2022/09/03 製作代行~1/72 ユンカースJU-52/3m   JU-AIR”IWC”(レベル)~製作記事#01

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製作代行のご依頼を頂く!!

 今年6月下旬に当サイトにて製作代行の案内を立上げまして、早速にお問い合わせのメールを頂き、何通かのメールのやり取りの後、有難いことに製作代行のご依頼を頂く事になりました。
 ご依頼の機体は、先の世界大戦で、ドイツユンカース社が開発した輸送機・爆撃機でユンカースJU-52です。その中でも一般的知名度の高い、エンジンが3発のJU-52/3m型で、ドイツ空軍の兵士からは、Tante Ju(タンテ・ユー/ユーおばさん)と呼ばれ親しまれていました。また、その使い回しの良さから、戦後も欧州諸国で軍民両用としてしばらく使用され、現在も数機が飛行可能な状態で維持されています。その中で、スイスの民間航空会社が、遊覧飛行業を行っているJu Air(ユーエア)は、所有する4機(2018年の墜落事故にて1機喪失し3機となる)の内の1機「HB-HOS」号(下の写真)で、2000年にIWC(スイスの時計メーカー:インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)の世界一周プロモーションを行っています。主翼に大きな腕時計を付けたスポンサーカラーを身に纏い、同年1月にスイスを出発し、中東・マレーシアを経由して3月に日本(那覇→大分→仙台)に到着しています。その後、ロシアのユジノサハリンクス経由で北米大陸に向かう計画でしたが、結局ロシア国内の通行許可が出なかったので、世界一周は叶わずに来た逆の経路でスイスに戻りました。そうです、この機体が今回のご依頼のキットとなります。

スイスの民間航空会社:JU AIRが所有するJu-52/3m"HOS号"(2000年頃撮影)
Webサイト:Pinterestより写真引用

令和4年8月度(第1回)の進捗状況

 では早速、製作のポイントを交え作業進捗状況を以下、簡潔にまとめてみたいと思います。今回使用のキットは、ドイツ・レベル社より発売の1/72スケール「JU-AIR Ju-52/3m"IWC"」です。因みにこのキット、他社製品を自社パッケージで発売するOEM(Original Equipment Manufacturing)で、キット自体はイタレリ社のモノです。

仮組み確認

 作業着手にあたり、組立説明書に一通り目を通し組立て手順や概要を頭に入れつつ、実際の作業手順をイメージしつつ、仕上り精度の確保のための補強箇所、及び塗装工程を考慮した後嵌め加工の箇所等の検討を行います。概ね検討の方針が立ったら、全パーツを切り出して仮組みを行いパーツ同士の隙間の有無、モールドのズレ等を確認し、完成時のイメージから逆追いして具体的な作業手順を再構築していきます。

 今回の機体における特徴は、機体構造がユンカース社の得意とした鋼管骨格にジュラルミンの波形外板(コルゲート)を貼ったものであることと、主翼と水平尾翼に用いられたユンカース式二重翼であることです。因みにこの二重翼について、ユンカースが1921年に特許取得しており、一般に主翼と一体で後端に設置されるフラップとエルロンをそれぞれ独立した小翼として切り離し、主翼後端の少し下に離してヒンジにて接合させる構造のため、翼が2枚並んで見えることからその様に呼称されています。生産性やメンテ性に効果があることが観て取れます。
 よって、仮組みで確認すべきポイントは、このコルゲート・モールドを極力損なわない製作手順と、二重翼の接続部分における強度確保のための補強方法の検討となり、同時に製作に際しての注意点となります。

 仮組みを終えての感想として、キットは適切なパーツ処理を行うと、精度良くほぼピッタリと組立てが出来そうです。流石、天下のタミヤもOEMしているイタレリ社のキットですね。しかし、精度よくカッチリ作りあげるには、各部に適切な補強を講じる必要が有りますので、これから追って解説していきます。

機体胴体のキット・パーツに開口完了
別パーツハッチを先の開口部へ嵌め込み完了

 その前に早速ですが、キット組立説明書には、機体胴体の右面後部にある旅客機仕様での緊急脱出用のハッチを設けるべく、キットパーツの裏側に彫刻されている凹モールドに沿って切削にて開口する指示がありますので、機体外部のコルゲート・モールドを損なわない様に注意して作業を行います。

キット・パーツの補正処理

 まず、大物キット・パーツにおいて、補正処理が必要となりますので解説します。

 主翼廻りと機体胴体の上部等における各パーツ間の接合面には、凸形の押出ピン跡(上下写真の朱色マーキング部分)が各所にあり、パーツ間に隙間が発生すると共に接着強度が確保できませんのでこれらをヤスリ等で切削処理します。

 機内のコクピット+客室キャビン床パーツについては、作業中や完成後の変形による剥離防止のため、下面に桁材として角プラ棒を追加し接着して補強します。

 客室キャビンの後部隔壁も角プラ棒を床接合部に追加・接着して補強します。尚、実機では客室キャビンの後部隔壁面の形状は、コルゲート板張りになっています。しかし組立説明の指示パーツは、旅客用?のためか扉閉鎖状態のコルゲート・モールドが無いモノとなっています。尚、今回の作品は機体後部ハッチをオープン化し、この隔壁モロ見えとなることから、余剰パーツとして用意されているコルゲート・モールド付きパーツ(扉なしの開口まま)を使用すべく、組立説明の指示パーツにおける扉部分を切り出して移植工作を行っています。

客室キャビン後部の隔壁の裏側
(扉部分は移植工作済み)
客室キャビン後部の隔壁の表側
(扉部分は移植工作済み)

機体内部における仮組み確認

 機体内部における課題ポイントについて解説します。まず客室キャビン部分では、機体胴体と主翼部分が接合する内壁部分に主翼断面形状の隙間が生じています。また、後部隔壁部分は問題ないのですが、客室キャビンとコクピットとを区画する隔壁部分について、機体内壁との間に隙間が生じています。

 次にコクピット部分では、コクピット床部と機体内壁とに隙間が生じています。これらは完成後に見えてくると考えますので、補正改修を行います。尚、各部について順を追って解説していきます。

コクピット内の補正改修

 補正改修に先立って、実機コクピットの構造や内部形状を確認します。参考図書等によると、コクピット内壁はコルゲート板張りで鋼管フレームが露出しています。そして、その床部はキャビン床面から嵩上げされパネル貼り構造となっています。

世界の傑作機No.185 ユンカースJu52(文林堂)より引用

 キットにおけるコクピットは、先の仮組みで確認した様に大体の形状を再現していますが、非常に簡素となっています。また、客室キャビンとコクピット間の隔壁は、機体上面パーツの小口部分と接合することで最終的に形成されますので、完成後に接合ラインが残ります。後述しますが、これに対処すべくキットメーカーは、操縦席の背を高くデフォルメして隠す方法で対処しています。

コクピット内部へプラ板を貼り足すことにより各部の隙間等を解消

 そこで今回の補正改修は、機体胴体と床面との隙間、及び客室キャビンとコクピット間隔壁の機体上面パーツとの接合ラインを見えなくするため、内部にプラ板を貼り足します。また、内壁面のコルゲート・モールドを表現すべく、貼り足しプラ板は、エバーグリーン社製の「カーサイディング・プラシート2020(0.5mm厚/スリットピッチ0.5mm)」を使用します。

簡易改修を終えたコクピット内部

 先述した操縦席について、キットの形状と実機とでは、著しく異なっていますので、参考図書等に基づき形状を近づけるべく切削して加工します。尚、今回のご依頼仕様は、素組みレベル(あくまで、当工房レベル)となっていますので、簡易改修に留めていますのでご了承下さいね(笑)。
 あと、操縦桿の取付け位置が、手前過ぎるので位置調整を行っています。その他、各席にシートベルトの追加や、内部鋼管フレームを簡易再現しています。

このアングルから計器盤がチラッと見えます
写真プリントして切り出した計器盤

 そして、このキットにおける残念なポイントは、計器盤のデカールが付いていないことです。ですので自作対応します。自作方法は、他スケールのエッチング・計器盤の画像を調整し、写真プリントしたモノを切り出して貼付けて流用します。因みに計器盤の貼付けはコクピット塗装の完了後に行います。

次月の作業予定

 今月の作業は、一週間そこそこでしたが、仮組みを開始して機体外部キット・パーツの補正処理を終えましたので、機体内部の補正改修へと続き、主にコクピット部分の改修を行いました。次月も引き続き機体内部の補正改修を進めて参りたいと思います。

・客室キャビン内部の補正改修
・機体内部の塗装仕上げ(予定)

それでは、次月末まで、ごきげんよう。

2022/09/30 製作代行~1/72 ユンカースJU-52/3m   JU-AIR"IWC"(レベル)~製作記事#02
本作品は、当サイトをご覧頂いた方からのご依頼にて製作代行させて頂いています。ご依頼の機体は、先の世界大戦でドイツユンカース社が開発した輸送機・爆撃機であるユンカースJU-52です。その中でも戦後の払い下げによりスイスの民間航空会社で、遊覧飛...

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