日本航空自衛隊 支援戦闘機 三菱F-2B 製作記まとめ(主に工作編)
前回で機体全体の仮組み「士の字」まで進捗しましたので、これより手間の掛かる小物類の製作と仕上げに入ります。尚、機体色と同じものは、色味が変わるといけないので機体塗装時に並行して塗装することにします。
ランディング・ギア(降着装置)の仕上げ
前回でディテールアップしたランディング・ギアの各パーツを塗装→墨入れ+ウェザリングにて、仕上げて行きます。
前脚部分の仕上がり状況。タイヤパーツにはトレッド・ラインのモールドを追加しています。また前脚扉内側に設置の着陸灯とタキシード灯はクリアーパーツなので、ハセガワ・トライツールの金属調フィルム(ミラーフィニッシュ)を裏打ちし、前面ガラス部分をマスキングして赤→黒の順に塗装することで、実機と同じテイストでライト廻りの塗分けを再現しています。尚、キットではタキシード灯のガラス面に実機と同じく斜線カット加工が施されていますが、スケールアウト感がありましたので、ヤスリを用いてフラットにしています。
後脚部分の仕上がり状況。前輪と同様に後輪タイヤパーツにもトレッド・ラインのモールドを追加しています。根気よく面相筆を用いて各パーツを細かく塗分けると、じわじわとリアル感が醸し出てきてディテールアップ工作が活きてきます。
300GAL機体外燃料タンク廻りのディテールアップ工作
F-2Bでは飛行開発実験団所属機を除いて、300GAL機体外燃料タンク以外のパイロンを含めた兵装を施すことは比較的少なく、今回は機体シルエットの秀麗さを強調した仕上りを考えていますので、機体下面のつるしモノは、300GAL機体外燃料タンクのみとします。
300GAL機体外燃料タンクのキットパーツは左右2分割となっており、パーツ継ぎ目を消す際は、凸モールドとなっているタンクのバンドモールド部分が厄介な箇所となります。なので、バンドモールドを全てヤスリで落として、0.14mmプラ板を巻いてモールドを再構築しています。また、センターパイロンとの接続にもピンバイス孔開けにて真鍮線を仕込んで補強を行っています。
尚、注意点としてキットパーツのセンターパイロンは、機体下面との接続面が真っ平なのでそのまま接続すると機体下面ラインと合わず隙間が空きます。実機では隙間はありませんのでセンターパイロン・パーツの機体接続面を削って擦り合わせを行っています。
排気ノズル廻りのディテールアップ工作と仕上げ
主脚収容室部、コクピット内部と続き、最後の見せ所となる排気ノズルのディテールアップは、市販アフターパーツのレジンキット(RESKIT 三菱F-2用)を使用し置き換えます。このレジンキットは、一部にエッチングパーツも使用するかなりリアルな内容で、各パーツ毎に塗分けができるので、面倒なマスキングも不要です。ただし、各パーツにおいて型取り時に付いてくる不要部分をエッチングノコ等で切り取って整形する必要がありますので、パーツの形状をよく確認して切り過ぎない様に注意が必要です。
本レジンキットの部位構成は大きく分けて、エンジン部、排気筒部、可変式ノズル(アイリス板付)部の3つとなっています。エンジン部は更に4つのパーツで構成されています。各パーツを切り出し整形後、仮組みして各パーツ間の納まり具合を確認します。結果、各パーツの合いは良好だったので、レジン剥離剤の除去液に浸し乾燥後、プライマー吹きにて塗装下地をつくります。
エンジン部の塗装について、各パーツにシャドウ色として、黒色(Mr.カラー:ウィノーブラック(GX2))を全体に吹きます。次に金属焼けベース色として、濃茶系色(Mr.カラー:レッドブラウン(No.41))を外周部に、明茶系色(ガイアカラー:オキサイドレッド(No.222))を中心部に吹きます。尚、エッチングパーツのみアクセント色として、メタリック色(Mr.カラー:スーパーゴールド2(SM202))を吹きます。更にハイライト色として、中央突起部にメタリック色(Mr.カラー:焼鉄色(No.61)と同カラー:スーパーゴールド2(SM202))を吹いて基本塗装を完了します。次にウエザリング塗装に入ります。AFV模型界でトレンド化?となった埃汚れ表現方法の「アルコール落とし法」を航空機模型での金属が高温にさらされて白く焼けたの表現に応用します。「アルコール落とし法」について簡単に説明すると、溶剤系塗料の基本塗装の上にアクリル水性塗料を塗布後、その上に無水アルコールを吹いて塗膜表面を荒らすと共に、アルコールが揮発する前にエアのみで吹くことで塗膜を白化させる現象を利用しウエザリング表現として活用する技法です。
では早速「アルコール落とし法」によるウエザリング塗装の解説をいたします。まず、各パーツに水性アクリル塗料にて、焼色1(タミヤカラー:デザートイエロー(XF59)と同カラー:レッドブラウン(XF64)の1:1混色)を溶剤と水で希釈(1:1:2)して、スポット吹きにて濃淡でできる様に全体に吹きます。次に焼色2(タミヤカラー:デザートイエロー(XF59))を溶剤と水で希釈(1:1:2)して、焼色1の上に重ねて同様にスポット吹きにて濃淡でできる様に全体に吹きます。ただし、本作品では一番手前に見える王冠状パーツについてのみ、当該部分の実機写真を見ると青緑色に焼けた金属なので、焼色1を焼色3(タミヤカラー:フィールドグレイ(XF65)と同カラー:ミディアムブルー(XF18)の1:1混色)に、焼色2を焼色4(タミヤカラー:フィールドグレイ(XF65))に変えています。各焼色が乾燥したら、ダブルアクションのエアブラシを用いて、無水アルコールを吹いてアルコールが揮発する前にエアのみで吹くことをスポット的に全体に行い、ランダムに塗膜を白化させて完了です。
排気筒部の塗装について、各パーツにシャドウ色として、黒色(Mr.カラー:ウィノーブラック(GX2))を全体に吹きます。次に金属焼け色として、白色(Mr.カラー:つや消しホワイト(No.62))を排気出口からエンジン方向へ一方吹き、基本塗装を完了します。次は「アルコール落とし法」によるウエザリング塗装で、各パーツに水性アクリル塗料にて、同様に排気出口からエンジン方向へ一方吹きにて、焼色1(タミヤカラー:デザートイエロー(XF59)と同カラー:レッドブラウン(XF64)の1:1混色)を溶剤と水で希釈(1:1:2)して、スポット吹きにて濃淡でできる様に全体に吹きます。次も同様に焼色2(タミヤカラー:デザートイエロー(XF59))を溶剤と水で希釈(1:1:2)して、焼色1の上に重ねて同様にスポット吹きにて濃淡でできる様に全体に吹きます。各焼色が乾燥したら、エンジン部と同様に無水アルコールを吹いてアルコールが揮発する前にエアのみで吹くことをスポット的に全体に行い、ランダムに塗膜を白化させるのですが、部分的にエアブラシを近づけて集中してアルコールを吹くことで当該部分の水性アクリル塗料を溶かし出して下地色(白色)を露出させると実機の様にリアルになります。この後は、タミヤウエザリングマスター(Bセット)の「スス」を用いて実機写真を見本にスス汚れを入れます。
可変式排気ノズル(アイリス板付)部の塗装について、まず、アイリス板の可動部分にグレー色(Mr.カラー:ジャーマングレイ“グラウ”(No.514))を吹きマスキング後、全体に基本色(Mr.カラー:スーパーチタン2(SM205))を吹きます。更にアイリス板の矩形モールドに沿ってラインマスキングを行い、アクセント色(Mr.カラー:スーパーアイアン2(SM203))を吹きます。また、基部はキットパーツを使用しますが、事前にレジンキットパーツを組み込める様に開口部をヤスリにて調整する必要があります。尚、塗装は黒系メタリック色(Mr.カラー:GXメタルブラック(GX201))を全体に吹き、マスキング後、可変式排気ノズルとの見切りリングにシルバー色(Mr.カラー:スーパーシルバー(No.159))を吹きます。因みに見切りリング周辺の固定ビス?は、0.3mmΦ洋白線を埋め込んで表現しています。
最後部の両側にあるスピードレーキ(閉状態)と排気ノズルとの間について、キットでは筒抜け状態になっていますので、プラ板にて凹状に塞ぎパーツを自作し取付けています。因みに実機ではエンジン冷却用のエアノズルが仕込まれたエア噴射口となっています。
垂直尾翼の付根部の最後尾に収納されているドラッグシュート(着陸時に展開する抵抗傘)パーツの仕上がり状況。目立ちにくい小さなものですが、細かく塗分けると存在感が出てきます。作品では真ん中の赤色紐?は真鍮線にて追加しディテールアップしています。
今回はこの辺で、ごきげんよう。
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