製作代行のご依頼製作です!!
今回のご依頼機体・マーキングは、1980年映画「ファイナル・カウントダウン」の出演で最も有名な飛行隊となった、第84戦闘飛行隊(ジョリーロジャース)で配備運用されていた戦闘機F-14A「トムキャット」です。
F-14「トムキャット」についての解説は、もはや有名機であるのでここでは割愛しますが、第84戦闘飛行隊について簡単に解説します。本飛行隊は、1944年5月に隊名愛称「ウルフ・ギャング」として発足し、第二次世界大戦において華々しい戦果を挙げた飛行隊です。尚、隊名愛称と海賊旗マークは、1955年7月に発足の第61戦闘飛行隊(ヴァガボンズ→改名ジョリーロジャース/2代目:第17戦闘飛行隊)が、1959年4月に解隊された際に継承しています。また、本飛行隊は、ベトナム戦争に参加の後、1977年に機材をF-14へ転換。1979年に10週間の映画撮影に協力し、イーグルクロー作戦(1980年)、レバノン戦争(1983年)、湾岸戦争(1991年)に参加。1995年10月に解隊されました。以後、隊名愛称と海賊旗マークは、第103戦闘飛行隊に引き継がれます。

製作代行におけるご依頼の仕上り程度は、TG(トライアルグレード:『飛行機模型 製作代行の案内』のグレード設定参照)ですが、製作方針のご要望と追加オプションとして、下記の市販アフターパーツ追加、及び追加工作を行います。
◆ご要望(キット内の選択事項を含む)
・風防は閉状態
・機体色は第84戦闘飛行隊(グレーFS16440&ホワイト)
→1978年 空母ニミッツ艦載機
・塗装の仕上がりはキットの箱の写真に近い感じ
・風防はパーティングラインがあるので処理
・プロペラントタンク×2
・可変翼(VG翼)は可動
・エンジンノズルは両方共絞った状態
・風防の円の部分(H3)はクリアブルー
・水転写の17番(ウォークウェイ)は両側貼る
◆追加オプション(下記の市販アフターパーツの追加組込み)
・武装追加(1/72現用アメリカ軍 航空機用ミサイルセット/ファインモールド)
→サイドワインダー×2、スパロー×2、フェニックス×4
・シートベルト(FineMolds NA7)の追加
・機首迎角プローブ(よくピトー管と誤解釈されている)の金属化
令和7年12月度(第1回)の進捗状況
では早速、製作のポイントを交え作業進捗状況を以下、簡潔にまとめてみたいと思います。今回使用のキットは、ファインモールドから発売の1/72スケール アメリカ海軍 F-14Aトムキャットです。このキットは、新金型の2017年リリースで、古いが定評あるハセガワやフジミのキットと異なるコンセプトである、細部までの精密再現、各部の外部点検扉の開閉選択式での内部緻密再現により細かいパーツが多く、従来の1/48スケール・キット並の再現度となっています。よって、1/72スケール・トムキャットにおける、国内外でのニュージェネレーション・キットとして存在感を醸していると言えます。

まずは、実機関連情報を資料本からお勉強
模型製作に欠かせないのが実機資料本ですね。色々な資料本が出回っていますが、模型製作において、スケールに適切な表現方法の検討や実機のディテールに関する確認のため、役に立ちそうな情報が掲載されている、下写真の資料本を活用してみたいと思います。



仮組み確認
作業着手にあたり、組立説明書に一通り目を通し組立て手順や概要を頭に入れつつ、実際の作業手順をイメージしつつ、仕上り精度の確保のための補強箇所、及び塗装工程を考慮した後嵌め加工の箇所等の検討を行います。概ね検討の方針が立ったら、全パーツを切り出して仮組みを行いパーツ同士の隙間の有無、モールドのズレ等を確認し、完成時のイメージから逆追いして具体的な作業手順を再構築していきます。また、今回の依頼内容を鑑み、ハッチ等でクローズ状態で仕上げるパーツは、後の工程で支障が無いモノに限りこの段階で接着固定しています。

仮組みを終えた感想ですが、なるほどキットメーカーが、細部までの精密再現と太鼓判を押すだけあってモールドやパーツは細かく、ナナニイとしてはパーツ数が多めですが、パーツの嵌合も良く、組んだ時の隙間も概ねありません。また、パーツ間の継ぎ目は、パネルラインに合わせた設計となっているので、継ぎ目消しの作業は少なくて済みそうですが、パーツ間の継ぎ目クリアランスにより発生する「線の太さ」の違いから、パーツ表面の繊細なモールド・パネルラインとのバランス調整を考慮する必要がありそうです。また、パーツ間やハッチパネル等の継ぎ目における微妙な面の凹凸についても留意する必要があります。あと、可変主翼や排気ノズル廻りが別パーツとなっている等、塗装工程への配慮がなされている点も特筆すべき内容です。

仮組み確認からの気づき対応
仮組みから得られた見立て情報から、詳細な組立て工作の方法について検討していきます。特に機首前輪式の航空機の模型において、注意すべきは、バックヘヴィーによる尻餅対策です。キットの組立説明書では、支持架パーツが用意されており、「支持架無しも自立します」と記載がありますが、今回ウエポン装備での仕上りなので、全体のウエイトバランスに変化があるため確認が必要です。

バックヘヴィーの判定は、主脚位置に合わせて支点となる横架材の上に機体を載せて、機首側が重ければOKです。今回の確認では、パイロット・シートやキャノピーをセットしない状態でも機首側が重いので、特に対策不要のようです。

コクピットの組立てと仕上げ
先ずは、航空機モデル製作でのお決まりであるコクピットからの組立てです。キットのパイロット・シートですが、ナナニイとは思えない程、モールドが素晴らしく、丁寧に塗り分けてやるだけで十分な仕上りになります。

ただし、シートベルトは、キットに含まれていませんので、キットメーカーの市販アフターパーツのシートベルトを組込んでディテールアップします。

そして、キット組立説明書の指示に従って塗装を仕上げます。

コクピット内部の仕上げです。コクピット・パーツは、計器類の細かいモールドが施されており、事前に指定色にて塗装を済ませます。また、計器類については、デカールが用意されていますので今回使用しています。尚、キットの組立説明書では、計器類のデカール貼りの際に計器盤モールドの除去について記載がないので、計器盤モールドの上にデカール貼りを行っています。キットのデカールは、気持ち厚めですが、デカール軟化剤を使い、かつ湿らした綿棒等で計器類モールドに馴染む様に押し付けると、デカールは、破れることなく伸びて定着しました。

コクピット内の各部の塗装とデカール貼りが完了したら、乾燥を待ってクリアーコートして保護します。特にデカールを貼ったトコロは、テカるので必要に応じ艶を調整しています。


次に仕上がったコクピットを機首パーツに組込み接着します。尚、今後の作業での取り回しもありますので、パイロット・シートや計器盤覆いパーツは、未接着で仮組みとして全体確認を行います。


機首左側前方にあるAOAプローブについて、キットではモールドされていますが、出っ張りが短くシャープさに欠けるので、金属製の市販アフターパーツを組込みディテールアップします。(赤丸部)

市販アフターパーツのAOAプローブ・パーツは、機首パーツのモールドを除去した後、ピンバイスで孔を開け、差し込み深さを調整する必要があります。また、AOAプローブ・パーツは、取り回し作業を考慮して、機体塗装完了後に取付けます。

機首先端部にある機首迎角プローブについて、キットは、プラパーツで用意されていますが、強度的に弱く破損する可能性大なので、金属製の市販アフターパーツを組込みディテールアップします。

市販アフターパーツの機首迎角プローブ・パーツは、機首パーツの先端にピンバイスで孔を開け、段差等が生じない様に注意しながら調整する必要があります。また、機首迎角プローブ・パーツも取り回し作業を考慮して、機体塗装完了後に取付けます。

次月の作業予定
今月の作業期間は、三週間強でしたが、仮組みを開始して上記解説以外の細かな箇所を含め各パーツの成形調整まで終えました。次月は機体各部とウエポン類の組立て作業に着手したいと思います。
・機体各部の組立て
・ウエポン類の組立て
それでは、次月末まで、ごきげんよう。


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