2024/01/31 製作代行~1/72 航空自衛隊F-4EJ改 #07-8431(ファインモールド)~製作記事#03

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 本作品は、当サイトをご覧頂いた方からのご依頼にて製作代行させて頂いています。ご依頼の機体は、2021年3月まで航空自衛隊で運用されていた戦闘機F-4EJ改「ファントムⅡ」です。それも固有機で機体番号431号機です。本機は、国内生産機のEJ型で、国内最初にEJ改型への改修された機体です。岐阜県各務原市にある航空自衛隊 岐阜基地の飛行開発実験団の配属機として、2021年3月に行われた退役ラスト・フライトで飛行した3機の内の1機でもあります。退役後の431号機は、令和5年3月より、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に収蔵、一般展示されています。

令和6年1月度(第3回)の進捗状況

 前回で機体の本組立てと小物類の塗装仕上げまで終えましたので、機体の本組立てと下地処理・スジボリ直し作業に入ります。それでは各工程の解説です。

パーツ接合部の隙間処理

 仮組みを終えた段階で課題に感じていたパーツ間の継ぎ目について、各パーツ表面の繊細なモールド・パネルラインと比べると「線の太さ」で、やはり目立ってしまいます。ですので、太さのバランス調整を行うため、その下準備として隙間処理を行います。尚、特に目立つのが、機首と機体胴体との接合部分、及び主翼裏面における前縁の接合部分です。

 隙間処理の方法ですが、今回はタミヤの光硬化パテを用いてパーツ間の継ぎ目の隙間を一旦埋めて、ニードル等でパネルラインと同等のライン・モールドを施します。尚、パーツ間の継ぎ目に隣接するモールドを埋めない様に、予めマスキングテープで養生しておきます。先ずは、機首と機体胴体との接合部分からです。

 タミヤの光硬化パテは、先の細いヘラ等の少し盛って、パーツ間の継ぎ目の隙間に押し込む様に小分けしながら塗り付けます。 そして、光硬化パテが硬化しない内に、綿棒等で更にパテを押し込んだ後、紫外線を照射して光硬化パテを硬化させます。

 光硬化パテが硬化したら、養生用のマスキングテープを除去し、光硬化パテと各パーツとの表面段差をスポンジヤスリで均します。

 次に、主翼裏面における前縁の接合部です。先で行なった機首と機体胴体との接合部分の処理と同様に行います。

 因みに、今回使用したタミヤの光硬化パテについて、硬化後の硬度や掘削性がプラ材に近いので、扱いやすいですね。一般にプラ材に比べて、溶剤系のプラパテは、柔らかく・脆いですし、瞬間接着材系のパテは、硬過ぎます。

全面スジボリ直し

 パーツ接合部の隙間処理を終えましたので、全面スジボリ直しの作業に入ります。先ず、キット全体のスジボリについて、現状の太さと深さを把握するために、エナメル系塗料の黒色を専用溶剤で薄めてスミ入れします。因みに今回使用したエナメル系塗料は、プラ材を劣化させにくいガイヤカラーを使用しています。

 凹モールドの深さについて、メーカーの金型設計の都合上、パーツの形状やモールド位置で脱型時に浅くなってしまう場合がある様で、スミ入れしてみると塗料が残るトコロと残らないトコロが一目瞭然となります。予想通り、全体的にスミが残らないトコロが多く目立ちます。この状況を把握しつつ、全体モールドのバランス調整を行うべく、スジボリ直しの作業方針を検討します。

 キット・パーツにおける凹モールドの断面底の形状は、U字形ですので、モールドの太さを変えないで深くするためにニードル等を用いて断面底の形状をV字形に彫り直します。効果の程は、下写真のパイロン・パーツをご覧下さい。

上パーツは、キットままのモールド、下パーツは、ニードルにて彫り直したモールド

 同様に両翼下の落下式燃料タンク、及び機尾のジェットノズル廻りのパーツについても、スジボリ直しを行います。

 機体本体についても、先の光硬化パテで埋めた部分を含め、同様にスジボリ直しを行います。・・・と文章で説明するとあっさりな感じですが、実際の作業では、このキットにおける凹モールドは、全体的に浅いためスジボリ直しは脱線を伴い易く、その補修も重なって非常に神経を使う作業となりました。

 加えて、モールド量も多いので、根気を要する作業となり、継続した集中力の下で作業を行うべく、1回当たり1~2時間程度の短時間作業とし、何日かに渡って何度も回数を重ねることで漸く作業を終えています。経験上、仕上りに影響する作業について、決して無理は禁物です。

航空灯類の透明化工作

 本キットでは、他の多くの1/72スケール・キットと同じく技術的な再現制約で、灯火類は全て機体本体と一体化のプラ材にて彫刻されています。今回は、ご依頼により各航空灯類について、クリアー系マテリアルを使用して、自作透明パーツに置き換えます。先ずは、垂直尾翼の前縁に設置されているアンチコリジョンライト(衝突防止灯、下写真:赤丸部分)の再現です。この手の埋込み型の直線的な形状は、UV透明レジンを使うと簡単に加工出来ます。作業手順は、事前にライト部分のプラをカッターナイフや金属ヤスリ等を用いて凹状(約3mm×約0.5mm)に掘削成形した後、周囲にマスキングテープを貼って養生し、UV透明レジンを楊枝等の先に付けて少し大き目に盛り付けます。そして、紫外線照射にてUV透明レジンを硬化させた後、金属ヤスリ等で荒削り→マスキングテープ除去→スポンジヤスリ等で段階的に番手(#400→#10000程度)を変えて仕上げ削りして作業完了です。

 次に各翼端灯(主翼端灯・垂直尾翼灯、下写真:赤丸部分)と尾灯(下写真:赤丸部分)の再現です。これらの灯火形状は、半球形状なので透明プラ材を熱加工してパーツを自作します。作業手順は、事前にライト部分のプラをカッターナイフや金属ヤスリ等を用いてカットし平坦に整えます。次に下記の航空灯の自作クリアーパーツ製作法にて半球状の自作パーツ(約0.6mmΦ)を製作し、接着剤(水性クリアーボンドや瞬間接着材)を用いて機体に接着・固定します。

航空灯の自作クリアーパーツ製作法
ディテールアップの目的と効果  航空機に設置されている灯火器具(翼端灯、尾灯、編隊灯等)は、航空灯または位置灯と言い、 航空機の進行方向と位置を表示するための設備です。この部位、スケールキットでは極小パーツとなるため、一般に省略されているか...

次月の作業予定

 今月の作業は、機体本組立てにおける下地処理、及びスジボリ直しまで終えました。次月は、塗装作業、デカール貼りに着手したいと思います。

・機体各部の塗装作業
・機体各部のデカール貼り

それでは、次月末まで、ごきげんよう。

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