2025/04/06 製作記事~1/48 モクセイ疾風・立川キ106(タミヤ改造)~#05

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モクセイ疾風・キ106 製作記まとめ(主に工作編)

 前回では、操縦室の改修とディテールアップの改修を行いました。今回は、主翼における主脚廻りの改修に着手します。

主脚カバー形状変更とそれに伴う主翼基部の前縁ラインの変更改修

 では早速、解説に入ります。キ106の製作にあたり、正確な三面図やディテール写真は、残されていないので、限られた現存写真と記録的書籍の記述から推理し、パーツの形状や構造・機構を導き出す作業を行わなければなりません。全金属製の四式戦「疾風」から木製のキ106へ設計変更する際に大問題となったのは、重量の増加と部材強度の低下でした。この影響をモロに受けたトコロは、引込み式の主脚で、主脚カバー形状変更とそれに伴う主翼基部の前縁ラインの変更を余儀なくされた様です。関連書籍では、単に外形に関する違いのみの文章記述に留まっていますが、具体的な変更理由まで記載がありません。

 ですので、実機の側面を撮影した写真をキットと同サイズに拡大し、キット主脚カバーとの形状違いについて実際に検証を行います。比較検証から、主脚柱カバーの拡幅変更、及び主輪カバー接続ラインとのズレから、主翼内の主脚収納位置に変更があったと考えられます。

 更に検証を深めると主脚柱カバー幅の拡幅変更は、主脚引込み機構の変更に伴い行われたもので、木製のキ106では、主脚引込み基部の強度不足を補うため引込みロッド(下写真:伸縮式の斜部材)を追加し、その分を含めた主脚柱カバーの設計変更を行ったことが、実機写真から確認できます。(フォッケウルフFw190等と同じ機構)

 これらの検証結果をまとめて、キットに反映・投影して改修作業を進めます。実機拡大写真から、主脚カバーの形状を切り出して型紙とし、想定されるキ106の主脚の配置を探ります。固定条件は、主輪カバー形状は、オリジナルまま。かつ、主脚柱カバーは、主翼前縁ラインと並行(実機写真から判断)とします。この結果、キットの主脚格納スペース、及びその開口の大幅な調整改修が必要となることが分かりました。

 改修準備として、キットの主脚格納スペース開口を塞ぐ箇所について、プラ板0.8mm厚を貼り足し、改修用の主脚カバー型紙を使って、改修開口の範囲をマーキングします。そして、マーキングに沿って切削し、改修開口を改修します。

 左右主翼下面にある落下式増槽の取付け基部ですが、キットでは落下式増槽の取付け前提で、差し込み孔の設置があり、また、モールドも省略されているため、簡易的にディテール再現しています。因みに、今回は、落下式増槽の取付けをオミットします。

 主翼下面パーツにおける主脚カバーの開口形状の変更とそれに伴う主翼基部の前縁ラインの変更改修を概ね終えた状態です。

主脚格納庫内の改修

 続いて、主脚格納庫内の構築作業に入ります。キットの主脚格納庫の深さは浅く、主脚が入る様に見えないので、それより深くなる様に調整します。(最深部高さ8mm)

 主脚格納庫内の深さを大きくすると機体胴体部分との干渉が発生しますので、四式戦「疾風」の実機に倣って主翼前縁に向けてテーパー付けし、更に干渉する部位を見つけ出し切削し調整を行います。

 主脚柱の基部をキットのコーナー部ランナーから切り出して、主脚庫内に剛接(真鍮線軸打ち+瞬間接着剤)します。尚、主脚柱基部には、予め主脚柱と接続する軸孔(真鍮線0.8mmΦ)を開けておきます。あと、主脚庫内には、0.5mm厚プラ板を切り出してリブ材を接着しています。

 主翼下面より見た主脚庫と主脚柱の基部との納まり。

主脚柱・主輪の改修

 主輪ですが、四式戦のタイヤ直径は、650mmΦ。これに対し、キ106は、700mmΦとなっており、50mm大きい。キット主輪の直径を測ってみると、約13.5mmΦで、スケール換算ではピッタリでした。流石タミヤ。よって、キ106用のタイヤに改修すべく、直径:700mmΦ/48=14.5mmΦに改修します。改修方法は、単純に0.5mm厚プラ板をタイヤ外周へ貼り足して整形しています。

 主脚柱は、必要な長さに調整した後、後差加工用に真鍮線0.8mmΦの軸打ちを行っています。また、主翼側の主脚柱基部とのジョイント隠しのため、プラ板0.5mm厚にてフランジを設けています。

 実機キ106における改修された主脚引込み機構となった引込み補助ロッドは、完全自作となります。オレオ部分は、外径1.0mmΦのアルミパイプ、シリンダー部分は、1.5mmΦのプラ丸棒で、内部に白洋線0.6mmΦを通し軸にして繋げています。主脚庫内の軸は、真鍮線0.5mmΦ。主脚柱側は、外径1.4mmΦ(内径1.0mmΦ)の真鍮パイプの輪切りです。尚、先画像の主脚柱には、この引込み補助ロッドとジョイントする軸(真鍮線0.8mmΦ)を仕込んでいます。

 主翼の主脚庫に主脚柱、主輪、及び引込み補助ロッドを仮組みして、各部の納まりを確認します。

 主脚カバーをプラ板から切り出し自作します。主脚カバーの外形出しは、プラ板を当てて、シャーペンで主翼主脚庫の内側ラインをなぞると簡単にトレースできます。

 主脚カバーは、主脚のオレオ部分で上下に分割され、部分的に重なっていますが、強度確保のため、プラ板の部分貼り足しの厚みよるディテールで分割表現します。尚、主脚柱の主脚カバーとのジョイント・リブは、鉛板(0.2mm厚)を細く切ったモノを巻いて接着しています。また、主脚カバーの主脚柱とのジョイント受けは、プラ板(0.8mm厚)から切り出して接着しています。あと、主脚柱と主脚カバーとの接合補強に0.27mmΦの銅線を差しています。

 主翼の主脚庫に主脚柱、主輪、主脚カバー及び引込み補助ロッドを仮組みして、各部の納まりを確認します。

 資料本の諸元表によると、キ106の主脚間の距離(トレッド)は、四式戦のそれと同じく、3,450mmとのこと。これをスケール換算すると、71.875mm。今回の改修でも計測すると約72mmで、どんぴしゃり。次回も引き続き、主翼の主脚格納庫内改修の工作です。

  今回はこの辺で、ごきげんよう。

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