グリフォン・スピットファイア(2019年)

1/48スケール
イギリス空軍 第610飛行隊 R.A.ニューブリー少佐 搭乗機
1944年09月 イングランド

◆作品概要◆
【キットメーカー】アカデミー
【スケール】1/48
【機種タイプ】スピットファイアMk.ⅩⅣc
【作品の完成】2019年09月

考証にてキット機首ライン一部を修正。主な追加工作として全面リベット打ち、コクピット内の射撃照準器のディテールアップ、シートベルトの追加、排気管のレジンパーツ置換え、主脚ブレーキホースの追加、識別灯・翼端灯の自作クリアーパーツ置換え。また、自作金属部品への置換えをアンテナ柱、ピトー管及び主翼機銃(20mm、7.7mm共)に行い、アンテナ柱と主翼機銃は薬品にて黒染。その他、機体・主翼の内部、主脚・尾輪に補強を施しています。本体塗装は基本迷彩を多重グラデーション法により塗装の上、各部に経年退色と各部汚しを施しました。また、国籍標識、部隊記号、機体番号、スコードロンリーダー・バッジ等は塗装。コーション・ステンシルのみデカール使用。

イギリスの名戦闘機であるスピットファイアは、1938年9月から空軍に配備され出したMk.1(マーリンⅡエンジン/1060hp搭載)から始まりMk.24へ至る足掛け12年に及ぶ開発と生産の中で、その性能アップ化を図るため機体の部分改修に加えて、改良型エンジンの載替えを繰返して検討を重ねられて来ました。その中で新型エンジンへの載替え検討は、比較的早い段階で行われており、マーリン・エンジンに続く新型のグリフォン・エンジン(ロールスロイス社)搭載のMk.Ⅳの開発は、1939年からスタートし1941年2月に空軍は2機の試作機を正式発注して同年11月・12月に初飛行している。本型の改修目的が主に低高度域での性能向上を得ることとしており、テスト結果では好成績を示すもグリフォン・エンジンそのものが、実用段階のレベルに達していなかったことが起因して、量産化は見送られてしまった。

1942年に入ると少数であるが、イギリス本土南部における基地・要地をターゲットとしたドイツ空軍による爆撃が頻繁に行われ、その爆撃に使用された機体が、”ヤーボ”と呼ばれるFw190やBf109の戦闘機を爆撃装備したものであったため、急遽、低高度性能に優れた迎撃戦闘機が必要となった。これに伴いイギリス空軍は、低空性能に優れるグリフォン・エンジン搭載のスピットファイアの導入を考える様になるのでした。この頃になるとグリフォン・エンジンは実用化に目途ついたグリフォンⅢ、Ⅳがほぼ完成しており、イギリス空軍は機体ベースをMk.Ⅷでグリフォン・エンジンを搭載した仕様をMk.Ⅻの型式名で100機の発注を行った。この最初の実用型グリフォン・エンジンを搭載したMk.Ⅻは、急場しのぎの処置に過ぎず、本格的量産型は、グリフォン60系エンジン(2段2速過給機付き)を搭載し機体の再設計を経たMk.XⅣで完成することになる。

第610飛行隊は、1943年12月4日より新型機Mk.ⅩⅣcを最初に受領した飛行隊となったが、ドイツ空軍のBf109GやFw190Aを完全に凌駕する高性能を有するも、航続距離の貧弱なスピットファイアは、イギリス本土から直接ドイツ本土上空へ侵攻する性能を持っておらず、また当時ヨーロッパでの空の戦いは、ドイツ本土上空にその主舞台が移ってドイツ空軍機のイギリス本土侵入はほとんどみられなっていた。よって、本国部隊の主任務はV-1飛行爆弾の迎撃くらいとなった。本作品は、1944年9月の同飛行隊におけるニューブリー少佐(飛行隊司令官)の乗機としています。

細部について解説しますと、コクピット内の射撃照準器レンズの透明化等のディテールアップ。磨きあがったキャノピーのプロキシガラス。風防上部に設置のバックミラーには、金属フィルムを張り鏡面化。主翼付根上面部におけるパイロットの昇降や整備兵のメンテ等で歩いた靴墨の付着や塗装キズ・剥がれ。排気管の排熱による金属焼けとカウル側面部分への排気スス付着。

主翼前端部の空気摩擦や巻上げ砂の衝突の細かい塗装剥がれ(下地プライマー色が露出)。主翼前端部の機銃発射による排気スス付着。尚、機体のコクピット・ハッチ前方にあるスコードロンリーダー・バッジは、自作デカールの失敗にて塗装対応としました。

塗装仕上げによる国籍標識・部隊記号・機体番号部分の一体感と調和感のある質感。主翼上面のうねりはカスケード塗りと油彩を用いたフィルタリングにて表現。

プロペラ・ブレードは、ブレード面の砂塵やスス付着汚れと回転による塗装剥がれ。スピンナー部は、特に先端部の空気摩擦による汚れや微細な塗装剥がれ。主車輪のタイヤのゴム面の経年劣化、及びカバー廻りの土埃付着。主脚オレオ部の金属置換えとブレーキホースの追加。

スピットファイアの下面は、当時の実機写真で見限り、よくエンジンのオイル漏れがあった様です。これを踏まえて象徴的にオイル漏れ汚れのウェザリングを行っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました