エアフルト・ノルトの残光~Ta152~(2021年)

1/48スケール
ドイツ空軍 高々度戦闘機 部隊所属不明 W.Nr150167号機
1945年4月15日 ドイツ エアフルト・ノルト工場
搭載エンジン:米国チャンプリン博物館で一時展示された現存Jumo213E

◆作品概要◆
【キットメーカー】造形村
【スケール】1/48
【機種タイプ】フォッケウルフTa152H-1
【作品の完成】2021年11月

メーカー・アフターパーツ(コクピットパネル、主翼機銃、機体下部アンテナ類)に置換え。コクピット内射撃照準器のディテールアップ。全面のスジ彫直しと全面リベット追加打ち。エンジン内の配線、主翼機銃の配線を自作追加。排気管の開口加工。主脚ブレーキホースの作り替え。主脚出し表示棒の自作追加。各ハッチ・オープン工作。自作金属部品(薬品黒染め:エンジンフード支持)の追加。塗装は基本迷彩を多重グラデーション塗色の上、油彩絵具にて退色・ウェザリング。国籍標識は塗装。空中アンテナ線(極細テグス)の追加。

※Webサイト:Pinterestより各写真引用

あらすじ開発物語は、前作「スミソニアン・レストアTa152H」を参照して頂くとして、本機(W.Nr150167号機)は、1945年2月迄に完成した25機のH-1における最後から3機目の生産された機体です。

1945年4月15日、ベルリンの南西300kmに位置するエアフルト・ノルト工場に残置された状態で、本機は侵攻してきたアメリカ軍地上部隊により接収されました。当工場において偵察型H-10の改修テストヘッド機として予定準備の最中、連合軍が近くまで迫っているとの報を受け、軍関係者たちの撤退により放棄されました。

接収時における稼動状態は不明ですが、本機搭載のエンジン(ユンカースJumo213E/No.125)は、戦利品として国外に持ち出されアメリカ・アリゾナ州にあるチャンプリン・ファイター博物館で一時的に展示されていました。

本機は珍しく複数カットの当時写真(モノクロ)が残されており、迷彩塗装の塗分けパターン等が比較的明確に判る貴重なものとなっています。また、現存するエンジンカウリングにはオリジナル塗装が残っており、色調考証の重要な手掛かりとなっています。

本作品は、残された写真を参考に現存エンジンやカウリングのオリジナル塗装の考証を反映しつつ、大戦当時の姿を復元したらこんな感じでは?と言う妄想を基に製作していますので、概ねフィクションとなっていることを先に断っておきます

本キットは、造形村における初期開発キットで本1/48スケールの他に1/32スケールもラインナップされています。1/48スケールは、1/32スケールの単なるスケールダウンではなく、組み易さも考慮に入れてパーツ割が再設計されていますが、タミヤやハセガワと異なるアプローチで実機に基づいたパーツ割を再現するチャレンジ精神旺盛なキットとなっており、初めて製作される方は戸惑い感を持たれるかもしれません。(自身の体験から・・・。)

組立説明書通りに作っていくと、見えなくなるエンジン部分やコクピット下部の燃料タンクも手抜き無く再現されていて、非常に内容が濃い素晴らしいキット内容となっています。本作品では、このキットの見せ所を可能な限り活かすことをコンセプトに掲げ、元々別パーツとなっている各ハッチをオープン状態に追加工作しています。

機首エンジンフード(カバー)をオープンとするための追加工作として、エンジンフードのヒンジ側に細い真鍮線を二か所で差し込み固定しています。また、同じく太目の真鍮線で エンジンフード のつっかえ棒を追加しています。

主翼上面の機銃メンテナス・ハッチ、及び垂直尾翼の尾輪メンテナンス・ハッチ等も同様にヒンジ側に細い真鍮線を二か所で差し込み固定しています。

空中アンテナは、リード線をほぐして取り出した銅線を自作治具を用いて捩って基部を作り、機体に取り付けます。それにアンテナ線に見立てた極細ナイロン系テグス(0.13mmΦ)を取付け、瞬間接着剤にて固定します。因みに碍子(アンテナ線に付いている白い球)は、瞬間接着剤(ゼリー状タイプ)を楊枝等の先に適量付けてアンテナ線部分に移して、硬化後に艶消しホワイトを塗装しています。

私は通常、リベット打ちを行う場合は、事前にプラ材やエポパテにて裏面に補強を入れるのですが、このキットの場合、主翼のフレームが仕込まれた作りとなっており、このフレームにこれまた独特の表面パネル分割(パネルラインでの分割)をもって、主翼の組立てを行う内容なので、入れたいところに自前の補強材を入れにくく、結局キットままで組立てとなってしまいました(これが原因で後に大変な目に・・・)。

この主翼パネルの分割により、所謂パーツの継ぎ目消し作業が最小限となりましたが、パーツ・ジョイント部に裏打ち補強が必ずしもあるとは限らないので、ここで、集中的にリベット打ち抜き事故をやってしまい、リカバー対応に追われる羽目になりました(反省、事前確認しましょう!)。当然、メーカー側はリベット打ち作業を行う前提で設計していませんからね。

尚、塗装全般の詳細については下記の通り。
・本体塗装は基本迷彩を多重グラデーション法(カスケード塗り)により塗色
・油彩絵具を用いた機体塗装の退色表現
・ウエザリング(排気管廻りのスス汚れ、主翼付け根部の塗装ハゲ、主脚部の土汚れ等)
・国籍標識類は塗装。コーション・ステンシル類のみキットデカール使用

本機を含め、Fw190シリーズのキット製作時の難関・難所となるのが主脚の取付け角度です。主脚は前後左右に角度がついており、かつ主車輪は接地面に垂直にセットされています。従来のキットでは図面資料をにらめっこしながら念入りな仮組みによる擦り合わせにて角度決めすることになるのですが・・・。(汗)

このキットの凄いところ・・・。そうです、このFw190シリーズの難所である主脚の取り付け角度が、ほぼ一発で決まる仕掛けが施されています。従来のキットでは主脚柱を差し込み式で組み立てるのが大半ですが、このキットは、予め角度を付けた主脚柱の基部を捻り込みにて主翼にセットします。日本メーカーならではの発想?ですね。感服!

コクピット内のディテールアップは、メーカー・アフターパーツのエッチングパーツを用いて、コクピット・パネル類の置換え、シートベルト追加を行った他、射撃照準器の照準ガラス部分を薄いプラ板(0.2mm厚)に置換えています。

組立説明書ではキャノピーは接着しないで、機体側のレール溝にキャノピー側のレールをはめ込んで取り付ける指示が出されていますが、後々のトラブル回避のためキャノピー開状態で接着固定としています。

機体下面部分では、省略がちな主脚引込室内から見えるエンジンルームもしっかり再現されている優れものキットです。

Fine

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