2022/03/02 製作記事~1/48 零戦21型(エデュアルド)~#02

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三菱 零式艦上戦闘機21型 製作記まとめ(主に工作編)

 今回は、主翼製作にかかる改修とディテールアップを中心に解説します。キットの素性を活かすために主翼表面にびっしりと打たれたリベット・モールドをいかに損なわず工作出来るかがポイントになります。

主翼「ねじり下げ」の再現補正

 気になる主翼「ねじり下げ」の再現補正について解説します。本キット主翼パーツはタミヤ新金型の零戦(主翼裏面にリブ補強付)と異なり、従来キットと同じモナカ構造なので、素組みでは金型成形された主翼形状は正確に再現できません。尚、本キットでは主翼上下パーツの接合ラインと手持ち資料本における主翼の前縁中心線(写真:主翼の正面形線図の赤ライン)とが概ね一致し、前桁の基準線に対し翼根から翼端にかけて徐々に垂れ下がる主翼前縁の「ねじり下げ」ラインは再現されています。しかし、これに連動する主翼上面の翼根から翼端にかけて、特徴あるテーパー付きの緩やかな凸状の3次元曲面は正確に再現されていません。この特徴的3次元曲面について説明しますと、現存の実機写真に観る主翼前桁側の内外翼接合部(主翼上下面にある横長6角形モールド)付近では、見なしテーパー角が急に変わる変曲部分(下写真:主翼の正面形線図の緑破線)があり、錯覚効果でその付近の主翼厚が膨らんだ様に見える複雑な曲面となっています。推測ですがプロペラ圏外で主翼内に20mm機銃を取付けるため、この大きな機銃を通す孔を前桁に設ける必要性から見なしテーパー角を緩くして桁高さを確保し、本来は一定値の緩やかな凸状のラインとする所(参考:スピットファイアのそれは一定)を、これにより生じた前桁高さの不連続をデザイン処理したためと思われます。ですので、この主翼前縁の「ねじり下げ」ラインとそれに連なる主翼上面の変曲部分あるテーパー付き緩凸状の3次元曲面との相乗効果で、零戦特有の「垂れ下がった感じの主翼」がデザインされたと思います。

 前置きが長くなりましたが、この効果を「らしく」再現すべくキット主翼パーツの前後桁部分(下写真:パーツ裏の黒線)へ寸法を割り出した補正プラ板厚1.2mm(形状寸法:上写真参照)を挟み込んで上下パーツを圧着します。因みに主翼上面パーツ裏面には、補正プラ板に馴染んで補正曲面を形成する目的で予めカッター切込みを入れています。これによりキットの主翼前桁部の内外翼接合部(変曲部分)の厚さは、ノギス計測で約5.4mm→約6.2mm(参考:タミヤ新キット約6.1mm)にボリュームアップ出来ました。

弾倉取り付け用明かり取り窓のディテールアップ

 零戦初期型の11型や21型の両主翼上面には、弾倉取り付け用明かり取り窓が設置されており、実機では透明アクリル板がはまっています。キットでは丸形のモールドのみで表現されておりますので、自作透明パーツに置き換えます。以下、工作概要です。

 まず、主翼上面パーツにピンバイスで2.0mmΦの孔を開けます。次に明かり取り窓パーツの製作です。タミヤ透明プラ棒(2.0mmΦ)を長さ約1mm強に切り出し、同じく5mm角程度に切り出した透明プラ板(0.45mm厚)の中央へ、瞬間接着剤を用いて接着します。因みにタミヤ透明プラ棒は、軟質プラスチックで透明度が高く、これと透明プラ板とに出来る隙間を同じく透明度のある瞬間接着で充填も兼ねてくれるので、一体感のある自作透明パーツをつくることが出来ます。次にこの自作透明パーツを主翼上面パーツの孔に仮セットし、明かり取り窓部分面が主翼上面パーツ面より0.1mm程度凹む程度に目の細かいヤスリを用いて調整し、ここから更に耐水ペーパー等を用いて番手を挙げて1000番ぐらいまで仕上げます。この段階で明かり取り窓部分面はやや白く濁っていますが、市販のグラスコート液(AKインタラクティブ社 ゴージーグラスコート)を筆塗りして乾かせると透明になります。これにて作業完了となります。

 あと、主翼上・下パーツを接着する前にこの明かり取り窓直下の主翼下面パーツ内側へ機内色の青竹色を塗装することを忘れない様に補足しておきます。

増槽の脱着化改修と凸モールド処理

 前回のプロペラ脱着化と同じく、増槽の懸垂支柱を真鍮パイプ(外径:2.0mmΦ)に置き換え、この真鍮パイプの中にスチール製の針金を仕込むことで、機体胴体パーツへ仕込んだネオジム磁石による磁力接合で、脱着化を図っています。あと、増槽の回転防止も兼ねて、懸垂支柱直後に設置されている増槽押出装置取付管も補強を兼ねてアルミパイプ(外径:1.0mmΦ)に置き換えています。

 また、キットの増槽は凸リベットやラインのモールドが施されており、何となく違和感がありますが調べてみると実機通りなんですね。エデュアルド社のリサーチ力に驚かされます。増槽パーツの接着ライン処理について、手持ち資料によると実機の増槽前後の凸ラインモールド(溶接)の間は同じく凸モールド溶接なので、左右パーツを接着後、この間にマスキングテープを貼り、缶サフェーサーを吹いて凸モールドを構築しています。また、この部分以外(凹モールド・エリア)は、継ぎ目を消します。こうすると、キット増槽の凸リベットやラインのモールドを損なわず仕上げることが出来ますね。

 あと、給油口にも接着ラインが発生します。給油口の凹モールドは約2mmΦなので、スピンブレード(2mm幅)を回転させて凹モールド底の接着不陸を削り取った後、2.0mmΦに切り出した0.2mm厚プラ板を貼って処理します。その他、空気抜き管は手持ち資料により、取り付け位置を増槽真下ではなく少し右側へずらして、真鍮パイプ(外径:0.3mmΦ)を曲げ加工して設置しています。

操縦室外気取入れ口のディテールアップ工作 

 主翼の追加工作として、キットでは凹モールドのみで表現されている右主翼前縁部の操縦室外気取入れ口の開口します。実機では防鳥網と開閉シャッターが設置されていますが、本作品では防鳥網のみを極小金網(100メッシュ)の取り付けにて再現しています。

翼端の折り上げ改修

 改修お題目である翼端の折り上げ改修の工作です。実機では、22型も21型同様に空母搭載時の運用を容易にするため、主翼両端の長さ50cm分を折り上げる仕組みとなっています。本作品では右翼のみを折り上げにて製作します。また、工作に際して新タミヤ零戦22型/甲型キットに用意されているオプションパーツ(余っていましたので)を流用します。以下、工作概要です。

 まず、主翼パーツの右翼先端部分について、キット凹モールドの折り上げライン上で、ラインチゼル等の工具を用いてスジボリを深くして切り離します。次に切り離した翼端部にエッチング製の断面パーツ(タミヤ流用パーツ)が納まる様に小口開口の調整、及びエッチング+プラ製の折り上げ接続パーツ(タミヤ流用パーツ)の差し込み孔をピンバイスで開口した後、翼端部は上下パーツの接着→断面パーツの接着の順にて組立てます。あと、翼端部下面には、展張時ロック用の突起があります。この部分は0.5mm厚プラ板を切り出して自作した非常に小さい部品を翼端部下面側へ接着する必要があり、イモ付け接着では強度面での不安が残ります。そこでリード線をほぐした極細銅線(約0.1mmΦ)を芯に通して瞬間接着剤で接着して補強を図ります。

キットの上下主翼パーツの翼端切断ライン裏面には、予め凹形ライン状の盗み(肉欠き)が設けられいる
翼端部の展張時ロック用突起部品の工作
主翼基部側の加工とパーツ構成

 主翼基部側の工作について、主翼上面の折り上げ機構モールドに合わせて折り上げ接続パーツ(タミヤ流用パーツ)の位置設定を行った後、干渉部分を削って調整します。あと、主翼基部にエッチング製の断面パーツ(タミヤ流用パーツ)が納まる様にも小口開口の調整も忘れずに行います。

  最後に仮組みを行って、翼端部の折り上げ状態での各部の納まりを確認します。

 今回はこの辺で、ごきげんよう。

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