ディテールアップの目的と効果
航空機に設置されている灯火器具(翼端灯、尾灯、編隊灯等)は、航空灯または位置灯と言い、 航空機の進行方向と位置を表示するための設備です。この部位、スケールキットでは極小パーツとなるため、一般に省略されているか、機体と一体化したモールドで再現されていることが多いかと思います。今回ご紹介する方法は、機体表面から突出するタイプの航空灯のディテールアップ化について、スケールに適して仕上げることが出来る方法かと思います。
使用材料
最初に使用材料について解説します。先ず航空灯の型取り材にエポキシパテ(硬化済み)を使用します。理由は、作業過程で熱に触れるため、型取り材として変形が生じにくい材料であるためです。因みに、他の工作時に余った分のエポキシパテを捨てずにキューブ状に成型・硬化させ保存しておくと今回作業時に使えるので無駄がありませんね。次に航空灯となるクリアー部分にタミヤからリリースされている透明プラ丸棒を使用します。この透明プラ丸棒は優れモノで、軟質なので曲げても折れにくく、また加熱後も透明度が落ちないので非常に加工性が高い材料です。あと、この透明プラ丸棒を加熱するため、ライターが必要となります。
上記の各種材料が揃いましたなら、作業手順を以下の写真の順に沿って解説していきます。
作業手順
先ず下準備です。硬化したエポキシパテの表面にモーターツールを用いて航空灯の型取りを彫刻します。必要な航空灯の形(半円型、水滴型等)、大きさや高さに合わせて調整します。因みに、今回の作例で製作する航空灯の形状は、半円型(エポキシパテの表面の中央部分)と水滴型(エポキシパテの表面の右下部分)の2種類です。
エポキシパテの型取り彫刻作業が完了したら、次は透明プラ丸棒の加熱作業に入ります。ライターを点火して炎部分の上方に透明プラ丸棒の先端をかざし、透明プラ丸棒に引火しない様に気を付けながら徐々に加熱します。
透明プラ丸棒の先端3~5mm程度が、加熱により軟化膨張したらライターを消して、素早く透明プラ丸棒の軟化した先端をエポキシパテの型取り彫刻部分へ強く押し当てます。この時のポイントとして、透明プラ丸棒の先端が均等な皿状になるまで一気に加圧し、そのまま透明プラ丸棒の先端が冷めるまで動かさないことです。
透明プラ丸棒の先端が冷めた後、エポキシパテの型取り彫刻部分から外して透明プラ丸棒の先端に出来た凸型航空灯の出来形の確認を行います。この出来形が不十分であれば、透明プラ丸棒の先端(皿状部分)をカットして再度やり直しを行います。尚、この作業は、コツが必要なので何度か行って感覚をつかむ必要があると思います。
上手く凸型航空灯の出来形が得られたら、透明プラ丸棒の先端からカッターナイフ等で削ぎ切りします。この時のポイントとして、削ぎ切る航空灯パーツの大きさは、ギリギリの大きさではなく、一皮大き目になる様(餃子の羽付きのイメージ)に削ぎ切り、後で正規の大きさ・形に整えます。
あと、航空灯パーツの接着には、下地塗装を溶かさない水性クリアー接着剤が良いでしょう。因みに、機体の航空灯が付く下地部分には、事前に細筆等でシルバー塗料を塗っておくと、航空灯パーツを接着すると隙間が水性クリアー接着剤で充填一体化され、反射でキラリとするアクセントになります。
航空灯の塗装について
航空灯にはその役割を果たすために部位に応じて着色されています。世界共通の基本事項として、左翼の翼端灯は赤色、右翼の翼端灯は青(緑)色、尾灯は白色(着色なし)となっています。尚、その他部位の航空灯の色については、国やメーカー、機種等によって異なるケースが多いので、写真・資料等の確認が必要です。
因みに、航空灯の着色に使用する塗料は、失敗リスク低減のため、エナメル系塗料を使用しています。
Fine