2024/02/26 製作代行~1/72 航空自衛隊F-4EJ改 #07-8431(ファインモールド)~製作記事#04

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 本作品は、当サイトをご覧頂いた方からのご依頼にて製作代行させて頂いています。ご依頼の機体は、2021年3月まで航空自衛隊で運用されていた戦闘機F-4EJ改「ファントムⅡ」です。それも固有機で機体番号431号機です。本機は、国内生産機のEJ型で、国内最初にEJ改型への改修された機体です。岐阜県各務原市にある航空自衛隊 岐阜基地の飛行開発実験団の配属機として、2021年3月に行われた退役ラスト・フライトで飛行した3機の内の1機でもあります。退役後の431号機は、令和5年3月より、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に収蔵、一般展示されています。

令和6年2月度(第4回)の進捗状況

 前回で機体本組立てにおける下地処理、及びスジボリ直しまで終えましたので、最終工程の塗装作業、デカール貼り作業を経て完成を目指します。それでは各工程の解説です。

パネルライトの追加工作

 と、その前に追加ディテールアップとして、機体の垂直尾翼と機体部分のパネルライトのディテール追加を行います。キットにおけるパネルライトの表現は、モールドでなくデカール対応となっています。ですので、市販アフターパーツで用意されているパネルライト・パーツを機体に貼り付けて、立体的なモールドにて再現します。

 この作業のポイントは、パネルライトの正確な位置での設置と左右対称の精度です。よって、これらを適切に解決するために型紙を作成します。手順は、まず組立説明書の塗装とマーキングのページ、若しくは資料本に収録されている機体の側面図をキットと同じ縮尺になるように拡大縮小にて調整しコピーします。そして、パネルライトと隣接するパネルラインとに囲まれた部分をカッターナイフ等で正確に切り出します。これにて型紙の出来上がりです。

 では、パネルライトの機体取付け作業に移ります。最初は、比較的作業が楽な垂直尾翼部分から着手します。まず、型紙をキットの垂直尾翼に所定箇所にあてがい、マスキングテープで仮止めします。

 次にパネルライト・パーツを型紙に合わせた位置にて垂直尾翼に貼り付けるのですが、作業中のパネルライト・パーツのズレ防止のため、仮止め用の接着剤(非溶剤系)で仮固定し型紙を除去してから、溶剤系の流し込み接着剤にて本接着します。

 機首部分のパネルライトについても、同様の手順にて取付け・接着します。

コクピット内の射爆照準器の取付け

 コクピット・キャノピーの前部風防を取付ける前に、射爆照準器パーツを機体に取付けます。キットの射爆照準器パーツは、一体型のクリアーパーツですが、中央にパーティングラインが入っています。仕上りに影響が出るため、ヤスリ等を用いてライン消し作業を行いますが、照準反射ガラス部分にも及んでおり、処理後におけるガラス部分の透明度復旧作業は、労多くして実りが少ない結果となるので、このガラス部分をカットして、透明プラ板(0.2mm厚)からカッターナイフ等で切出した自作パーツに置き換えて接着します。尚、自作のガラス・パーツのカット部分の小口は、白くなりがちで見た目が余り良くありません。ですので、小口部分にクリアー系塗料を筆塗りして透明度を回復してやります。

 因みに今回の製作では、このガラス部分の縁にクリアーグリーン(エナメル系塗料)を塗ることで、エッジ反射効果により、ガラスが緑っぽく見える様にしています。

機体部分のマスキング

 機体の本塗装に入る前に塗装済み部分であるコクピット、エアインテイク内部、及び主輪・前輪格納室等の開口部の各部に塗料が入らない様にマスキングテープとスポンジを併用して覆います。

 尚、複雑な立体部分にマスキングテープを貼る際は、面になじまず隙間が生じるトコロがあります。この場合は、その隙間に液体のマスキングゾルを塗って対応します。

塗装工程

 塗装作業の手順は、本工房で紹介している塗装方法:カスケード塗りを基準に行います。本製作では先ず、下地調整のサフェーサーを兼ねてシャドー色として、グロス・ブラックを全体に吹きます。

【カスケード塗り/応用形】
【塗装方法の解説】 本サイトの作品において、機体迷彩塗装に用いている多段階グラデーション塗装方法をカスケード塗りと称しています。概要は、ベース色とする溶剤系アクリル塗料(ラッカー系塗料)の各ビン生指定色(ベース色)と、これらベース色を基準に...

 今回の塗装仕上りのイメージでは、空自戦闘機の独特なリペイントによる塗装色のムラ感を持たせるため、追加でグラデーション下地色としてブルー・グレイ色(ミディアムブルー)を全体にスポット吹きします。

 次に上面の迷彩濃グレー色(C307)を吹きます。塗装に際して、パネルラインを残す様にしつつ、わざと色ムラを生じさせるためエアブラシは面塗装ではなく、スポット塗装を重ねる様に行って、先に吹いたグラデーション下地色が微かに残る程度で留めます。

 続いてカスケード塗りの要領で、上面の迷彩濃グレー色に下面の薄迷彩グレー色(C308)を混色した中間色を先と同様に、パネルラインを残す様にして、スポット塗装を重ねる様に行って色ムラ感が自然となる様に調整します。

 上面の迷彩濃グレー色の塗装が完了したら、キット組立説明書の塗装図を同スケールに拡大コピーして、上面の迷彩濃グレー色で残す部分を切り出し、マスキング型紙を作ります。そして、機体部分の所定の位置にセットして弱粘着タイプの両面テープで仮止めします。その他の部分は、マスキングテープやサランラップで覆って養生します。

 マスキング作業が完了したら、迷彩薄グレー色(C308)で主翼や尾翼の縁部分、及び機体下面を塗装します。この場合の塗装方法も、上面と同様にパネルラインを残す様にして、スポット塗装を重ねる様に行って色ムラ感が自然となる様に調整しながら行います。

 機体の迷彩塗装が完了したら、キャノピー部分を除いてマスキング材を除去します。今回、機体胴体後部の赤線帯は、デカールを使用せず先行して行った塗装にて行なっています。

パネルライトの追加補修

 機体塗装が終わって最終チェックをしていると、なんと機体胴体の中央部に設置されているべきのパネルライトが取付け漏れとなっているのに気が付きました。でも、慌てる必要はありません。冒頭の型紙を用いてのパネルライト追加工作の手順に従って、パネルライト・パーツを接着します。

 次に、追加したパネルライト・パーツが取り付くパネルのラインに沿って、マスキングテープを貼って廻りを養生し、シャドーのブラック色を吹きます。

 そして、機体上面の迷彩濃グレー色吹いた後にマスキングテープを除去して、周囲の色調に馴染ませるために中間色を吹いて作業完了です。

排気口廻り焼けの塗装表現

 実機F-4の排気整流パネル面には、その構造上で下地材の配置構成から焼けによる独特の縞模様が付きます。これを再現して塗装でのディテールアップ化を図ります。

 先ず、全体をグロス・ブラックにて下地塗装した上で、クレオスのSM(スーパーメタリック)205:スーパーチタン2を全体に吹いて、ベースのシルバー色とします。そして、リベットラインやパネル面でアクセント的に色味を変えるため、必要箇所をマスキングしてクレオスのSM(スーパーメタリック)203:スーパーアイアン2を部分吹きします。

 ここからシマシマ焼けの工程に入ります。使用するのは、細切りのマスキングテープです。市販の幅0.3mmテープを整流パネル毎で等間隔になる様にして貼ります。そして、クレオスのC61:焼鉄色を吹いて塗装完了。乾燥後にマスキングテープを全て除去して作業完了です。この段階では、金属感が出過ぎて綺麗な仕上りとなりますが、ラッカー系(溶剤系アクリル)の塗料でクリアーコートしますので、各シルバー色の表面が荒れて金属感が落ちついた感じとなり、また、それぞれの色味がはっきりと出てきます。

 因みに今回使用したクリアーコートは、クレオスGX114:スーパースムースクリアーです。この艶消しクリアーを選択した理由は、後の工程で行うエナメル系塗料ブラック系色でのウォッシング塗装で、更に全体的にトーンを下げる(黒味をつける)狙いがあるためです。

スミ入れとウォッシング塗装

 機体各部の塗装が完了しましたので、モールドへのスミ入れと兼用して、全体への色味を落ち着かせるためウォッシング塗装を行います。使用するのは、タミヤのスミ入れ塗料:ブラック、ダークブラン、ライトグレイで2:2:1の比率で混色し、更に溶剤で2倍ぐらいに薄めたものを全体に筆等で塗布します。乾燥後、エナメル系溶剤にてモールドのスミを残す様にして、全体の塗料をティッシュペーパーや綿棒等で拭き取ります。

 尚、今回ライトグレイをいつもの勝手と異なり使用しています。これは、現用機だった実機がクリーニングされて展示機となったことを意識して、パネルライン等を少しだけ目立ちにくくなる様に狙ったからです。

 機体本体の他、尾翼類や排気口廻りのパーツについても、同様にウォッシング塗装を行います。乾燥後も同様に、エナメル系溶剤にてモールドのスミを残す様にして、全体の塗料をティッシュペーパーや綿棒等で拭き取ります。

 全てのスミ入れ兼ウォッシング塗装+拭き取り作業が完了したら、作業効果の保存のためクレオスGX112:スーパークリアーⅢUVカットでクリアーコートを行います。このグロスクリアーを選択した理由は、後の工程で行うデカール貼りでのシルバリング防止を図るためです。

コクピット内小物類の塗装

 近代ジェット戦闘機は、パイロットシートが後設置できる様に別パーツとなっていることが多く、このキットもその例に漏れず、塗装も機体本体と別個に行うことができるので、時間を掛けてじっくり細部まで塗り分けます。塗料の種類による性質を利用すると塗装中の下地塗装の溶解・混色を避けられるので、塗装順序を上手く組立てて手戻りが少なく出来る様に図ります。今回使用した塗料の種類は、ラッカー系、エナメル系、水性塗料系です。塗装が完了したら、クレオスGX114:スーパースムースクリアーでクリアーコートして、かなり薄めたエナメル系塗料(ブラック系色)でウォッシング塗装し、拭き取らずに乾燥させて作業完了です。

 今回の追加依頼であるコクピット・キャノピー枠に取付くバック・ミラーの製作です。今回使用するバック・ミラーのパーツは、市販アフターパーツ(パネルライト・パーツとセット)です。パーツに半光沢のブラック色を塗装後、ミラー面にハセガワのミラーフィニッシュ・シートを貼って仕上げます。

デカール貼り、小物パーツの取付け

 製作工程も大詰めの最終段階を迎えました。そうです、デカール貼りです。 ただし、このキットは、大量のコーションマークが用意されておりますので、覚悟?を持って臨みます。

 このキットのデカールの質は、透明度が高いですが、やや厚手です。が、その分絡まってクシャクシャにならないので、マークソフター等の軟化剤を使って、シルバリングや気泡に注意しながら作業を小分けして進めます。

 デカール貼り作業が完了したら、乾燥に1日間程度取って、仕上げのクリアーコートを行います。因みに今回使用したクリアーコートは、機首レドーム部分にクレオスGX112:スーパークリアーⅢUVカット、機体部分にクレオスGX114:スーパースムースクリアーを吹いて、実機の仕上りに合わせています。

 そして、航空灯等の細部の塗装や既に仕上がっている各小物パーツ(上記と同じクリアーコート済み)を取り付けて・・・・、漸く完成です。

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