2022/02/09 製作記事~1/48 零戦22型甲(タミヤ)~#02

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三菱 零式艦上戦闘機22型甲 製作記まとめ(主に工作編)

 今回は、操縦室廻りの製作とディテールアップを中心に解説します。まずは飛行機キット製作上の掟(?)に則り、操縦室内部を仕上げて参りますが、その前後で各部のディテールアップ過程を解説して行きます。

搭乗用の手掛け・足掛けとカウル・フラップの開閉ロッド

 本作品では、機体胴体に搭乗用の手掛け・足掛けを追加しますので、それぞれの位置に孔を開けます。また、手掛け・足掛けの孔は胴体裏側まで貫通させ、プラ板にてパッチを裏に当てますので、操縦室の塗装前に済ませる必要があります。また、カウル・フラップも開状態を選択しますので後ろの隙間から見える開閉ロッドも自作追加しています。以下、工作概要です。

 手掛け・足掛けは真鍮線で自作します。胴体上部の手掛け(2か所)は0.5mmΦで、出を約2mm。胴体中央部の足掛け(1か所)は帯板(0.8mm×0.4mm)で、出を約2mm。胴体下部の足掛け(1か所)は帯板(0.5mm×0.4mm)で、出を約3mmとしています。胴体下面の足掛け(1か所)はプラ板0.5mm厚でステップを切り出し、引込み棒を0.5mmΦの真鍮線を2本差して製作しています。

 カウル・フラップの開閉ロッドも真鍮線で自作します。ロッドは0.3mmΦで片側4本の計8本、長さ約4.5mmに切り出します。次にキットのカウル・フラップ裏側にロッドの基部(0..5mmプラ板を1mm×1.5mmに切り出したモノ)を接着し、ロッドを差し込む孔を貫通させない様に開けます。この穴に瞬間接着剤でロッドを植えていきます。接着剤が乾いたら排気管パーツをセットして機体胴体との仮組みを行い、ロッドの角度を調整しつつ、干渉するロッドはカットする等して長さを調整します。

 工作が完了した搭乗用の手掛け・足掛けとカウル・フラップの開閉ロッドを機体胴体へ仮組みにて、それぞれの納まりバランスをチェックします。

操縦室内の塗装仕上げ

 操縦室内の基本塗装(Mr.カラー:コクピット色/三菱系 No.126)は、定番のワンウェイトーン塗りです。また、下写真は、基本塗装後に計器盤3Dデカール(付属のノブ・レバー類は最後に取り付けます)を貼った状態です。若干薄い近似色部分が3Dデカールです。特筆すべき事は、この3Dデカールの計器盤のメーター部分が、平坦なガラス表現となっている点です。また、この3Dデカールは意外に柔らかく馴染みやすいので、シートベルト部分はのっぺりしないように所々をたわましたり、浮かした方がリアルに見えます。座席シートの座布団(落下傘)について、キットの指定色は紫色なので、持ち込み式の落下傘(搭乗者用八五式)となっていますが、大戦中は、常時座席に設置式の落下傘(搭乗者用九七式)が常備されていたので、茶系色(資料本「ソコハ何色?」P.44参照)で塗装しています。

【ワンウェイトーン塗り】
【塗装方法の解説】  本サイトの作品において、主に操縦室内部や外部から見える主脚格納部等に用いている塗装方法で、下地シャドー色の低明度色(暗色)の上へ、高明度色+彩色(清色)を入射光の照射の如く吹付けて塗装することから、暗清色照射塗法(ワン...

 操縦室内の基本塗装が完了しましたので、仕上げ塗装工程に入ります。一般にカラーエッチングを使用した場合と同じく、今回使用の計器盤3Dデカールは、操縦室内の塗装色(Mr.カラー:コクピット色/三菱系 No.126)とは色味が合わないため、取って付けた感が拭えません。これに対する処置として、更に同系色をアクセント的に追加彩色して全体の配色バランスを取ります。以下、作業概要です。

 まず、全体を馴染ませるためにエナメル・ブラックで操縦室内をウォッシュし、入隅部等の陰になる部分を残しつつ、溶剤で拭き取ります。次に操縦室内色よりやや高明度色をハイライト色として操縦室内壁の凸モールド上面に塗装します。この時、大きな面ではなく内部フレーム等の面が小さいモノを選んで分散的に塗装し、全体にバランスよく配色します。最後にレバーやノブ等の各部へ塗装し、ウェザリングを適宜行ってクリアーコートします。因みにハイライト色は、タミヤ・エナメルカラー:コクピット色(XF-71)を使用しています。

操縦室ロールバー(転倒時保護支柱)廻りのディテールアップ

 操縦室内の塗装完了により、左右の胴体パーツを接着する工程まで進みましたので、操縦室ロールバーを改修します。実機零戦のロールバーは、薄いジュラルミン板を組み合わせて構成されています(資料本「ソコハ何色?」P47参照)。キットもこの構成を概ね反映し背面リブ部分のみ再現されていますが、インジェクションキットの限界からかリブ部はやや厚く、その他部分は省略にてディフォルメされています。本作品は第二風防を開放にて、操縦室を見せる仕上りを予定していますので、このロールバーは意外と目立って見えます。よって、薄厚プラ板(全て0.2mm厚)を用いて改修します。以下、作業概要です。

まず、ロールバー背面リブ部分を削り取り、パーツ継ぎ目と軽め孔を一旦パテ等で埋めて整形後、軽め孔をピンバイスで孔を開けて復旧します。因みに今回使用したパテは、タミヤの光硬化パテで、硬化時間が短くて硬化後はプラっぽい材質になりますので常用しています。次にロールバー側面プラをリベットモールドが消える程度で薄く削ります。これに合わせてロールバー頂部についても削りますが、第三風防クリアーパーツを都度、仮組セットし薄厚プラ板が入るクリアランス確保のチェックながら注意して削ります。最後に薄厚プラ板を大き目に切り出し、プラ用の流し込み接着剤を用いて側面→頂部の順に貼っていきます。接着剤が乾いたらカッターナイフやヤスリ等でロールバーの外形を整えます。また、薄厚プラ板の小口断面が見えるトコロは、カッターナイフ等を用いたカンナ削りの要領でテーパーを掛けて更に薄く(0.15mm程度)します。

 零戦のロールバーを操縦室側から見ると、三角形の人工皮革製の頭当てが装備されていますが、実機では三方を薄いジュラルミン板のリブに囲まれていて、下部は座席高さ調整紐あたりまで覆われています(資料本「ソコハ何色?」P47参照)。キットはで三方リブは再現されておらず、ロールバー本体に頭当てパーツを直接取る付ける構成となっており、また長さも短くなっています。よって、三方リブの再現と頭当てをプラ板を用いて改修します。以下、作業概要です。

まず、ロールバー前面を操縦室後壁面と同面になる様に削ります。この時、操縦室胴体開口の後縁は、操縦室後壁面より少し出ており、この出っ張りラインをロールバーの三方リブの出に合わせますので、この部分におけるロールバーに接する範囲も同面に削ります。次に前作業で説明しました大きめに切り出した薄厚プラ板(0.2mm厚)を側面に貼ります。接着剤が乾いたらカッターナイフやヤスリ等でロールバーの外形を整えますが、操縦室胴体開口の後縁に合わせて三方リブが残る様に調整します。

頭当て、左:プラ板より削り出しの自作パーツ、右:キットパーツ

最後に頭当てですが、キットパーツは長さが足りないので自作します。作業を終えたロールバーにマスキングテープを貼り、三方リブの内側を極細ペンでなぞって形を写しとります。この型取りマスキングテープをプラ板(1.2mm厚)に張り付けて切り出します。切り出したプラ板パーツはロールバー三方リブ内にピッタリ納まる様に調整を繰り返して形が整ったら、プラ板の厚みを約半分に削り周囲に丸みを付けて完成です。

 キットの第3風防パーツを仮セットして、ロールバーの上部が第3風防枠に隙間なくピッタリと接して補強柱(機体転覆時の搭乗員保護のために設置)として機能している感が出てるかを確認します。

 今回はこの辺で、ごきげんよう。

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