川崎 三式戦闘機「飛燕」Ⅰ型丙 製作記まとめ(主に工作編)
このキットについての解説は、もはや不要と言って良いぐらいナイスなキットですね。パーツ数、パーツ精度、モールドのシャープさ、主翼・尾翼の取り付け補強盛り込み等、サンニイ飛燕のベストキットと言っても過言ではないのではないでしょうか。ところがぎっちょん(再発)!当サイトの主は、素組みで完成できない病を患っているため、懲りずに写真資料とにらめっこすること数日間、近頃めっきり衰えた集中力と根気力とに配慮して、ポイントを絞って改修することとします。
本キットでの改修点!
今回の製作では、費用対効果・・・、もとい時間対効果を主眼としますので、キット選択を含め、仕上りで最大の効果を図るコンセプトとしつつ、ポイントを絞ったディテールアップの検討(ほとんど事後報告?)を交え、仮組みを行いました。主要部の仮組みを終えて、このキットでの追加改修点が見えてきました。いつもの定番改修点と共に忘備を兼ねて下記に纏めてみました。
【主な改修ポイント】
・操縦計器盤のディテールアップ→3D積層シートを使用
・操縦室内のディテールアップ→市販レジンパーツへ置き換え
・排気管のディテールアップ→市販レジンパーツへ置き換え
・その他気付くトコロのディテールアップ
【定番改修ポイント】
・風防と天蓋の縁厚の薄々加工
・アンテナ支柱、ピトー管、及び武装機関砲の金属パーツ置き換え
・アンテナ線張り
・主翼上面脚出し表示棒の追加
・主脚ブレーキホースの追加と主輪の自重変形の加工
・全面リベット(◎形手打ち)の追加
まずは、実機情報を資料本からお勉強
模型製作に欠かせないのが実機資料本ですね。色々な資料本が出回っていますが、新旧が入り混じっていますので、どれが最新の定番情報なのかを見極める必要がありますね。本作品では、主に下写真の資料本を最大限に活用してみたいと思います。
排気管のディテールアップ
先ず気になったトコロが、排気管ですね。カタチは悪くないのですが、やはりディテールが・・・。キットベースに手を入れ、ディテールアップ化は、時間があればやるのですが、ここは時間節約にて、市販アフターパーツのレジン製(クイック・ブースト)に置き換えます。
尚、このレジン・パーツは、キットのモノと比べ台座厚が薄いので、プラ板にて底上げするのと、排気管上部に取付く排気煙の整流板の厚みについて、キットのモノは分厚く感じましたので、0.3mm厚アルミ板にて自作し置き換えます。
排気管廻りの納まり確認です。インジェクション・キットではその再現に限界を超える「細さ」や「薄さ」は、プラ材以外の強度あるモノに置き換え再現するとグッと見映えが良くなりますね。
ピトー管のディテールアップ
ピトー管も自作パーツに置き換えします。構成部材について、下写真の左から洋白線(0.6mmΦ)、アルミパイプ(外径:1mm、内径0.6mm)、真鍮パイプ(外径:1.4mm、内径:1mm)、プラ棒(2mmΦ/1.4mmΦ孔開け/テーパー加工)で、これらを組み合わせています。
ピトー管のキット・パーツ(下写真左)と自作パーツ(下写真右)との比較です。因みに自作パーツの先端には、実機通りに凹状開口を開けています。
武装機関砲のディテールアップ
主翼のマウザー20mm機関砲のキット・パーツ(下写真上)と自作パーツ(下写真下)との比較です。プラ材による本体の強度不安と金属的シャープさを求めて自作パーツに置き換えします。構成部材について、銃身は真鍮パイプ(外径:1.2mm、内径:0.8mm)、差し込み軸は真鍮線(0.8mmΦ)、基部はプラ棒(2mmΦ/1.2mmΦ孔開け)で、これらを組み合わせています。
機首のホ103一式12.7mm機関砲のキット・パーツ(写真上)と自作パーツ(写真下)との比較・・・、もとい市販アフターパーツの真鍮製(マスター)との比較です。やはり、シャープさが違いますね。
アンテナ支柱関連のディテールアップ
アンテナ支柱のキット・パーツ(下写真左)と自作パーツ(下写真右)との比較です。アンテナ支柱は、本体そのものとアンテナ空中線の取付け細工を行う上で、プラ材では、強度的に不安があるため、真鍮線(2mmΦ)をたたき延ばし削り出しての自作パーツに置き換えます。尚、自作アンテナ支柱先端の旗板状のモノは、切り出した真鍮板(0.1mm厚)を巻いてハンダ付けしています。簡単ですが、方法手順について解説します。
【作業手順】
①予めアンテナ支柱先端にこの旗板を巻いて位置がズレない様に端をクリップ等で仮固定します。尚、この作業では、バイス等を併用してパーツを支持すると両手が空き作業がし易くなります。
➁次にパーツを平らなところに置いて、糸ハンダをカッターナイフ等で極少量切り出した小片をアンテナ支柱で接合したいトコロに落ちない様に置きます。
➂加熱にはハンディタイプのガスバーナーを用います。ガスバーナーの炎を小片の糸ハンダを含めてアンテナ支柱と旗板に当てて加熱します。糸ハンダが解けて毛細管現象で接合部に染み渡ったらガスバーナーを離します。
④部品全体の熱が冷めたら作業完了です。
因みにこの様な極小部分のハンダ付けですが、私はハンダごてを使わずに行います。詳しくは、当ウェブサイトでのディテール・アップ技法「ガスバーナー・ハンダ付け法」をご覧ください。
次に操縦室製作に際し、先行してやっておきたい空中アンテナ線の機体側固定部の補強工作を解説します。飛燕の空中アンテナ線における尾翼側の固定部は、突起状となっています。キットは当然プラ製となっていますので、これに極細テグスでアンテナ線を取り付けると強度的に不安です。ですので、真鍮板(0.3mm厚)から切り出した自作パーツに置き換えます。
この自作パーツは、両側の機体パーツに挟み込む様に取り付けますので、両側の機体パーツは、事前にその厚み分を削っておきます。
ここで、実機検証します。写真は展示レベルで復元改修された飛燕Ⅱ型改ですが、今回のⅠ型と共有している部分も多いため、参考にします。垂直尾翼部の写真で詳細を眺めると、何かしら違和感が・・・・。
やはり、私の頭の中の悪い蟲が蠢き出しました・・・。先で自作したアンテナ基部廻りの納まりディテールが異なっています。これが1/48スケールであれば、技術的に諦めてスルーしたのですが、アイデアが浮かんじゃったので作り直しです。同じ0.3mm厚の真鍮板を「コ」の字形に曲げ、これに芯板を挟んで整形します。尚、固定部本体と芯板との接合には、ガスバーナー・ハンダ付け法(先述)にて固定しています。
取り敢えず、置き換え作業は完了です。まずまずの出来・・・でしょう。
続いて、空中アンテナ線基部廻りのディテールアップの解説です。ガスバーナー・ハンダ付け法(先述)を駆使した自作の基部パーツを用いて、実機に準じるディテールに迫ります。尚、自作の基部パーツについて詳しくは、当ウェブサイトでのディテール・アップ技法「空中アンテナ線基部の製作法」をご覧ください。
いきなり作業完了していますが、補足すると事前にピンバイスで0.3mmΦの孔を開けておいた空中アンテナ線の機体側固定部に、銅線を捩って自作した基部パーツのリング部分をそれぞれの孔が重なる様に差し込み、そこに洋白線(0.3mmΦ)を貫通させて固定します。因みに、この洋白線について、機体側固定部に接着後、はみ出し部を最後にカットします。(まだ仮組みなので、作業は先)
同様に操縦室側の空中アンテナ線支柱にも同様の細工を施しています。
今回はこの辺で、ごきげんよう。
コメント