アメリカ陸軍 第8航空軍所属第357戦闘航空団第362戦闘飛行隊
飛行隊長 レナード・K・カーソン大尉 搭乗機 1944年12月
本作品は、第357戦闘航空団における最高位の撃墜数記録保持者である、レナード・K・カーソン大尉の乗機です。彼は、大戦中撃墜18.5機、地上撃破3.5機の戦果を挙げたとのことですが、キットデカールの撃墜数は、24機となっています。因みに本マーキング機体は、D型ではなく正しくはK型(ダラス工場生産型)とのこと。古いキットなので考証も更新前の情報となっています。
◆作品概要◆
【キットメーカー】タミヤ
【キット仕様】シルバーフィニッシュ(特別仕様限定品)
【スケール】1/48
【機種タイプ】ノースアメリカンP-51D「マスタング」
【作品の完成】2024年08月
基本はキット素組み。主な追加工作として、コクピット内の計器パネル・ディテールアップ、床面の木目仕上げ、シートベルトの追加。プロペラの磁石脱着加工。アンテナ支柱の金属化。識別灯・翼端灯のクリアーパーツ置換え。空中アンテナ線張り。本体メッキ部分は接合部処理の上、極薄金属シート貼り仕上げ。機首廻り部分は塗装。パーソナル・マーキング・国籍標識・部隊記号・機体番号等はキット付属デカール貼りの上、クリアーコート塗装。
本機のあらすじ開発物語は、前作「インベンション・ストライプ」を参照して頂くとして、簡単ですが本機D型への改修経緯について解説します。
前タイプ(B・C型)の実戦投入にて戦場で活躍を続けるも、前線のパイロットからは、更なる機体改善について、メーカーであるノースアメリカン社へ要求が打診されます。特に改善の要求が集中した不具合は、空気抵抗を押えるために低く、狭く設計された視界の悪いファスト・バック式キャノピーへの改善と火力不足に起因する武装の強化でした。
前者については、360度全周視界を有する後方スライド式水滴上キャノピーの採用、そして後者については、12.7mm機銃を4挺から6挺へ増設する武装強化にて改善が行われ、D型としてアップ・デートします。また、これらの改修に伴い、主翼構造の強化(前縁付根が前方へ大きく張り出した)等も必要となり、これにより全備重量は、前型のB・C型より100kg以上増加することになりますが、最高速度で数km/h低下、高度9000mまでの上昇時間も30秒ほど多くかかる程度の性能低下に留まり、戦闘機として、操縦性や武装面で、非常にバランスの取れた性能を有するものとなりました。
では本作品の解説に入ります。本作品は、今回使用の特別仕様キットであるシルバー鍍金(めっき)コートの特性を活かし、ほぼ素組みで「お手軽に仕上げるコンセプト」で製作しています。ですので、いつもの定番ディテールアップ工作は、必要最小限に留めています。
因みに本特別仕様キットにおけるノーマル版キットは、1990年代にタミヤが48シリーズで最初にリリースした大戦期アメリカ陸軍機のP-51Dです。尚、このキットについての解説は、もはや不要と言って良いぐらい有名で定番のキットですね。パーツ数は、ほどほどに抑えられていて、ビギナーにもやさしい設計となっています。
本特別仕様キットは、発売当時の市販塗料による塗装では、再現不可能とされたジュラルミン無塗装風のキラキラ金属感ある機体を、リアルに作ることが出来る謳い文句でリリースされていました。
しかし、キット製作に際しては、鍍金面への剥離しない塗装、鍍金パーツに発生するゲート跡やパーツ接合部に対する配慮や技術(現代では、塗装部分のデカール対応、パーツ割調整やスライド式金型の導入、アンダーゲートの採用等あり)が未発達であり、それらの適切な対応処理は、モデラー側で対応することになるのですが、高度な技術を要することから、ほぼ不可能といったモデラー泣かせのアイテムでした。
そんな難物アイテム・キットを今回、現代流通のマテリアル・アイテムを駆使し、それら問題の一挙解決を狙って試行錯誤を行いつつ仕上げています。尚、詳細については、本ページ末に案内する製作記事をご覧下さい。
追加工作として、定番のマグネット式プロペラの回転+脱着化を施しています。これにより、相反するプロペラの回転可能と抜け落ち防止の両立を簡単に図れます。
ワンポイント・ウェザリングとして、排気管の排熱による金属焼けとカウル側面部分への排気スス付着表現をタミヤ・ウェザリングマスターにて施しています。
外観上の追加工作としては、空中アンテナ線をテグスにて設置しています。因みに実機D型のアンテナ線は、無線機の設置(パイロットシートのすぐ後ろ)、360度全周有視界の水滴型キャノピーの形状と後方スライド式による構造上の制約により、キャノピー上面部分を貫通して張ってあります。
よって、キット・キャノピーに貫通部の位置出しを行って、ピンバイスにて貫通孔を設けると共に貫通孔に接して、キャノピー上面にアンテナ線受け基部も自作再現しています。
コクピット内について、キットには、パイロット・パーツが付属していますが、今回パイロット・オミットで製作していますので、市販アフターパーツでシートベルトを追加しています。
また、キットのコクピット計器パネル・パーツについても、メーター類のモールド省略、付属デカールも無いため、素組みではイマイチの仕上りになります。よって今回は、市販アフターパーツにて比較的お手軽なディテール・アップを行っています。
コクピット床の仕上げについて、実機D型のコクピット床は、生産性向上のため木製合板製で、ニス塗り仕上げとなっています。今回これを簡単再現すべく、市販の木目デカール(水転写式)を貼って仕上げています。
あと主車輪タイヤについて、接地面を削って簡易的に自重変形加工を施すことで、実機の様に重量感を醸し出しています。因みに下写真ショットは、全てのタイプを通じてP-51マスタングの安定感を彷彿とさせる一番カッコよく見えるお気に入りのショットです。
本作品では主車輪カバーを通常着陸時の閉状態として仕上げています。
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