ハルトマン・ファイナル コンバット【JMC2009 入賞】

1/48スケール
ドイツ空軍 第52戦闘航空団 第Ⅰ飛行隊 
司令官 エーリッヒ・ハルトマン大尉 専用機
1945年04月17日 チェコスロバキア

◆作品概要◆
【キットメーカー】ハセガワ(モノグラム)
【スケール】1/48
【機種タイプ】メッサーシュミットBf109G-10/AS
【作品の完成】2009年08月

キットのG-10型からG-10/AS型への改造と操縦席及びその廻りのディテールアップ。キャノピー開状態化とアンテナ類、ピトー管及び機首機銃の金属化。アンテナ空中線張り。主脚ブレーキホースの追加と翼端灯・尾灯のクリアーパーツ置換え。機体全体へのリベット打ち。迷彩部のグラデーション塗装。また、パーソナル・マークを除いた部隊・機体番号と国籍標識は塗装にて、退色表現と車輪廻り、機銃類及び排気汚れ等を表現。

Bf109G-10は、ドイツ本土防空戦用の高々度戦闘機Bf109Kシリーズに搭載する2段過給器を備えた新エンジン(DB605L)の実用化の見通しが立たず、その開発の遅れのギャップを埋めるべく、Gシリーズの本格的リメイク版として再設計された機体です。
搭載エンジンはMW50パワーブースト・システムを併用して2000馬力を出すDB605Dで、それを機首に納めるためにAS系エンジン搭載タイプの機体に酷似したカウリングを有し、過給器空気取り入口は、さらに口径が増し大型化した潤滑油冷却器Fo987装備に伴いタンク自体も大型化し、カウリング下面の空気取入口は深くなりました。
また、大型化したカムシャフトをクリアするため、スピンナー直後のカウリング下面の左右に小さな突起が付きました。プロペラは、AS系エンジン搭載タイプと同じブレード幅の広いVDM9-12159Aを装備しています。
重量の増加に対処するために、主車輪は太い660×190mmサイズとなり、これに伴い主翼上面の収納部突起は従来の涙滴状から、前後に長く膨らんだ長形に変更されました。また、離着陸時の前方視界向上のため、尾輪が延長タイプに改められ、量産化に伴う工程簡略化により固定式となりました。

その他、迎撃任務の際に地上管制局からの指令を受信するFuG16ZY無線器用モラーヌ・アンテナを左主翼下面に装備し、Revi16B射撃照準器、エルラ・ハウベ、ガーランド・パンツァー、大型垂直尾翼を標準化したこともG-10の特徴で、1944年10月から1945年8月までの10ヶ月間に総計6000機を量産する計画でしたが、戦況の悪化や航空機生産計画の混乱から、約2600機が生産されたに止まりました。
連日の連合軍による激しい空襲による下請工場の被爆や軍の航空機生産計画の混乱により、規定通りの部品調達が出来ず、有り合わせの旧部品で間に合わせることを余儀なくされたため、G-10の外見はバラバラで不統一となり多くのバリエーションが発生しました。G-10/ASは、生産初期段階でエンジンのDB605Dの供給が間に合わず、DB605ASで代用した機体(エルラ製のW.Nr490000~491000の一部)で、本質的には旧型のG-6またはG-14/ASと同じです。尚、G-10との外観上での相違点は、カウリング廻りで後部のパネルラインが左右で異なるのと潤滑油冷却器をFo870のままとしたため同空気取入口は浅く、スピンナー直後のカウリング下面の左右小突起も付かない形状で、主車輪も旧式仕様の660×160mmサイズで、主翼上面の収納部突起は従来の涙滴状となっていることです。

本作品は、キットでのG-10仕様を一部改造し、G-10/ASとして制作致しました。主な改造部分は、カウリング後部の左右パネルラインの修正、潤滑油冷却器の同空気取入口の修正、スピンナー直後のカウリング下面の左右小突起の撤去、主車輪サイズの660×160mmサイズへの変更、及び主翼上面のの収納部突起は従来の涙滴状への改修です。
マーキングは、総撃墜352機の旧ドイツ空軍トップエース エーリッヒ・ハルトマン大尉(最終:少佐)最後の乗機です。尚、ハルトマン最後の乗機については、Kシリーズであるとの説がありますが、現存する1枚のスナップ写真(1945年4月17日、350機撃墜を記録時、機体左側のコクピット外面廻りアップ)から判断して最後の乗機をG-10/ASと推定しています。また、マーキングを含めた塗装パターンについても同じく推定で、RLM76、75と82としています。

コクピットについて、キット自体が古いものなので、近頃の高品質キットに比べて見劣りするため、ディテールアップとして、アイリス社製のレジンパーツ(G-10用)を使用しました。また、コクピット内後部の突起(MW50パワーブースト・システム関係機器の張り出し)及び、その廻りのディテールについては、実機写真等を参考にプラ板、真鍮線等で再現しました。
尚、風防前部分には、風防ガラスの洗浄パイプを追加してあります。Revi16B射撃照準器は、実機が離着陸時には収納していたことから、収納状態で再現しました。

機首廻りのディテールアップについて、排気管をクイックブースト社製のレジンパーツの使用、排気管カバーを真鍮薄板(0.1mm厚)へ置換えてディテールアップしています。機首のMG131 13mm機関銃は、大小の真鍮パイプを組合わせて自作し、置換えてあります。また、カウリング上部のカバー開閉ヒンジのモールドを再現しました。一応、機首カウリングにおける左右の膨らみの違いを再現しています。主脚廻りでは真鍮線によるブレーキパイプの追加と主車輪をウルトラキャスト社製のレジンパーツの使用にてディテールアップしています。

本作品では、エルラ製の機体を想定しアンテナ支柱は無い仕様としました。尚、ループアンテナ(方向探知用FuG16 ZY/DF)については、ハルトマン歴代の乗機は基部を残して取り外されていることから、本機においても同様と判断して制作しました。
また、アンテナ線は、市販の0.09mm径の黒色ナイロンテグスを使用しました。尚、機体背部、及び垂直尾翼のアンテナ線の取付け基部は、極細金属線をよじって制作し取付けてあります。
機体全体には、実機資料等を参考に球グリ工具にて◎形リベット打ちを施してディテールアップし、塗装は、グラデーションにて経年退色と帰還直後の汚れを表現しました。マーキング類は、国籍、指揮官マーク、機首のブラックチューリップ及び主翼先端・胴体帯の黄色を塗装にて行ない、パーソナルマークや注意書きステンシル等はデカール使用しております。

主翼の各フラップについて、キットでは一体になっているので一度切り離して再取付けしています。ピトー管は、大小の真鍮パイプを組合わせたものに置換え、左主翼下面のモラーヌ・アンテナは、ナイロンテグス線に真鍮板を巻き削出して自作しました。また、尾輪には真鍮線を入れて補強してあります。

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