大口径砲搭載型Yak-9(2020年)

1/48スケール
ソビエト連邦空軍 所属部隊不明機

◆作品概要◆
【キットメーカー】ICM
【スケール】1/48
【機種タイプ】ヤコヴレフYak-9K
【作品の完成】2020年01月

操縦席廻りのディテールアップ、シートベルト及び射撃照準器とその架台の追加。エンジン架、エンジン廻りの配管及び配線の自作追加。全面のスジ彫直し、考証によるパネルラインの追加と全面リベット追加打ち。各部エアインテイク内部のモールド再現。排気管のレジンパーツ置換え。風防キャノピーの自作(プラ版絞り出し)置換え(3ピース化)。主脚ブレーキホースの追加、及び主脚カバー開閉機構のディテールアップ、主脚出し表示棒の自作追加。識別灯・翼端灯の自作クリアーパーツ置換え。アンテナ柱、機首上面機銃(12.7mm)、及びピトー管の金属置換え。機体は多重グラデーション塗装(カスケード塗り)。国籍標識、機体番号、帯マークは塗装。

第二次世界大戦期におけるソ連の戦闘機は、航空先進国であるドイツ、イギリス、アメリカの技術的水準より遅れており、当時の近代的な軍用機に使用することが常識になっていたジュラルミンによる全金属構造の採用は、その主材料であるアルミの確保が困難であることから、実質不可能でした。ヤコヴレフの戦闘機もまた同様であり、戦闘機開発では鋼材や木材を用いて機体を作るしかありませんでした。尚、他国における木製の軍用機開発では、イギリスの爆撃機モスキートが成功例として挙げられるぐらいで、実用化された戦闘機は皆無でした。軍用機の技術的遅れは、そのまま運用技術の遅れを伴うようで、開戦当初は航空機用の無線機、自動方向探知機、人工水平儀、着陸灯、他が標準装備されていない機体が多々あったことには驚きです。しかし、この様な装備の戦闘機が次第にドイツ空軍を圧倒し、最終的に勝利出来たのは、単に「物量」だけでなく、やはり地道な「性能向上」があったためで、最終的には性能面でドイツ戦闘機に匹敵するレベルまで達することになります。

開発の発端は、スペイン戦争の航空戦に投入していたソ連製の戦闘機の情勢が、ドイツのBf109が加わることで一気に劣勢に傾き始めました。この状況が起因してか、ソ連は従来の軍用機開発を少数の設計局に留めていた慣例を破り、1939年の春においては多数の設計局で新型戦闘機の開発に着手することを発令しました。その中で実績を認められ小さな設計局を設立することが許された若き技術者ヤコヴレフは、メキメキと頭角を現してスターリンのお墨付きもあり、他の競合設計局を勝抜き最終的にI-26(Yak-1の試作機)を作り上げることになります。
Yak-9は、Yak-1の改良型であるYak-7をベースに航続距離を増大させた性能向上型として1942年10月から生産開始され、前線ではドイツの戦闘機と十分に対抗できるレベルまで達します。これに武装強化(機首に37mm機関砲NS-37を装備)したYak-9T、更に強化(機首に45mm機関砲装NS-45を備)したYak-9Kとマイナーチェンジは続きますが、NS-45の信頼性の低さからYak-9Kは53機の生産に留まることになります。
本作品の実機は、所属部隊不明で主武装の45mm機関砲(NS-45)を37mmか20mm機関砲を交換した模様でありますが、模型映えのため、あえてNS-45の装備機としています。

本作品のキットは、海外(ウクライナ)メーカーの古い時期のもので、当時として珍しいエンジンやNS-45砲の再現が売りでした。しかし、現代基準で観ると機首内エンジン架の省略やコクピット内の簡略化が著しく古めかしさを否めません。また、外面パネルライン等のモールドは浅く省略化も目立ち、プラ自体は柔軟性が低く脆いため、加工がやや困難でした。ただし、全体フォルムは良い印象であり、製作に当たり機首内エンジンカバーを取外し式とし、下記の追加工作を行いました。

外装工作の詳細については下記の通り。
・全面のスジ彫直し、考証によるパネルラインの追加と全面リベット追加打ち
・各部エアインテイク内部のモールド再現
・風防キャノピーの自作(プラ版絞り出し)置換え(3ピース化)
・排気管のレジンパーツ置換え
・主脚ブレーキホースの追加、及び主脚カバー開閉機構のディテールアップ、主脚出し表示棒の自作追加
・識別灯・翼端灯の自作クリアーパーツ置換え(電灯表現)
・自作金属部品(薬品黒染め:アンテナ柱、機首上面機銃(12.7mm)/ピトー管)置換え
・アンテナ線(極細テグス)の追加

内装工作の詳細については下記の通り。
・コクピット内の各部、及び両サイド操作盤ディテールアップ、射撃照準器、及び架台の自作
・シートベルト自作(鉛板製)の追加
・エンジン架、エンジン廻りの配管及び配線の自作追加
・機体と主翼の内部、主脚・尾輪部等の補強

塗装全般の詳細については下記の通り。
・本体塗装は基本迷彩を多重グラデーション法(カスケード塗り)により塗色
・機体全体のエイジング、及びウエザリング(排気管廻りのスス汚れ、下面オイル汚れ、主翼付け根部の塗装ハゲ、主脚部の土汚れ等)
・国籍標識、機体番号、帯マークは塗装。コーション・ステンシルのみ他社製デカール使用

2020/12/23 製作記事~1/48 Yak-9K(ICM)~
大口径砲搭載型Yak-9 製作記まとめ(主に工作編) ICM社は、ウクライナのプラモデル老舗メーカーです。本キットの発売時期は、かなり昔ですがエンジン再現と組込みを両立した当時としては”スゴイ”キットです。(パッケージ・アートも古さ満点!)...

コメント

タイトルとURLをコピーしました