2024/11/30 製作記事~1/32 ニューポール17(ホビークラフト)~#05

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ニューポール17 製作記まとめ(主に工作編)

 前回では、機体内部のフレーム+臓物パーツの塗装仕上げと組立て、外装の工作とディテール・アップを行いました。今回は、機体外装の帆布張りのディテール追加、そして最終仕上げ工程となる塗装工程、及び張線工程を経て完成まで進めます。

主翼帆布張りのディテール追加

 主翼には、帆布張りの縁取り補強のモールドをサフェーサーを吹いて追加しています。また、主翼間支柱の縁取りは、切り出したプラ板0.2mm厚を貼り付けています。

 主翼の全景です。下主翼と同様に帆布張りの縁取り補強のモールドをサフェーサーを吹いて追加しています。キットでは単調な主翼面ですが、撓みの表現加工と帆布張りの縁取り補強のモールドの追加により、自然なディテールの賑わいが醸し出されてると思います。

 そして、塗装工程に向けて、テープ+ゾル+スポンジの3点セットを使用したマスキング作業完了の状態です。

塗装(下塗り)工程

 塗装工程のスタートです。まず下塗り塗装から、全体にシャドー色のブラックを吹いて、サフ兼下地確認を行い不具合箇所を補修します。そして、ハイライト色として、フィニシャーズカラーのファンデーション・ホワイトにて陰影吹きを行います。

 上主翼も同様に塗装します。因みにハイライト色にホワイトを使用すると、全体的に青白く発色します。尚、ファンデーション・ホワイト使用の場合は、青味を押えた褐色味のあるホワイト色となるので、その狙いもあって、今回使用しています。

 キット付属のデカールは、古くて変色・劣化していますので、社外デカールを使用します。使用デカールは、コッパーステート(CSM)のデカールで、WWⅠにおけるイタリア軍のトップ撃墜王、フランチェスコ・バラッカ少佐機。パーソナルマークが「跳ね馬」(カヴァリノ・ランパンテ)の超有名なエースですね。尚、この「跳ね馬」エンブレム、撃墜したドイツ空軍のパイロットが付けていたシュトゥットガルト市の市章をモチーフにしたとする説が有名ですが、正しくは、バラッカが騎兵将校時代に所属していたイタリア陸軍第2騎兵連隊の紋章とのこと。お気付きの方も居られるかと思いますが、このエンブレム、1923年にアルファロメオのドライバーとして初優勝したエンツォ・フェラーリへ、亡き撃墜王の親族から、この「跳ね馬」マークをプレゼントされたことから、あのフェラーリ社のエンブレムとなったとのこと。

 本機は、イタリア軍所属ですが、CSMデカールの塗装説明に従い、先ずフランス国籍章を塗装にて行います。

 因みにイタリア軍機である証拠に主翼の裏面は、バッチリとトリコローレ(イタリア・トリコロール)色としています。

塗装(仕上げ塗り)工程

 仕上げ塗装に入る前に当時のアルミドープの発色について考証してみます。一般にWW1複葉機におけるアルミドープ塗り部分の模型の仕上げ色は、明るいシルバー色とされていることが多いです。ドープ塗装は、羽布(亜麻製の布)張り部分の補強・保護のため塗る塗料(セルローズニトロレート系)で薄褐色のクリアー色。これを素地色が枯草色の羽布面に下塗り・中塗り・上塗りと工程を踏んで、磨いた様にピカピカに仕上げています。ですので、初期のクリアードープ塗りまま仕上げの機体色は、艶ありリネン色(≒セールカラー色)となります。フランスでは、1916年から、ドープ塗装の改良版として、アルミ粉混入クリアードープ(アルミドープ)を採用します。これは、アルミ粉混入により、塗膜強度の向上と紫外線反射による羽布劣化の防止を目的としており、その混入量も比較的少ないので、色調をやや明るめにし、光の反射が増すも、全体がシルバー色となる所謂「メタリック塗装」の様な見え方はしていないとのこと。

 当時はカラー写真が無い時代。ここからは独断偏見となりますが、イメージとして、羽布面の素地色であるリネン色をより白っぽく、かつメタリック調の反射感を持つ光沢仕上げ色であったと想像します。今回は、これを意識して、かつ実機の白黒写真の明暗の塩梅を考慮(コクピット側面は木板張りの異素材なのでシルバー系色としています)して、羽布張り部分の仕上げ塗装をアイボリーホワイト(フィニシャーズカラー)+ムーンストーンパール(XC08)にて行っています。

 上主翼について、実機は、フランス軍で使用された機体のお下がり?なので、イタリア軍に納入された時にはフランス国籍章がペイントされていたため、上から塗り潰しています。これを再現すべく、先の下塗り工程で塗装したフランス国籍章を含めて、仕上げ色のアルミドープ風色にて全体をオーバーコートし、薄っすらと見えるぐらいに調整しています。

 下写真は、上主翼上面のフランス国籍章が、上塗りで塗り潰された状態の再現アップです。

 仕上げ塗装が完了したら、外装全体にグロス・クリアーを吹いてコートし、全体の艶を整えます。

デカール貼り工程

 デカールの指示書に従い、各部へデカールを貼って行きます。CSMデカールは、薄手のフィルムで余白も少なくて、非常に良い印象のデカールでした。

バックミラー、張線のターンバックルの追加

 デカール貼り工程が済んで、乾燥時間の合間にバックミラーの自作と張線のターンバックルの自作・量産を行います。バックミラーは、ウェーブのH・アイズ(クリア)4mmΦを使用し、メッキ調のシルバー塗装後に、ハセガワのミラーフィニッシュを3.5mmΦにポンチで切り出し貼って仕上げています。 

 張線のターンバックルは、銅線0.1mmΦを捩って、切り出した真鍮パイプ(外径0.5mmΦ/内径0.3mmΦ)の両側へ差し込み接着して自作しています。張線のターンバックルは、各所に設置されていますので、同じ寸法のモノを必要分量産します。

最終組立て工程

 これで、自作を含めて全てのパーツが揃いましたので、最終仕上げ工程に入ります。下写真は、張線+ターンバックルの取り付け作業の途中経過です。

 張線+ターンバックルの取り付け作業が完了したら、上主翼を取り付け接着して完成です。この後、部分的にウエザリングして仕上げフィニッシュしています。

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