アメリカ陸軍 第8航空軍所属第355戦闘航空群第354戦闘飛行隊
ヘンリー・ブラウン少尉 搭乗機 1944年04月
◆作品概要◆
【キットメーカー】タミヤ
【スケール】1/48
【機種タイプ】ノースアメリカンP-51B「マスタング」
【作品の完成】2019年06月
基本はキット素組み。主な追加工作として、コクピット内の射撃照準器のディテールアップ、及びシートベルトの追加。アンテナ支柱、ピトー管及び主翼機銃の金属化(主翼機銃は薬品にて染色)。主脚ブレーキホースの追加。識別灯・翼端灯のクリアーパーツ置換え。アンテナ空中線張り。本体は多重グラデーション法による迷彩塗装(カスケード塗り)の上、経年退色と各部汚しを表現。尚、パーソナル・マーキングを除く国籍標識・部隊記号・機体番号等は塗装。
本機のあらすじ開発物語は、前作「インベンション・ストライプ」を参照して頂くとして、本作品は、前作完成後の長いインターバル期間を経て、何気なく目に入った飛行機模型誌に掲載された作例に触発され、再びエアブラシを取った再復帰一号作品です。
実は本作品、前作と並行して製作していたもので、塗装工程の一歩手前で作業中断したまま放置されていました。当時は自身の塗装表現のマンネリ化が続いたことが起因してスランプに陥り、結果として製作中断となっていました。今回の復帰では、塗装表現に重点を置きたかったので、いつもの定番工作はリベット打ち等を含め省略した最小限に留めています。
本作品の機体迷彩塗装は、復帰のきっかけである従来のグラデーション塗装を発展させた「多段階グラデーション塗装(カスケード塗り)」のテストベッドとなっています。尚、カスケード塗りの手順等の解説は、近く本サイト内の別ページに掲載準備中なので、ここでは割愛させて頂くが、少なからず過去作品とは一味変わった仕上がりとなったと思います。(手前味噌ですが・・・)
以下能書きです。
この塗装方法は、今後の習熟により自身の求める作品イメージである「現実性(実動機感)」と「空想性(模型感)」とを持ち合わせた絶妙なバランス感を表現出来る可能性があると気に入っています。つまり、スケール感を失わせない平滑な塗装表面、パネル面単位での経年劣化による微妙な塗装ムラの付加、及び実動機が持つ凛々しい雰囲気を表現する自然な塗装艶が観て取れるかと思います。(手前味噌ですが・・・)
また、リアルさの追求のための実際的・現実的な激しい汚れ表現追求や、厳格な機体考証へ気を取られるのではなく、キットの特性を活かしつつ、機体の各部の仕組みや動きが伝わるディテールアップや、使用材料が判別できる様に自作部品の置換え等にて現実性を吹込み、その上で塗装による控えめなエイジングやウェザリングにて空想性を醸し出すことに労力を注ぎ全体的な調和を取ることを図っています。(手前味噌ですが・・・)
細部について解説しますと、プロペラ・ブレードは、ブレード面の砂塵やスス付着汚れと回転による塗装剥がれ。スピンナー部は、特に先端部の空気摩擦による汚れや微細な塗装剥がれ。主車輪のタイヤ溝に詰まった泥やゴム面の経年劣化、及びカバー廻りの土埃付着。主脚オレオ部の金属置換えとブレーキホースの追加。
主翼前端部の空気摩擦や巻上げ砂の衝突の細かい塗装剥がれ(下地プライマー色が露出)。主翼付根上面部におけるパイロットの昇降や整備兵のメンテ等で歩いた靴墨の付着や塗装キズ・剥がれ。排気管の排熱による金属焼けとカウル側面部分への排気スス付着。
主翼前端部の機銃発射による排気スス付着。日射やエンジン熱によって塗装劣化した機体機首上面のエンジンカバー。磨きあがったキャノピーのプロキシガラス。塗装仕上げによる国籍標識・部隊記号・機体番号部分の一体感と調和感のある質感。(手前味噌ですが・・・)
以上能書きでした。
ここで遅ればせながら、マーキングについての解説です。本機は、総撃墜数17.2機のエース ヘンリー・ブラウン少尉の乗機で、彼が第355戦闘航空群第354戦闘飛行隊で搭乗していたP-51Bです。
初期型マスタングの標準迷彩であるオリーヴドラブ色とニュートラルグレイ色との地味なカラーリングには、赤い撃墜マーク帯とDディ識別帯の白色ラインは華やかに映ります。
飛行機模型の定番ですが、主翼機銃の弾倉パネルは、日々の補給や点検で頻繁に開閉されますので、廻りのパネルとの違いを色調で表現しています。
主車輪タイヤは、接地面を削って自重変形加工を施すことで、実機の様に重量感を醸し出しています。
因みにこのショットは、全てのタイプを通じてP-51マスタングの安定感を彷彿とさせる一番カッコよく見えるお気に入りのショットです。
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