帝国海軍 第253海軍航空隊 岩本 徹三 飛曹長 搭乗機
昭和19年02月 ラバウル トベラ基地
◆作品概要◆
【キットメーカー】ハセガワ
【スケール】1/48
【機種タイプ】零式艦上戦闘機21型
【作品の完成】2008年08月
操縦席及びその廻りのディテールアップ。発動機点火線の追加。カウルフラップの開状態化。アンテナ支柱、ピトー管及び機首機銃の金属置換。搭乗者手足掛けの追加。機体フルリベット打ち。主脚出し表示棒の自作追加。主脚収納部の底上げ工作と内部ディテールアップ。主脚ブレーキホース追加。識別灯・翼端灯・尾灯のクリアーパーツ置換え。アンテナ空中線張り。機体はグラデーションにて経年退色と表面うねり表現の上、各部汚しを表現。また、パーソナル・マークを除いた部隊・機体番号と国籍標識は塗装。
零式艦上戦闘機は、昭和12年に帝国海軍より提示された12試艦上戦闘機の計画要求書を受けて三菱重工にて制作し、制式採用された戦闘機です。本型は、最初に採用されたタイプ11型に艦戦としての艤装である、着艦フック及びクルシー無線帰投方位測定装置の設置、さらに航空母艦上の運用を容易にするために翼端50cmを折畳める機構を設けた零式1号艦上戦闘機2型(後に零式艦上戦闘機21型と改称)で、昭和15年11月から生産されたタイプです。
零式艦上戦闘機(以下 零戦)は、出現当時から大戦中盤まで運動性能が抜群で、火力、速力当も当時の艦上戦闘機の水準を超え、陸上戦闘機すら凌ぐものでした。さらに熟練搭乗員(ベテラン・パイロット)に操られ、各地の戦線で無敵とも思える強さを発揮し、連合軍のパイロットに「ZERO」と呼ばれ、非常に恐れられました。
21型は、零戦の「無敵神話」に大きく貢献したタイプで、量産のため三菱重工のみならず中島飛行機でも昭和16年11月から生産され、以後の改良機である32型、22型、52型が、三菱重工にて製造されている期間も中島飛行機にて昭和19年6月まで生産されました。本型の生産数は、零戦の総生産数10,123機の約36%を占める3,561機で、その内訳は三菱重工が740機、中島飛行機が2,821機でした。
21型は、上記の複数のメーカーと長期に亘って生産されたため、いくつかのヴァリエーションが存在します。
まず、三菱社仕様と中島社仕様による塗飾区別の他、スピンナーの大きさ等の差異。さらに補助翼下面の突出型マスバランスの有無等、外見のマイナーチェンジを含めた初期型・後期型です。
前線での機材の消耗と新型の生産が追いつかない中、21型は零戦全タイプ中で性能のバランスが最も取れているとの評価が高く、ベテラン・パイロットほど、この21型を望んだとも言われています。
本作品は、その配備時期から後期型の中島社製と推測し、その特徴である大型スピンナー及び中島社仕様の塗飾にて制作致しました。
マーキングは、総撃墜202機の日本海軍航空隊トップエース岩本 徹三 飛曹長(最終:中尉)搭乗機で、第253海軍航空隊所属時代の253-102号機です。現在も本機の写真は発見されておらず、52型であったとの説もあります。著書「零戦撃墜王」によると昭和19年2月ごろに本機は、整備員の点検でエンジン取り替えのため、新しく253-104号機に乗り換えたと記述があります。その際、この253-102号機の胴体後半部の桜のマーク(撃墜スコア)は60個に達していたと記述されています。
本作品の見所(?)主脚格納庫部分です。キットはコクピットの床パーツとの干渉のためか、主脚格納庫の奥行きが浅くなっています。よって、キットの主脚格納庫部分を切り取りプラ板にて自作しました。車輪格納開閉覆の作動ロッドのアーム部分は、真鍮線に置換えて延長してあります。また、集合排気管は、モスキット社製のパーツを使用しました。
主脚カバーは、実機とおり3パーツに分割し、ディテールアップを施しました。また、0.3mm径のソフトワイヤーにてブレーキパイプを追加しました。
主翼前縁には、コクピット内空気取り入れ口を追加しました。また、20mm機関砲を真鍮パイプに置換えてあります。エンジンには、点火プラグ配線を極細の金属線で自作しディテールアップしました。
風防は、キットのものを使用し縁を薄く削りました。また、第二風防には、開閉用のコの字型の手掛けとロック用のピンを追加しディテールアップしました。また、コクピット後方の保護柱(ロールバー)を風防下端まで嵩上げすると共に0.13mm厚のプラ板にて縁を追加しました。尚、コクピット座席を吊っているゴムひもを真鍮線にて再現してあります0。
アンテナ支柱は、真鍮線の削り出しにて自作しました。アンテナ線は、市販の0.09mm径の黒色ナイロンテグスを使用しました。尚、尾翼のアンテナ線の取付け基部は、極細金属線をよじって制作し取り付けてあります。
機首の7.7mm機銃は、アルミパイプ+真鍮パイプにて自作し、置換えてあります。また、カウリング上部の機銃弾道溝には、実機とおり小突起を再現しました。
機体全体には、実機資料等を参考に球グリ工具にて◎形リベット打ちを施してディテールアップしました。尚、第三風防内の胴体面のリベットのみ凸型リベットにしています。
塗装は、グラデーションにて経年退色と表面のうねりを表現しました。マーキング類は、桜花の撃墜マークと注意書きステンシルを除いて全て塗装にて行なっています。また、ウエザリングは、オーバーホール点検前の稼動機を意識して行なっています。
コクピット内のディテールアップとして、今回CMK社製のレジンパーツを使用しました。照準器のガラス部分は、0.2mm厚の透明プラ板にて自作しました。また、取付架台もプラ板加工にて自作し追加しました。
風防レールをエバーグリーン社製のL形プラ材を使用し再現しました。尚、今回は、第二風防を開状態にて固定しました。
パイロット等がコクピットに乗込むためにある収納式の手掛け・足掛けを金属線で自作し、「出し」状態にて再現しました。
カウルフラップは、開状態にするためにキットにモールドしてあるカウルフラップを切取り、プラ板 0.3mm厚にて作り換えてあります。また、内側にカウルフラップ開閉ロッドを追加しました。
増槽タンクの後部下面には、空気抜きパイプを真鍮パイプにて追加しました。
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