陸上自衛隊 輸送航空隊配備機
2020年 木更津駐屯地
◆作品概要◆
【キットメーカー】ハセガワ
【スケール】1/72
【機種タイプ】V-22オスプレイ
【作品の完成】2023年04月
【共通改修】
・機体格納形態への各部ギミック改修
・陸上自衛隊配備機への機体各部改修
【外装工作】
・全面のスジ彫直し、全面のビス・クイックファスナー打ち直し
・放電索(ライトニングアレスタ)を自作追加
【内装工作】
・基本素組み、各部プラ材・真鍮線にて内部補強
・追加ディテールアップ(コクピットのモニターパネル、シートベルト)の追加
【塗装全般】
・本体塗装は基本迷彩を多重グラデーション法(カスケード塗り)により塗色
・機体上面に設けられている防滑スリット柄を塗装にて再現
・機体全体の薄汚れをエナメル塗料にてウエザリング。
・機体番号の黒文字は塗装、その他はデカール(キット付属品)を使用
本機は、これまでに陸上自衛隊への配備や墜落事故等で誌面やニュースで報道されたこともあり、一般の方々に対しても有名な機体となりました。簡単ですが機体について解説しますと、オスプレイは、ティルトローターと呼ばれる飛行方式を採用した、世界初の実用航空機です。
この飛行方式は、主翼両端のエンジン部分と回転翼(プロペラ)を含めた全体(ローター)を傾ける(ティルト)ことで、操縦飛行可能な航空機を差し、目的に応じてヘリコプター・モードと固定翼モードとを切り替えることができます。つまり、固定翼の飛行機とヘリコプターとを足して2で割った航空機とでも呼びましょうか。
陸上における駐機時は、ローター(エンジンナセル)を垂直、若しくは45度程度傾けて固定している事が多く、プロペラ・ブレードを逆Y字状にセットすればローターが水平でも地面に干渉しない設計となっています。尚、艦載時は運用基準上、ローターは甲板上で垂直にしています。
また、格納庫やエレベーターでは、ローターを水平にしつつプロペラ・ブレードは折り畳み、固定翼を回転させて格納に必要なスペースを最小限にする事ができます。
本作品では、キットでのローター部分の回転可動に加え、プロペラ・ブレードは折り畳み機構と固定翼を回転機構を持たせるべく、追加工作を行って差し替え無しで飛行形態から機体格納形態への各部ギミック改修を行っています。
陸上自衛隊用に配備された最初の機体(機体番号:91705)は、アメリカより岩国基地経由で2020年7月10日に木更津駐屯地へ到着し、輸送航空隊に配備されました。
また、同年7月16日には、2機目の機体(機体番号:91701)がこれに続き、2022年3月末時点での陸上自衛隊の保有数は9機となりました。最終的には全17機が配備される予定。
実機における陸上自衛隊向けの仕様は、アメリカ海兵隊型のMV-22BをベースとしたブロックCに該当します。よって、本キットは、陸上自衛隊配属の初号機と謳いながら、ベース機のMV-22Bのままなので、現行固有機の機体番号91702号機で仕上げるには幾つかの改修を行う必要があります。
特に違いが目立つ部分は、機体後部上面にあるアンテナの形状が陸上自衛隊独自のモノとなっており形状がキットと異なっています。因みに丸いドーム状のモノは、衛星電話アンテナで、手すり形状のモノは、HFアンテナです。
尚、手すり状のHFアンテナは、銅線・真鍮線・真鍮パイプを組み合わせて強度確保を図り自作し、ドーム状の衛星電話アンテナは、手持ちジャンクパーツを加工して取り付けています。
更に陸上自衛隊仕様では、ツインの垂直尾翼の天端部に小さなフィンが付いています。キットでは再現されていないので、キットのランナーを削って自作し真鍮線の補強を入れて追加改修を行っています。
また、実機の垂直尾翼の後縁には放電索が設置されていますが、これもキットでは再現されていないので、先行してピンバイスで孔を開けて黒テグス(0.09mmΦ)を差して再現しています。
実機オスプレイの上面には、整備員が歩行できるメンテナンス・エリアを示すラインのマーキングと滑り止め処理がされており、光の反射でストライプ柄の様に見えます。
この滑り止め処理のストライプ柄についてですが、反射でなく直視では、陸上自衛隊機では遠目では余り目立たなく、近くでは認識できるものなので、恐らく基本同色で表面の光沢度の差により、発現していつものと考えます。
これを模型的に再現するため、0.4mm幅のマスキング・ラインテープを切り出して平行ライン状貼ってマスキングし、陸上自衛隊機の3色迷彩が破綻しない様に微妙な明度差を設けて多重グラデーション法(カスケード塗り)により塗装を行っています。
キットのコクピット計器盤類にはモールドが立体再現されています。今回は付属の計器盤デカールを使用し計器盤類のモールドを活かすべく、デカール軟化剤を使用してモールドに馴染ませませています。更にモニター部分に切り出した透明プラ板(0.2mm厚)を水性クリアーボンドを用いて貼り追加ディテールアップを行っています。
また、今回はキット付属のパイロットは搭乗させないので、類似形状のシートベルト(市販アフターパーツ)を追加しています。また、基本塗装はワンウェイトーン塗りにて行っています。
本作品を作り終えての感想ですが、変形ギミック工作に加えて、この独特の機体形状に起因してか製作・塗装共に結構手間が掛かりました。また、今回は1/72の比較的小スケールであることを意識して、スケール感を損なわない様に塗膜面の平滑調整のため、塗膜研磨に気を使いましたので、冒頭の屋外写真をご覧頂くと、その効果を発揮しているかと思います。
Fine
コメント