製作代行のご依頼製作です!!
今回のご依頼機体は、2021年3月まで航空自衛隊で運用されていた戦闘機F-4EJ改「ファントムⅡ」です。それも固有機で機体番号431号機です。
F-4EJ改「ファントムⅡ」についての解説は、もはや有名機であるのでここでは割愛しますが、今回の431号機について、簡単に解説します。本機は、国内生産機のEJ型で、国内最初にEJ改型への改修された機体です。岐阜県各務原市にある航空自衛隊 岐阜基地の飛行開発実験団の配属機として、2021年3月に行われた退役ラスト・フライトで飛行した3機の内の1機でもあります。退役後の431号機は、令和5年3月より、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に収蔵、一般展示されています。
製作代行におけるご依頼の仕上り程度は、TG(トライアルグレード:『飛行機模型 製作代行の案内』のグレード設定参照)ですが、追加オプションとして、下記の市販アフターパーツ追加、及び追加工作を行います。
・シートベルト(市販アフターパーツ)
・バックミラーパネルライトセット(市販アフターパーツ)
・ピトー管セット(市販アフターパーツ)
・機体全体の軽いウエザリング(展示機イメージ)
・灯火類のレジン等置き換えによる透明化
・キャノピーは閉状態
・燃料タンクは展示機と同様両翼のみ
・全面スジボリ直し
令和5年11月度(第1回)の進捗状況
では早速、製作のポイントを交え作業進捗状況を以下、簡潔にまとめてみたいと思います。今回使用のキットは、ファインモールドから発売の1/72スケール 航空自衛隊 F-4EJ改 戦闘機"431号機(岐阜かかみがはら航空宇宙博物館所蔵機)"です。このキットは、現地の博物館内売店における限定販売の品で、デカールが展示機と同じマーキングとなったオリジナル仕様となっています。
まずは、実機関連情報を資料本からお勉強
模型製作に欠かせないのが実機資料本ですね。色々な資料本が出回っていますが、模型製作において、スケールに適切な表現方法の検討や実機のディテールに関する確認のため、役に立ちそうな情報が掲載されている、下写真の資料本を活用してみたいと思います。
仮組み確認
作業着手にあたり、組立説明書に一通り目を通し組立て手順や概要を頭に入れつつ、実際の作業手順をイメージしつつ、仕上り精度の確保のための補強箇所、及び塗装工程を考慮した後嵌め加工の箇所等の検討を行います。概ね検討の方針が立ったら、全パーツを切り出して仮組みを行いパーツ同士の隙間の有無、モールドのズレ等を確認し、完成時のイメージから逆追いして具体的な作業手順を再構築していきます。
仮組みを終えた感想ですが、なるほどキットメーカーが、太鼓判を押すだけあって、ナナニイとしてはパーツ数が多めですが、パチピタに組み上がりますね。また、パーツ間の継ぎ目は、パネルラインに合わせた設計となっているので、継ぎ目消しの作業は少なくて済むのですが「線の太さ」において、パーツ表面の繊細なモールド・パネルラインとのバランス調整が課題となりそうです。また、排気ノズル廻りが別パーツとなっている等、塗装工程への配慮がなされている点も特筆すべき内容です。
仮組み確認からの気づき対応
仮組みから得られた情報から、詳細な組立て工作の方法について検討していきます。まずは、垂直尾翼からです。キットでは、ヒケと押出しピン跡の対策で、左右2分割となって双方を貼り合わせる構成となっていますが、脱型時のプラ収縮により部品番号K11の厚みがやや増しています。ですので、そのまま部品番号F12と貼り合わせると、僅かな段差が生じます。対応として部品番号K11の裏面をヤスリで均一に削って段差を解消します。
次に灯火類を自作の透明パーツに置き換えるため、キットパーツの該当部分(下写真:赤丸部分)を事前にカットします。更にピトー管を金属製の市販アフターパーツ(FineMolds AA52)に置き換える工作に入りますが、ここで問題発生です。市販アフターパーツの埋め込み軸径は、指定で0.4mmΦとのことですが、キットパーツの厚みとほぼ同じなので、指定通りにピンバイスで孔を開けると孔が崩壊するか、不自然に膨らむかになりそうです。ですので、使用は断念し自作パーツにて対応します。孔開けは0.3mmΦが限界でしたので、0.3mmΦの洋白線を軸に0.5mmΦ(内径:0.3mmΦ)の真鍮パイプに通してピトー管を自作します。
尾翼の補強板追加の工作です。EJ改型は、EJ型からの改修で尾翼の上下面に補強板が追加されているのですが、実機431号機では、下面のみ補強板が追加されています。キットには、EJ改型(上下面:補強板有り)とEJ型(上下面:補強板無し)の対応する尾翼が各1セット入っていますが、本機はそのどちらでもないので、組立説明書に記載があるように、EJ型の尾翼パーツを選択して付属のデカール貼り対応とするか、極薄プラシートから切り出して接着するかの選択式となっています。
今回は、極薄プラシートから切り出して接着する方法にて対応します。作業手順として、付属のデカールシートをカラーコピーし、補強板を切り出して型紙にします。プラシート(0.14mm厚)への仮固定は、弱粘着タイプの両面テープを使用します。
型紙をプラシート(0.14mm厚)に貼り付けて、型通りに切り出します。そして、尾翼パーツの所定位置にセットして、流し込み接着材にて接着します。
主翼の翼端灯についても尾翼と同様に灯火類を自作の透明パーツに置き換えるため、キットパーツの該当部分(下写真:赤丸部分)を事前にカットします。
ジェットエンジンの排気口パーツについて、キット組立説明書では、機体後部が組上げて後部から差し込み機体内部に事前にセットしたパーツに接着固定する指示となっています。これでは手探り状態でジェットエンジン排気口パーツを機体内部パーツに接着固定することになるので、確実性が乏しいと考えます。ですので、機体後部のキット・パーツの構成をよく観察・考慮すると、先にジェットエンジン排気口パーツを機体内部パーツに接着固定しても問題無さそうですので、先行して接着固定します。
エアインテイク(給気口)内部のパーツについて、パーツ内側に押出しピン跡がありますので、サフェーサーを当該部分に盛って平滑処理を行います。
尚、エアインテイク部分は、組上がって内部を除いて見ないと当該部分は見ないのですが、入口部分に近いトコロなので、やはり目立ちます。よって、平滑処理を行っておくと見栄えが良くなります。尚、サフェーサー盛りは、溶剤の蒸発にてヒケるので、あまり厚盛しないで時間間隔を空けて数回に分けて行い、十分に乾燥期間(最低1日間程度)を取った後で切削作業を行うのがポイントです。
エアインテイクの更なる奥の方、エンジン部分の直前部分から、形状が円形になりますが、キットでは、2つのパーツを張り合わす構成上、内部にパーツ継ぎ目が出てきます。これも見ようによっては、見えますので、同様にサフェーサーを盛って平滑処理を行います。
直径9mm程の孔なので作業は困難ですが、内部を丸型の金ヤスリでやや荒く成形後、スポンジヤスリを突っ込んで平滑処理を行います。
次月の作業予定
今月の作業期間は、三週間でしたが、仮組みを開始して上記解説以外の細かな箇所を含め各パーツの成形調整まで終えました。次月は塗装作業と並行し機体各部の組立て作業に着手したいと思います。
・機体内部の塗装・仕上げ
・機体各部の組立て
それでは、次月末まで、ごきげんよう。
コメント