2022/03/06 日本軍機迷彩塗装考(番外編その1)~機内色の青竹色~

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"青竹色"ってどんな色?

 特に日本軍機のキットを製作する際、機内色の指定で青竹色なる塗色があります。模型用塗料のMr.カラーの色番では、No.57(青竹色)が該当するのですが、色味的にはメタリック・ブルー系でお世辞にも青味のある竹の色には見えません。そもそも、青竹色たる色は、どの様に規定されているのか調べてみると、日本の伝統色であり、かつJISの色彩規格では「やわらかい青緑」とされています。一般的には青みがかかった緑色をさす染色の色のことで、成長した竹の幹の色から採られた名称とされ、若竹色より色が濃く力強さがある色彩とされています。

なぜ、機内色は"青竹色"だったのか?

 日本軍機の機内色である「青竹色」について、2022年1月に大日本絵画より出版された資料本「日本海軍機の塗装・ソコハ何色?」(以下、ソコハ何色?)で触れられていますので紹介します。「青竹色」とは、当時の日本海軍規定色でE4(淡青色透明色)に該当し、「色味としてクリアーブルーで、メタリックカラーではありません」とされています。つまり、Mr.カラーNo.57(青竹色)は、正しくは「青竹色」ではないことになります。

"青竹色"塗料は防錆塗料

 この「青竹色」なる塗料は、そもそもがジュラルミンの上に塗布する防錆塗料です。顔料が「亜鉛末」と言う防錆性質をもったもので、粉末状では灰青色をしているそうです。これをクリアー塗料に練り込んで塗料としています。塗料色は暗青色系ですが、塗料として隠ぺい力が低いので、塗るとクリアーブルーになってしまいます。ですので、透けたジュラルミンの銀色下地の影響により、メタリックブルーに見えるとのことです。このことから考察すると、資料本「ソコハ何色?」では、塗料そのものを差して「青竹色」と説明しているのに対し、Mr.カラーNo.57(青竹色)は、下地ジュラルミンの銀色まで含めて「青竹色」としている違いとなります。よって、正しい色名では前者が正しいですが、模型の塗装手間(下地:シルバー+コート:クリアーブルー)を考えると、後者も便宜的に「青竹色」としても問題ないのではないでしょうか。ただし、前提・由来を知らないと混乱しますが・・・。

Mr.カラー No.57:青竹色

 更に、このクリアー塗料は経年劣化により黄変しますので、段々とメタリックグリーン調になって行くそうです。ですので、工場ロールアウト時はクリアーブルー(見た目:メタリックブルー)で、各基地運用期間に応じで変色し、年期が入ってくるとクリアーグリーン(見た目:メタリックグリーン)化していた様です。模型製作する際も、この時間経過による変化を取り入れて表現すると趣きが出てきますね。

河口湖自動車博物館 飛行舘の「零戦21型」復元機主翼端部折り上げ部分

 あと「青竹色」のネーミングについて、何時頃から使われていたのか不明で推測の域を出ませんが、既に当時から使われていたと仮定すると、工場内の作業員達の間で便宜上、誰が言い出したかいつの間にか通称として定着したのではないかと考えます。また、当時の塗料色で青系色は希少であったため、「〇〇青色」とした場合で発生する間違いリスクを低減するために、イメージ近似色として日本の伝統色の名称「青竹色」としたのではないでしょうか。

河口湖自動車博物館 飛行舘の「零戦52型」復元機(機首の防火壁部分)

 最後に独断・推測も交えて、日本軍機の機内色に使用された「青竹色」について、下記に見解を纏めてみました。
【機内色:青竹色の見解】
①「青竹色」はあくまで通称であり、正しくは日本海軍規定色におけるE4(淡青色透明色)。
②ジュラルミンの上に塗布する機内用の化粧防錆塗料。
③色味としてクリアーブルーで、メタリックカラーではない。
④ジュラルミンの銀色下地の影響により、塗装後はメタリック色に見える。
⑤経年劣化により黄変する。(クリアーグリーン化)

Fine

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