あの衝撃的なエデュアルドからリリースされた新金型の1/48零式艦上戦闘機21型から少し遅れて、2022年にリリースされたアカデミーのゼロ21型ですが、2番煎じリリースとなったためか、印象も含めて余り話題に上がらずに現在に至っている様に感じます。エデュアルドの零戦パッケージが、真珠湾攻撃の「トラ・トラ・トラ」であったのを意識してか、アカデミーのキットでは、ミッドウェー海戦時のパッケージアートになっています。
◆操縦室内部の解説◆
先ずは操縦室からですが、ハセガワの様な作り易さを考慮した二重壁方式でなく、タミヤ新金型の零戦キットと同じ構成の機体胴体の内壁を操縦室の側壁として使う方式となっています。この方が、操縦室内を広く出来て、モールドでなく計器類をしっかり立体で構築できるので、リアル感がハンパありませんね。一見、レジンパーツのようにも見えます。

なので、今回追加したモノは、必要最小限。再現されてない操縦席の吊りゴム紐をミシン糸で追加したのと、シートベルト(FM製アフターパーツ)のみです。これで、もう十分なディテール集合体です。

あと、組み立てに関して気になったトコロですが、タミヤ新金型の零戦キットの操縦室は、左右胴体パーツを接着した後、下方から操縦室の前後床一体パーツを後嵌め出来るのですが、アカデミーキットの場合は、操縦室の前後床一体パーツの突起部分(空気導入口)と側面計器類パーツとが干渉するのでの操縦室の前後床一体パーツは、左右の胴体パーツを挟み込んで接着することになります。

なので、風防内後部の接着ジョイント処理とその塗装は、左右胴体パーツの接着後になるので、ひと手間かかる、操縦室内へのマスキング作業が必要となります。それでもディテールは、非常に素晴らしいので、大きなマイナスとはならないかと思います。

ここで、またもや気になるポイントです。操縦室床面には、落下式増槽の脱着状態を確認する小窓があるのですが、アカデミー・ゼロもタミヤと同じく、クリアーパーツにて再現されています。ですが、小窓のトコロで裏面に脱型時の押し出しピン跡が・・・。このキットのディテールクオリティーで、これは無いでしょうと思いたくなるのは私だけでしょうか。

仕方ありませんので、ピン跡を消す作業を行います。まずは細目の金ヤスリで切削しフラット面にします。

そして、ここで新兵器のガラスヤスリを投入します。金ヤスリ切削面をガラスヤスリで数回切削すると、あら不思議。白くなっていた切削面が透明に・・・(写真ピンボケ)。少々切削に慣れが必要ですが、この程度の小面積であれば、ガラスヤスリだけでも十分に透明化が可能ですね。

◆風防廻りの解説◆
キットの組立説明書は、白黒とカラーの2部構成となっています。涙ぐましい?企業努力ですね。素晴らしいと思います。こんな風に手間を掛けながらもコスト削減を行って、お手頃価格に抑えているのですね。因みにエデュアルドの組立説明書は、豪華オールカラーで冊子(保存版?)になっています。

さて、今回気になったのは、風防パーツについてです。キットはタミヤ新金型ゼロを調査し、風防と接する機体胴体部分を凹状にして、風防と機体胴体との隙間を目立たなくする方法を取り入れています。これは、長らく零戦キットにおける問題点となっていたトコロで、特に第一風防部分は、必ずと言っていい程、合いが悪く隙間が開いていたものです。更にこのキットの風防専用のマスキングシートまで用意されており、親切なキット内容となっているところに好感が持てますね。

で、キットの風防パーツを機体に載せてみたトコロです。んん~っ、クリアーパーツ自体の厚みが厚いのと、金型からの脱型時によるものか、歪が結構あります。このあたりは、やはりメーカーの基礎技術力の影響が大きのでしょうか。機体モールドがイイ分、残念なトコロですね。
でも待てよ、アカデミーがタミヤ新金型ゼロを模倣しているのであれば、同じく模倣しているエデュアルド・ゼロ風防の余剰パーツが使えないでしょうかと、自問自答しまして・・・・。

なんと!、ドンピシャリ。ピッタリと合うじゃあ~りませんか!。ただし、第一風防をほんの少しだけ調整しましたが・・・・。エデュアルド・ゼロの風防は、クリアーパーツ自体の厚みが薄いのと、
金型からの脱型時によるものか歪がほとんどありません。おまけに、風防枠にも凹リベットの彫刻が打ってある。こっ、こいつは使える・・・。ただし、今回の余剰パーツの第三風防は、11型用の形状ですので、エデュアルド・ゼロの11型を買って、余剰の21型以降の第三風防を使うか・・・。

アカデミー(下写真:左)とエデュアルド(下写真:右)との第三風防のクリアーパーツの厚み比較です。明らかにエデュアルドの方が薄いですね。因みに、知人からの情報で、風防パーツの取り換え可能なのは、エデュアルド・ゼロだけでなく、タミヤ新金型ゼロの風防パーツも合うとのことです。どうやら、この海外メーカー2社は、寸法までタミヤの新金型ゼロを調査しているみたいですね。となると、タミヤから部品請求すれば、品質の良い風防パーツの入手が可能となりますね。

◆主脚柱廻りの解説◆
さて、次の気になるポイントです。主翼廻りで、キットの組み立て手順をみると、何やら違和感が・・・。

そうなんです、主脚柱を先に組み込んでから、主翼の上下パーツを接着する工程になっています。主脚柱の基部は実機と同じく、逆L字型の回転軸まで再現して、2点固定となる様に設計されています。が、組立説明書通りに主脚柱を主翼に組み込んでも、接着しなければ主脚柱は、グラつきがあります。これでは、パーツ間の継ぎ目消し作業中に主脚を傷つけたり、塗装工程時のマスキングが大変になってしまいます。

そこで、頭をひねってアイデア出しですね。つまり、主脚柱の後嵌め加工を模索します。で、結果はご覧の通り、加工後(下写真:左)と加工前(下写真:右)とを見比べて下さい。加工後のパーツでは、主脚柱の基部のダボ突起軸の一部を斜めにカット(赤マーキング部分)しているのが、お分かりになるでしょうか。

主脚柱の後嵌め手順ですが、主脚柱を少し前方に傾斜しながら主翼側のダボ孔に主脚柱の基部のダボ突起軸を差し、引き起こしながらもう一方のダボ孔に主脚柱の基部のダボ突起軸が嵌る様にします。尚、この工作は、主翼の上下パーツを接着する前に軸の斜め加工を行い、後嵌めにて確実にハマる様になるまで、微調整することがポイントです。

最後に主翼下面に設置する落下式増槽の脱着用のポリキャップについて、片側をカッターナイフでカットしておくと、きつくなりがちなポリキャップの保持力を良い加減にすることができます。

この記事の続きは、後編で御覧下さい。

コメント