三菱 零式艦上戦闘機22型甲 製作記まとめ(主に工作編)
今回は、発動機廻りの製作、主翼廻り各部のディテールアップと仕上げを中心に解説します。
中島製「栄」21型 発動機のディテールアップ
まず、プロペラ側に自作シャフトを設ける改修を行います。これはプロペラの脱着や回転を容易に出来るようする目的で、またネオジム磁石を仕込むことで脱落防止も図っています。以下、工作概要です。
自作プロペラ・シャフトは外径2.0mmΦの真鍮パイプを使用します。プロペラ回転の際に軸ブレを最小限にするために設置するキット減速機カバー・パーツ内にボールベアリング(軸径:2.0mmΦ用/ミニ四駆用パーツを流用)が納まる様に加工します。
プロペラ脱落防止用のネオジム磁石(径2.5mmΦ)はカウルフラップ・パーツの発動機取り付け部分に自作の磁石受け(プラ棒5mmΦに2.5mmΦの孔開け)を仕込み確実に接着します。
次は改修お題「発動機の点火プラグ配線の追加」の工作です。今回、点火プラグコードは、極細銅線(約0.2mmΦ)を使用しています。以下、工作概要です。
まず、キットパーツ:点火プラグコード収束管(キットでは減速機カバーと一体となっているリング状の管)にピンバイスで0.5mmΦの孔を14か所(キットのプッシュロッド・パーツのロッド位置に合わせて)開けます。次に前・後列の発動機パーツの各気筒前側の点火プラグ位置にピンバイスで0.2mmΦの孔を計28か所(キットの各気筒の裏側も)開けます。それから、点火プラグコード・パーツ用に極細銅線から長さ約20mmと約28mmを各7本で計14本を切り出します。尚、長さ約20mmのモノは7mm+13mmに折り曲げて前列気筒用、長さ約30mmのモノは11mm+17mmに折り曲げて後列気筒用に当てます。あと、共通で極細銅線の折り曲げ元部分において、その先端を少し出して細く切ったアルミテープ(幅約0.5mm)巻いて、点火プラグコード取り出し口に見立てます。そして加工が済んだ極細銅線の点火プラグコードは、キットパーツ:点火プラグコード収束管に開けた孔へ、前列用→後列用の順に瞬間接着剤を付けて植えていきます。
この後、発動機の各パーツを整え塗装工程に移り、塗装完了後の組立・接着段階で、前・後列の発動機パーツの各気筒の点火プラグ孔へ、極細銅線の点火プラグコードを差して瞬間接着剤で接着し完了です。また、栄21型発動機における減速機ケース上部に露出しているプロペラピッチ可変装置に操作ロッドとその基部を真鍮線で自作し追加しています。因みに操作ロッドは0.3mmΦ、その基部は0.4mmΦを金槌で叩いて平坦にし、操作ロッド接続用の孔をピンバイスで開けています。
因みに本作品では、資料本「ソコハ何色?」に基づいた気筒部分の黒色にガイアカラーのプリズム・ブルーブラック(GP-09)を使用しました。この塗料は黒から青へ見る角度によって変わるパールカラーですが、艶を抑えるとやや青く焼けた上品な黒色に見えるので、プッシュロッドの純黒色との色味違いも表現出来て効果的です。
プロペラの塗装仕上げ
この段階でプロペラを仕上げています。事前工作として、両者共にスピンナーパーツの凹モールドが浅いので、「毛引き」と言う道具を使って彫り直しています。
本作品の22型は、戦争後期(戦況劣勢時)におけるプロペラとスピンナー共に小豆(あずき)色バージョンです。Mr.カラーの赤褐色(C131)にて塗装しています。因みに開戦初期(戦況優勢時)における21型のプロペラとスピンナー共にシルバー色バージョンから変更されました。その理由として飛行中でのプロペラの回転による太陽光の反射で、かなり遠方からでも敵に発見されてしまうので、プロペラ裏面と同色の小豆色を全面に塗装されたとのこと。尚、時期的に22型は工場出荷時、21型と同じくシルバー色でしたが、前線現地で再塗装(スピンナーのみ濃緑色のモノも有り)されたととのことです。
主翼の翼端灯と尾灯のディテールアップ
主翼の翼端灯と尾灯のプチ改修する工作を行っています。さすが新金型キットだけあって、最近のトレンドに合わせて、キットではクリアーパーツで用意されていますが、これらを機体に接着する前にピンバイスにて途中まで孔開けすると、ドリル刃で削られた孔を内部電球に見立てたモールド表現が簡単にできます。
上写真はそれぞれ、0.4mmΦのドリルを使用して仕上げていますが、最初はこれより小さな径で先行して孔を開けておいて、これをガイドとすることで工作精度を確保します。また、尾灯については、補強を兼ねてドリル孔に洋白線0.4mmを仕込んで、機体側にもピンバイスで開けた同径孔に通して接着(瞬間接着剤)しています。
主翼のピトー管、及び20mm機銃の自作金属パーツ置換え
アンテナ支柱と同様に作業中や完成後の取り回しで、破損率が高いピトー管と20mm機銃の銃身は、補強を兼ねて真鍮パイプで自作して置換えます。
ピトー管は、外径0.4mmΦと0.6mmΦの真鍮パイプの組み合わせにて製作しています。20mm機銃の銃身は、外径0.7mmΦの真鍮パイプの先をラッパ加工します。加工方法を解説すると、真鍮パイプの先が1~2mm程度出る状態でピンバイスに固定し、真鍮パイプの先孔にニードルを差し入れて穴を少しずつ広げてラッパ上に加工します。また、塗装すると厚ぼったくなるので、定番の薬品黒染め処理しています。
主脚廻りのディテールアップ
主脚支柱のディテールアップ兼補強工作として、オレオ部分のアルミパイプ置き換えを行います。まず、キット主脚支柱のトリムリング上部分に軽め孔をピンバイスで孔開けしてから、ジョイント部分にエッチングノコを入れて切断し、オレオ部分をカットにてパーツの2分割にします。次に2分割パーツの主脚支柱の切断面に0.8mmΦの真鍮線を補強として仕込む孔をピンバイスで開けます。最後に金属用研磨剤「ピカール」等で磨いたアルミパイプ(1.4mmΦ)を切り出してオレオ部分として、2分割パーツの主脚支柱の補強真鍮線を通して挟み込み接着します。あと、主翼と接続する主脚支柱の取付け代部分にも、ピンバイスで孔開けして真鍮線0.4mmΦを仕込んで補強します。
更に、主脚にはブレーキホースを追加して、ディテールアップしています。ブレーキホースは、タイヤ付近の主脚支柱に取付けたブレーキホース止めを分割部として、支柱側を0.3mmΦの鉛線、タイヤ側を0.2mmΦ銅線を芯にして0.4mmΦのビニールチューブを被せています。また、ホイールカバー接続部には外径0.5mmΦ(内径0.3mm)の真鍮パイプを通して孔開け固定します。因みにブレーキホース止めは、外径0.6mmΦ(内径0.4mmΦ)の真鍮パイプを使用し、取付け方法は0.3mm真鍮線で縫って補強して瞬間接着剤で接着固定しています。主車輪タイヤは、いつもの簡易な自重変形加工して、トレッド溝が無い初期仕様のもので仕上げます。
主脚廻りの各パーツの塗装を終え、仮組みして各部の納まり確認をします。因みに主脚柱の塗装色は黒色ですが、模型映え効果を期待して黒色ベース(Mr.カラー:セミグロスブラック)の上にハイライト(タミヤカラー:LP-60 NATO BLACK)で仕上げています。また、主車輪タイヤの接地面部は、塗装仕上げ段階でウェザリング下地として、サンド系色をグラデーション塗装しています。
あと、駐機時は機体自重で主脚柱のオレオ部分が縮んでいますので、この付近でのブレーキホースのたわみを意識して強調しています。あと、ブレーキホースの仕上げは、素材マテリアル(支柱側:鉛線、タイヤ側:ビニールチューブ+真鍮パイプ/ホイールカバー接続部)を活かして素地仕上げとしています。
その他、機体に付随する小物類(尾輪や排気管)も先行して塗装仕上げを完了しました。
今回はこの辺で、ごきげんよう。
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