三菱製の機体は機体下面色と同色(中島製は青竹色)で塗装されていますので、主輪カバーは塗装前に取付けて一体で塗装しています。また、引込み用クランク金物は、実機ではモリブデン鋼製で、防錆処理による黒色仕上げとのことから、水性アクリル塗料(タミヤ XF-69 NATOブラック)にて、筆塗り塗装しています。

グロス・クリアー塗装後、中2日の乾燥期間をとって、水研ぎ出しにてクリアー塗膜面の平滑処理、セラミック・コンパウンドで艶出しの作業手順にてフィニッシュ。塗装工程完了です。風防マスキングを除去し、各部主要パーツを機体に接着取り付け。


小物類の塗装仕上げと組立て
キットの主脚パーツには、実機と異なり主脚カバー側の取付け基部が一体となっていますので、塗り分けが発生します。主脚パーツを塗装後、マスキングして主脚カバー内側色(三菱製の機体は機体下面色と同色)を塗装します。(赤丸印の部分)
あとオレオ部分は、ハセガワのミラーフィニッシュを貼っています。

各部パーツを機体に取付けて行きます。空中アンテナ線張り、主翼編隊灯の取付けと翼端灯の着色を行います。そして、最後に脚出指示棒を取付けます。脚出指示棒は、真鍮線0.3mmΦをペンチ等の平たい部分に挟んで平坦にしたパーツを自作し塗装(外側:赤色、内側:黄橙色)にて仕上げ、予め主翼にピンバイスで設けた凹孔に埋め込み接着します。

初飛行時の実機1号機は、出来るだけ速度を向上させるため、リベット部分をパテ埋め処理し、更に塗装後に表面を念入りにピカピカに磨き上げたとの事ですので、カーモデルで常用されているクリアーコートによる研ぎ出しグロス仕上げとしてみました。

これにて、作業完了です。
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