VW へブミューラー・2シーター・カブリオレ 製作記まとめ
飛行機モデルの製作における、製作技術の幅や表現方法の奥行の拡張を目的に、不定期ですが異業種モデリングを行っています。今回のお題は、自動車モデリングです。若い頃は空冷VW乗りであった経緯で空冷フォルクスワーゲン(以下:VW)に限って、そこそこ知識がありますので、その中でタイプ1(所謂、ビートル)のヴィンテージ・モデルの製作にチャレンジします。ただ、そのままの製作では、面白く?ないので、「幻のビートル」と謳われたへブミューラー・2シーター・カブリオレへ大改修します。
製作ベース・キットについて簡単に説明します。1/24ヴィンテージ・ビートルとなれば、唯一で選択余地のないグンゼのベテランキット(1956VW・オーバルウィンドゥ)ですね。後発のハセガワやタミヤの同スケール・キットと比べると、各部でのデフォルメや詰めの甘いトコロがありますが、実車のヴィンテージ・モデル特有の重厚感を程好く表現されており好印象ですね。では、早速製作に入ります。
仮組み確認
先ずは、セオリー通りの仮組みによる全体確認です。手持ちの実車写真とキットとを相互に睨めっこして、形状確認を繰り返していると・・・。
ん、リアが上がっている前傾姿勢ではないですか⁉。実車はリア・エンジン搭載なので、逆に下がり気味。少なくとも水平にしないと・・・、カッコ悪いですよね。
リア車高の調整
と、いうわけで、いきなり補正工作です・・・。車体をひっくり返して、リアのフレームを眺め暫く思考停止(構造が良くわからんので)。仕方がないので、手持ち資料から勉強です。それによると、空冷ヴィンテージ・VWのリア・サスペンションは、固定されたデフ(トランスミッション内)の根本で左右にジョイントされたアクスルシャフトをスイングさせる、スイングアクスル方式とのこと。(因みに、高年式ではダブル・ジョイント方式へ変更)
キットをよく見ると、アクスルシャフトがトランスミッションから水平に突出していますね。リア車高が高いのは、この形状が原因のようですね。よって、アクスルシャフトのトランスミッション接点部分にリモネン系接着剤を塗って柔らかくしつつ曲げます(力技で)。道連れでトーションハウジング部分も少々曲がりますが・・・。
先工程を終えて、再び仮組みでの確認です・・・、何とか補正できましたね。
後輪タイヤの自重変形の改修
それから、航空機モデラーとして、気になったトコロがタイヤです。特にリア・タイヤは、エンジンの荷重により、実車では自重変形しています。で、自重変形加工をしてしまいました。工作方法は、タイヤ接地面にカッターで切り込みを入れて、プラ板で作ったクサビを差し込んで無理やり変形させています。当然ですが、リア・タイヤは接着固定し、回転オミットとします。
ボディーの改修
セダン・タイプからカブリオレ・タイプへ改修するには、避けては通れない工程・・・、ルーフ部分をリア・フードまで超音波カッターにて切り取ります。
ルーフを切り取ったボディー部分をカッターナイフとヤスリで整形します。
そして、型紙を作ってリアフードのベースを0.5mm厚プラ板にて切り出し接着します。
続いてリアフード全体の丸み付けのため、0.5mm厚プラ板をセンターに貼って盛り付け厚の定規にして、光硬化パテを全体に盛って紫外線照射します。ものの数秒で硬化完了しますのでヤスリ等で整形します。
整形完了後、光硬化パテの気泡処理を行ってサフ吹き。形状の確認を行います。
リアフード・ベースで作った型紙を再利用して、リアフードの凹凸モールド用の型紙を切り出します。それを下敷きに鉛筆にてリアフードに下書きします。
リア・フードの凹凸モールド用の下書きに合わせて、輪郭を0.5mm厚プラ板にて切り出し接着します。
リア・フードの凹凸モールド輪郭の0.5mm厚プラ板間に光硬化パテを充填し、0.5mm厚プラ板を定規にヤスリ等で整形します。それからスリット部分を開口します。
ここで、切り出した幅の狭い、広いの0.3mm厚プラ板を交互に積層接着し、凸凹面となる様に調整してリア・スリット部分を製作します。因みに実車でのスリット開口は、片側で21本ありますので、計42本になる様に開口幅は調整してあります。とりあえず、リア・スリットの自作パーツを片側のみ製作して仮組みします。
リア・スリットの自作パーツは、本体との隙間に瞬間接着剤を充填し、ヤスリで整えて一体化。それから、センターに設置のリアフード・ノーズは、8mmΦプラパイプから削り出しつつ曲げ加工して整形し、リアフードに接着。そのトップにメッキ・モールドとなるパーツを0.3mm厚プラ板から切り出して接着し表面を整えます。
因みにこのリアフード・ノーズの断面形状は、殆どの写真が正面からの撮影で、なんとなく三角形にも見えて自作するのにハードルが高いと感じていましたが、小さいながらその断面が写された写真を発見し納得を得た次第です。
リアフード全体の面を整えて、サフ吹きにて形状の確認です。
今回は、ここまで。次回に続きます。ごきげんよう!
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