帝都防空の華(2026年)

1/32スケール
帝国陸軍 飛行第244戦隊 そよかぜ隊(第1飛行隊)

 飛行隊長 生野文介 大尉 搭乗機

昭和20年2月 東京 調布飛行場

 飛行第244戦隊は、1941年(昭和16年)8月に飛行第144戦隊として編成され、東京の調布陸軍飛行場を本拠として展開しました。1942年(昭和17年)4月、西日本方面の防空専任部隊(近畿地区の飛行第246戦隊、北九州地区の飛行第248戦隊)の新編に伴って飛行第244戦隊と改称され、主として帝都圏の防衛任務に当たっており、禁闕守護にあたる近衛師団に準え「近衛飛行隊」と自他共に称していました。部隊マークは、隊号「244」を図案化し「星」を散したものを垂直尾翼に描いていました。
 歴代戦隊長は、泊重愛 少佐、村岡進一 少佐、藤田隆 少佐、小林照彦 少佐。特に大戦後期に着任した小林少佐(着任時の階級は大尉)は、自身エース・パイロットで、24歳という当時陸軍最年少の戦隊長であったこともあり有名です。
 戦隊の編成当初の機材は、九七式戦闘機であったが、1943年(昭和18年)7月に三式戦闘機「飛燕」が制式化されると機種改変を行いました。不調の多かったハ40発動機に悩まされながらも、整備陣の努力により「飛燕」装備の部隊としては、高い稼働率を維持するに至りました。
 1944年(昭和19年)2月、陸軍航空部隊における組織変更により、これまでの「中隊編制」から「飛行隊編制」に移行し、旧第1中隊は、隊名を改め「そよかぜ隊(第1飛行隊)」となります。(「旧第2中隊」→「とっぷう隊(第2飛行隊)」、「旧第3中隊」→「みかづき隊(第3飛行隊)」)
 第244戦隊は、夜間戦闘能力を向上させる錬成が行われており、1944年11月からは来襲する昼夜を通じたB-29の邀撃に際しては、奮戦し活躍しました。1945年4月下旬、五式戦闘機が制式化されると5月12日には、三式戦闘機「飛燕」は、全機の機種改変が行われました。

◆作品概要◆
【キットメーカー】ハセガワ
【スケール】1/32
【機種タイプ】川崎 三式戦闘機 飛燕Ⅰ型丙
【作品の完成】2026年02月

【外装工作】
・全面のスジ彫直しと全面リベット(◎形手打ち)追加打ち。
・プロペラの磁石組込み脱着加工。
・排気管廻りのディテールアップ。
・主脚ブレーキホースの自作追加。
・空中アンテナ線(極細テグス)の追加。
・ピトー管及びアンテナ支柱、基部の自作金属化パーツの置換。
・機首機関砲の社外アフターパーツ(レジン)置換えディテールアップ。
・主翼機関砲の自作金属化パーツの置換。
・主翼前縁の着陸灯のディテールアップ。
・主翼上面脚出し表示棒の追加
・主翼下面の懸架器(パイロン)の社外アフターパーツ(レジン)置換えディテールアップ。
・搭乗者フィギュアのポーズ改造。
【内装工作】
・操縦室の社外アフターパーツ(レジン)置換えディテールアップ。
・コクピット内射撃照準器のディテールアップ。
・計器盤の社外アフターパーツ(カラー3D積層シート)置換えディテールアップ。
・風防内部廻りのディテールアップ。
【塗装全般】
・本体塗装は基本迷彩を多重グラデーション法をベースにより塗色。
・機体全体の使用感をエナメル塗料や油彩にてウエザリング。
・機体マーキング・国籍標識・戦隊記号等は塗装。
・注意書き等はキット付属デカール貼りの上、クリアーコート塗装。

 三式戦闘機「飛燕」の機体開発経緯は、作品ギャラリー「その軽妙俊敏、飛燕の如し」に記載していますので省略します。
 飛燕Ⅰ型の型式は、甲・乙・丙・丁の4タイプあり、本作品の型式である丙は、主翼の20 mm機関砲2門と機首の12.7 mm機関砲2門の重武装にした型で、主翼の20 mm機関砲の砲身が、主翼から飛び出しているのが外見の特徴となっており、川崎内では「キ61マ式」とも呼ばれました。本型式機は、1943年9月から1944年7月にかけて生産されましたが、重量増で飛行性能は低下していました。

 帝国陸軍は航空機関砲の開発で遅れを取っており、1940年または1941年まで12.7 mm航空機関砲、また事実上1944年まで20 mm航空機関砲を持たなかったため、本型式に装備された主翼内銃砲である20mm機関砲は、ドイツから輸入したマウザー砲(MG151/20)で、数量は800門、弾丸40万発でした。

 マウザー砲は、従来の陸軍機装備の航空機関砲を凌駕する強力な破壊力、初速も高く、狙ったところに一直線に飛ぶ弾道性能や命中率の良さ、装填不良や二重装填も計器のボタンを押すだけで回復し、油圧式でなく電気式による信頼性の高さから、歴戦の操縦士は勿論、全操縦士達から異口同音に絶賛されました。しかし、このマウザー砲の整備は、飛行戦隊に付属する武装担当の整備班の手に負える物でなく、元より現地の整備隊で迂闊に分解する事すら厳禁とされていました。

 また、マウザー砲のもう一つの特色である薄殻榴弾は、当時の日本の金属プレス技術では模倣できず、また真鍮製ではなく鋼製である薬莢も冷間鍛造で成形されるもので、弾薬の国産化は不可能であったため、戦時中での輸入(Uボートによる輸送)に頼る状況下で継続して補充を受けられないことから、輸入分を消費した後は使用不能となりました。

 その後、ようやく実用化の成ったホ103の拡大版である国産20 mm機関砲のホ5 二式二十粍固定機関砲は、榴弾の威力はマウザー砲に及ぶものではなかったものの、全長が短いためことから、機首に搭載可能で命中率も上がったⅠ型丁へと改良されることになります。

 Ⅰ型丙の生産機数について、定説では既存のⅠ型甲、Ⅰ型乙からの改造機を含めて388機となったとあるが、一方で現地改修機は存在しないとする説もあります。

 本キットは、サンニイ飛燕のベストキットと言っても過言ではないのではないでしょうか。パーツ数、パーツ精度、モールドのシャープさ、主翼・尾翼の取り付け補強の盛り込み等、非常によく設計されています。本作品では、この出来の良いキットにスケール解像度に応じた更なるディテールアップを施しています。塗装面では、機体の迷彩塗装を何度か剥がして荒れたジュラルミン面、及び各部の塗装面の退色による変色やチッピングで、使い込んだ雰囲気を再現してみました。尚、詳細については、製作記事をご覧下さいね。

 主脚柱には、固定具と共にブレーキ線を追加しディテールアップしています。また、主翼前縁部に設けられている着陸灯のディテールアップとして、透明カバーの薄フィルム置き換えと着陸灯の電灯を自作し追加しています。

 プロペラと機体本体との接続は、キットに用意されているポリキャップにより後付けが可能な設計となっていますが、本作品では、追加工作として定番のマグネット式プロペラの回転+脱着化を施しています。これにより、相反するプロペラの回転可能と抜け落ち防止の両立を簡単に図れます。

 排気管のディテールアップには、市販レジンパーツへ置き換えに加え、排気管上面のカバー板をアルミ薄板に置き替えています。ウェザリングとして、排気管の排熱による金属焼けとカウル側面部分への排気スス付着表現を施しています。

 外観上の追加工作としては、空中アンテナ線をテグスにて設置しています。因みに本機は、水平尾翼(右側のみ)へ延長配線されているタイプです。

 風防は開状態を選択し、追加改修を行っています。第1風防枠パーツでは、縁厚み部分に幅薄く切り出したプラ板を貼付けて外板縁リブを再現、第2風防の機体受けレール部分(実機での空中や不時着時等における非常時の脱出の際に、第2風防がロックして解放できなかった場合に備えて、操縦室内に設けられた非常用把手を操作することで、レールごと第2風防を飛散させる事ができる様になっていた)の正確な再現と開閉ロックと把手を追加、そして不足する後部風防パーツの長さを延長するために風防枠にプラ板を貼り足すと共に、風防枠の外板縁リブも合わせた再現により、ディテールアップを行っています。

 尚、コクピット内部や主脚格納庫内の色について、昭和19年夏以前の生産タイプであるⅠ型丙は、古い考証のインスト指定色(デザートイエロー/黄土色)ではなく、陸軍機外装色として使用されている、いわゆる「緑灰色」としています。

 キットの操縦室内パーツは、ディテールフルに再現されていますが、スケール的にやや不足感を感じたため、本作品では、レジン製の社外アフターパーツを組み込んでいます。細かいレバー類の色を塗り分けてやるとイイ雰囲気となります。

 正面の計器パネルもカラー3D積層シート製の社外アフターパーツに置換えディテールアップしています。シートベルトは、市販アフターパーツで追加しています。

 射撃照準器は、操縦室用の市販アフターパーツをベースにレンズ部分、投影+フィルター・ガラスを自作し置き換えています。また、機首上面の防眩塗装(艶消し黒色)部分は、塗装面の退色による変色やチッピングで、使い込んだ雰囲気のウェザリングを施しています。

 後部風防内の横転保護柱骨内に設置されている高圧作動油タンク(主脚・フラップ等の操作力をまかなう)は、キットにも社外アフターパーツにも用意されていませんので、自作しています。

 尾灯は、垂直尾翼上部の両側に設置されています。キットでは、クリアーパーツにて別パーツ化されており、実機の尾灯カバーの雰囲気を出すため、透明でなく白濁した塗装により再現してみました。

垂直尾翼に描かれている飛行隊マークは、マスキングテープを切り抜いて塗装にて再現しています。

 尾輪パーツは、塗装手間の省力化とパーツ補強を兼ねて、車輪軸を金属線軸に置き換えて、タイヤ・ホイール部を後嵌め出来る様に加工しています。

 実機写真では、主翼の補助翼上面には、以前の迷彩塗装(濃緑色)の除去残しがあり、更に補助翼の防衛部隊識別帯(白帯部分)のリブ部分のみに塗装剥がれがあるため、塗装にて再現しています。また、主翼フラップ上面にステンシルされている文字「フムナ」は、塗装にて剥げてかすれた状態を再現しています。

 キットには、操縦室内に着座している搭乗者パーツが付属していますが、ポーズ改造により、操縦室へ乗り込むパイロットとしています。また、搭乗者は、97式操縦者用落下傘を装着した状態で再現しています。

 97式操縦者用落下傘は、座席型落下傘と称され、金具を使用での脱着式で終戦まで使用されました。尚、操縦の邪魔にならない様に通常は、操縦席に座布団代わりとして設置されています。搭乗者は、操縦席に着座したら自身の飛行服の上に装着している縛帯の金具に落下傘の接続帯の金具を掛けて接続します。

 帝国陸軍での飛行訓練では、落下傘の付け忘れ防止のため訓練生は、訓練機に乗り込む前に落下傘を装着することになっており、実戦においても、気概を示すとしてわざと落下傘を持ち込まない戦闘機搭乗者が居たので、目視(落下傘が腰にぶら下がっている状態を)確認出来るように操縦室内での脱着を禁じ、訓練生と同じように機体に乗り込む前に落下傘を装着させていた部隊があったとのことです。

 あとキットの主輪タイヤは、接地面が平らになっており、自重変形した形状で再現されているので、実機の様に重量感を演出することができます。また、キットの主輪カバー・パーツ類は、強度を考慮した取付け設計となっていないので、金属線等で補強を行っています。あと、主翼下面の懸架器(パイロン)は、社外アフターパーツ(レジン)に置換えてディテールアップしています。

2023/07/23 製作記事~1/32 飛燕Ⅰ型丙(ハセガワ)~#01
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