2022/11/30 製作代行~1/72 ユンカースJU-52/3m   JU-AIR”IWC”(レベル)~製作記事#04

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 本作品は、当サイトをご覧頂いた方からのご依頼にて製作代行させて頂いています。ご依頼の機体は、先の世界大戦でドイツユンカース社が開発した輸送機・爆撃機であるユンカースJU-52です。その中でも戦後の払い下げによりスイスの民間航空会社で、遊覧飛行事Air(ユーエア)が所有する1機で、2000年に主翼に大きな腕時計を付けたスポンサーのIWC(スイスの時計メーカー:インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)のカラーを身に纏い、世界一周プロモーションを行った「HB-HOS」号です。

令和4年11月度(第4回:最終回)の進捗状況

 今回で本作品の製作での大詰めです。前回残り分の機体外部の各部組立て、補強工作、及び部分補修を経て機体外部の塗装、及びデカール貼り、そして機体に小物類を取り付て完成となります。

 それでは早速、ここまでの作業過程についての解説に入ります。

主脚廻りの改修(後編)

 主脚廻りの改修にかかる説明の続きです。前回では、主脚柱の設置位置と長さ調整により、主脚の踏ん張った感を再現し、仮組み確認で終えました。現状では、機体胴体と主翼とが接着固定されていますので、主輪の接地角度とトレッド幅寸法を調整しつつ、主脚やその支柱の長さを現場合せして決めます。

 実機では、機体と取り合う主脚柱の基部部分に水滴状の覆いがついています。キットでは、この覆いが再現されていませんので。プラ棒等で削り出して自作して取り付けています。

Ju-52/3m"HOS号"の主脚廻り
Webサイト:Pinterestより写真引用

 あと、主脚柱の各部には、補強として真鍮線0.3mmΦを仕込んでいます。

主翼の各動翼操作ロッドのディテールアップ

 主翼動翼であるフラップとエルロンには、主翼下面に外部露出した操作ロッドが付いています。キット・パーツでも、この部分は再現されていますが、この極小パーツをイモ付けとなっています。これでは、接着後の作業中、または完成後での取り回しで、必ず破損してどこかで紛失してしまいます(確信)。よって、真鍮線0.4mmΦを曲げ加工にて自作し置き換えます。ロッドの取り付け基部の袴状の覆いは、切り出した鉛板0.2mm厚を巻いて瞬間接着剤で固定しています。

左:自作パーツ、右:キット・パーツ

 操作ロッドを金属パーツ化することで、各動翼の取付け補強にも効果があります。因みに本作品では、フラップを下げ状態にて製作します。

 あと、実機写真を見ると主翼上面に、フラップの修正トリム・タブの操作ロッドがあります。キットでは再現されていませんが、これも同様に真鍮線0.3mmΦにて自作して取り付けています。因みにこの操作ロッドの袴状基部は、キットの各動翼操作ロッド・パーツを流用加工しています。

Ju-52/3mの主翼フラップの修正トリム・タブ廻り(赤丸部分)
Webサイト:Pinterestより写真引用

水平尾翼の支柱補強

 キットの水平尾翼の支柱は、別パーツとなっています。尚、組立て説明書での指示はイモ付け接着となっており、接着強度はあまり期待できません。ですので、機体側及び水平尾翼側にピンバイスにて孔を開けて銅線0.19mmΦを仕込んで、取り付け位置決めと強度アップを行っています。

Ju-52/3m"HOS号"の水平尾翼の支柱廻り
Webサイト:Pinterestより写真引用

各部の小物類のディテールアップと補強工作

 ここからは、機体に取り付ける各部の小物類の製作について解説していきます。まず、機首と両側エンジンナセル下部に取り付く突起状のオイルクーラーですが、その先端部には空気取入口がありますので、ピンバイスにて開口します。 

 両側エンジンナセルに取り付くオイルクーラーは2連式ですが、機首部分のものは、3連式の形状となっています。しかし実機は、機首部分も2連式なので、キット・パーツの真ん中部分をカットして2連式に修正しています。また、機体への取り付けは、例によってイモ付け接着となっていますので、ピンバイスで穴開けにて銅線0.19mmΦを仕込んで、取り付け位置決めと強度アップを行っています。

 次に、ピトー管の製作ですが、キットのピトー管は戦時中のタイプで、実機の形状と異なっており、またプラ材では強度的不安がありますので、真鍮パイプ(外径0.4mmΦ・同0.6mmΦ)と真鍮線0.4mmΦを組み合わせて自作しています。尚先端部のT字部分は真鍮パイプ(外径0.4mmΦ)と真鍮線0.4mmΦとをハンダにて溶接して強度確保しています。

Ju-52/3m"HOS号"の機首廻り(ピトー管:赤丸部分)
Webサイト:Pinterestより写真引用

 また、ピトー管の主翼への取り付け位置について、実機では主翼下面側となっていますので、修正しています。

 続いて両側エンジンナセルの上部にある突起についてですが、これ実は、棒状オイル計です。コクピットからパイロットが目視できるように、この様な形状と大きさになっているとのこと。これもキットで別パーツ化されていますが、平面形状が、実機形状の楕円形と異なるのと、強度的不安解消のために金属化による自作パーツに置き換えます。この自作パーツは、アルミパイプ1mmΦに真鍮線0.4mmΦを通して、ペンチ等でアルミパイプを軽く潰して楕円にしています。因みにこの棒状オイル計の直後にあるフィン状の突起は、実機ではその内側(機体胴体側)に燃料計が取り付けられています。また、エンジンナセル部分のパネルラインは、凸モールドとなっていますので、凹モールドへスジボリ改修を行っています。(下写真:確認用の墨入れした状態)

 キットでは省略されていますが、実機では垂直尾翼の天端部に翼端灯(赤)が設置されていますので、市販の透明パーツにて再現改修しています。

 本作品では、機体内部が見えるように搭乗扉をオープン状態としますので、扉内部側のモールドを追加しています。(下写真:左側はキットまま、右側:軽め孔等を追加して確認用の墨入れした状態)

 あと、実機写真では、機首の風防前方に大小の棒状の突起(多分、航法に使うもの)が確認できますが、キットでは再現されていません。本作品では、真鍮線0.4mmΦにて再現改修しています。

塗装工程の準備

 各部の工作と改修工程が完了しましたので、次の塗装工程の準備としてマスキングテープやスポンジを用いて各部のマスキングを行います。

 尚、コクピット風防について、キット・パーツは戦時中の枠が多いタイプなので、枠数が少ない実機に合わせて枠モールドを削り取って部分研磨にて改修を行っています。そして窓枠を採寸してマスキングテープを切り出し、風防ガラス部分のマスキングを行います。

塗装工程(小物編)

 先に小まめに多色塗装を必要とするエンジン部分の仕上げを行います。エンジン本体は、クレオスのスーパーステンレス2(SM204)の上にエナメル塗料のダークブラウンにて墨入れウォッシング仕上げ、排気管は、焼鉄色(C61)をベース色として、排気口付近にスーパーカッパー(SM209)をグラデーション塗装した上にエナメル塗料のダークブラウンにて墨入れウォッシング仕上げとしています。プロペラは、ブレード部分をガイヤのプレミアムミラークローム、基部分をスーパーシルバー(C159)に塗分けています。カウリング・カバーは、ガイヤのブラック(EX-02)をベースにタミヤのNATOブラック(LP-60)をグラデーション塗装して色味に変化を付け、実機イメージに近づけるため、グロスクリアー仕上げとしています。

 次に主輪・尾輪のタイヤ塗装は、接地面部にライトグレーをエアブラシにて先吹きした後、側面部からタイヤブラック(C137)を吹いて、土汚れの先行下地塗装を行った後、タミヤのウエザリング・マスターにて色味に変化を付けています。

塗装工程(機体編)

 続いて機体本体の塗装工程に入ります。本作品では、仕上げが白一色となりますので、単調化しないように多段階に下地色を重ねながら塗装を行います。まず、全体にガイヤのブラック(EX-02)をシャドー色としてエアブラシにて満遍なく吹きます。

 次に、機体表面の波板(コルゲート)の凹凸を強調するために、塗装面に対し斜めからフィニシャーズカラーのファンデーション・グレーを吹きます。尚、平滑部分は、パネルラインに沿ってシャドー色を残す様に吹いています。

 続いて、機体全体に均等にガイヤのホワイト(EX-01)を薄塗にて数回に分けてオーバーコートします。

 上記のホワイト・コートを3回行って、ホワイトが発色しつつ、部分的に下地色が薄っすら残る程度になったら、機体外面の塗装マスキングを取り除きます。尚、垂直尾翼の赤色部は、キット・デカールを使用しないで塗装にて行っています。

 更に続いて、機体全体にエナメル塗料のブラック+ダークブラウンにて墨入れウォッシングを行います。尚、この墨入れウォッシングで、全体のトーンが落ちますので、全体を部分吹きしながらホワイトにてトーン・リカバー塗装を行い、更なる色味の変化を加えて行きます。また、この工程で必要に応じ再マスキングを行いますので、先で除去したマスキングテープ類は捨てずに残しておくと良いですね。

デカール貼の工程

 そして、最後にして最大の難関のデカール貼工程です。このキット付属のデカールは、他の製作サイトでも紹介されていますが、肉厚・コシが強い・軟化定着せずの三拍子が揃った超難物で、特に今回の機体表面が連続した細かな凹凸モールド面には、全く合わない品質のものでした。一応、デカール軟化材で軟化して延びるのですが、デカールが乾いてくると全体が縮んで浮いてきます。大格闘の末、目立つトコロを集中して補正処置を行って作業を完了。デカールが十分乾燥するのを待って、最後にクリアーコート(半々艶消し)にて全体の艶を整えます。

この後の残作業

 今月の作業は、塗装工程の完了後、ウォッシング、デカール貼り、クリアーコートまで終えました。この後は、デカール対応できなった箇所の対処、翼端灯の自作クリアーパーツの取付け、ピトー管の取付け、軽くウェザリングの作業を経て、ようやく晴れて完成です。

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