アメリカ陸軍 第357戦闘航空群第362戦闘飛行隊
ジョン・イングランド大尉 搭乗機 1944年 秋
◆作品概要◆
【キットメーカー】モノグラム
【スケール】1/48
【機種タイプ】ノースアメリカンP-51B「マスタング」
【作品の完成】2011年08月
機体胴体・尾翼部はアルミ薄板(0.2mm)貼の上、リベット打ち。主翼は、実機に準じて塗装仕上げ。操縦席廻りのディテールアップ。アルミ薄板貼に伴う重量増し対策として、主脚・尾輪柱を金属線にて補強。ピトー管及び翼機銃の金属置換え。迷彩部の塗分けとクラデーション塗装。車輪廻り、機銃類及び排気汚れ等を表現。撃墜マーキング・国籍標識・部隊記号・機体番号等はデカール使用。
戦闘機の設計経験がないノースアメリカン社が、たった120日間程で作りあげてしまったP-51「マスタング」は、第二次世界大戦の最優秀戦闘機として、これまでにも国内外から評価を受けている。本機開発における事の発端は、1940年、国内世論の影響でヨーロッパの対ドイツ戦へ消極的なアメリカに業を煮やし、イギリス空軍は自力対応するためにも、不足する戦闘機をアメリカの飛行機メーカーへ発注することにした。発注対象は、既に完成しているアメリカ製航空機で、ヨーロッパでの要求水準を満たしているものであったが、条件を満足しているものは皆無であったため、比較的に要望条件の近いカーチスP-40を検討対象としたが、工場は最大限稼働していたにもかかわらず供給は不足状態であった。 そこでイギリスは既に練習機の購入で取引きのあるノースアメリカン社へ「カーチスからライセンス供与を受けてP-40を作れないかね」と問合わせた。するとノースアメリカン社は、かねてより戦闘機設計の構想を抱いていたため、「P-40と同じエンジンで、もっと優れた航空機をより短期間で製作し、初飛行させることができる」と回答してきたのであった。
P-51の試作タイプ(NA-73)は、1940年10月26日に初飛行を行った。計画立案から9カ月未満という驚異的な短期間で完成し、全体的に操縦性は良好、かつ機体の内部構造は膨大な量の燃料を搭載できるものであった。当初、アメリカ陸軍航空隊(アメリカ陸軍航空軍の前身)は、本機に全く興味を示さなかったが、この初飛行の結果を受けて、本機の良好な性能に注目し出した。因みにアメリカ陸軍航空隊は、この売買の禁止権限を有しており、形式的であるが英国空軍に機体を納入する条件として、アメリカ陸軍航空隊へ2機の試作機(NA-73)を無償提供することを付加した。
正式採用タイプ(マスタング Mk.I)は、イギリス空軍に約610機送られて1942年3月10日に初出撃を迎える。長い航続距離と優れた低空性能を持つ機体であったが、高高度では性能低下が大きくなり、他のヨーロッパ機の性能に及ばないため対戦闘機の戦闘には使えなかった。これはP-40と同じ、アリソン・エンジン社製V-1710エンジン(一段一速過給機付き)を採用したことによる。その後、武装強化タイプのマスタング Mk.IAへ改修される。
アメリカ陸軍航空軍は、このマスタング Mk.IAの内57機を引取ってP-51の名称で実戦部隊に支給することになるが、対地攻撃用の別途試作機の完成が遅れていたため、6丁(機首に2丁、主翼に4丁)の12.7 mm機関銃、ダイブブレーキ、及び500ポンド (230 kg) 爆弾を2つ搭載する改修で代替化を図ったものの、その後まもなく、ダイブブレーキと機首の機関銃を取り外した戦闘機(P-51A型)タイプを発注する。P-51Aはエンジンの馬力強化と新型スーパーチャージャーの採用によって低高度性能が向上しており、イギリス空軍にもマスタング Mk.IIの名称で50機の少数が採用された。これは、間もなく真打ちとなるマーリンエンジン搭載の高性能機P-51B・P-51Cが配備され始めたためである。
時間を少し戻して、イギリス航空機メーカーのロールス・ロイス社の技術者やテストパイロットは、Mk.IAが発注されるとすぐに調査を行い、スピットファイア等の既存戦闘機に比べて優れた機動性や膨大な燃料搭載量を有することに感銘を受け、この後ロールス・ロイス社はP-51の機体と当時生産開始を始めた自社のマーリンエンジン(シリーズ60:アリソン製エンジンと同程サイズ・重量で、かつ非常に優れたスーパーチャージャーを搭載)とを組合わせたP-51B・P-51Cへとヴァージョンアップさせることに成功する。(カリフォルニア州イングルウッドで作られた機体はB、テキサス州ダラスで作られた機体はCと区別)
B/C型は航続力と速力は大変優れていたが、火力の低さ(12.7mm機関銃4丁)、及び後方視界の悪さがイギリス空軍パイロット達に不評であったため、機関銃は後のD型と同じ6丁に増設され、後方視界改善ではマルコム社がスーパーマリン スピットファイアのキャノピーと類似のセミバブル型のマスタング用キャノピー(マルコム・フード)を作ると、キャノピー上部にバックミラー(空気抵抗の増加で速力低減するが)を付けるのと合わせて現地での改修要望が相次ぎました。
本作品は、キット素組みを基本としていますが、コクピットは、キット自体が古いものなので、近頃の高品質キットに比べて見劣りするため、タミヤ・P-51Bキットのコクピット流用+市販カラーエッチング製の計器パネル使用でディテールアップしました。
また、射撃照準器は、レンズの透明化等のディテールアップ。風防上部に設置のバックミラーには、金属フィルムを張って鏡面化を図っています。
マーキングは、総撃墜17.5機のエース ジョン・イングランド大尉の乗機です。
本機は、彼が第362戦闘飛行隊で搭乗した4機のP-51の内の1機で、キャノピーはマルコム・フードタイプへ改修されています。
古いキットですが、主脚収納内のモールドは、一体成型ながら素晴らしい出来です。隠すのがもったいないので、本作品では主車輪カバーは開位置としています。(通常着陸時、主車輪カバーは閉状態)
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