2023/01/04 製作記事~1/48 零戦21型(エデュアルド)~#08

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三菱 零式艦上戦闘機21型 製作記まとめ(塗装編)

 前回で全ての工作作業が完了しましたので、今回からは、いよいよ塗装工程に入ります。順次、仕上げ工程について解説します。

風防内の塗装仕上げ

 機体全体の塗装に入る前に、風防と天蓋パーツを機体に取付けるため、風防内の塗装を行います。事前に仕上がっている操縦室内に塗料が入らない様にマスキングテープとスポンジでマスキングを行っておきます。塗装工程は、まずセミグロスブラック(クレオスC92)でベース塗装し、リベットで囲まれた部分を狙ってNATOブラック(タミヤLP-60)を吹きます。この後、半艶クリアーコート(クレオスC181)を行って艶調整おこないます。最後の仕上げにエナメル塗料のミディアムグレー(タミヤXF-20)を希釈して、モールドに流してスミ入れし専用溶剤で拭き取って完了です。

 因みに実機におけるこの部分は、艶消し黒塗装となっていますが、模型用の艶消し塗料による塗装表面では、スケールオーバーとなる感があるのとスミ入れが綺麗に仕上がらないため、半艶クリアーコートを使用しています。尚、艶消し感については、非常に黒色に近いグレー(NATOブラック)を塗装することで、白っぽく反射した艶消し表面として色味で再現しています。

零戦の初期迷彩色(明灰色)について

 機体塗装に入る前に、今回使用する機体色の調色について解説します。零戦の初期迷彩色(明灰色)は、当時の塗料配合資料が残されていないため、当時の関係者や目撃者からの証言、国内外に残された実機残骸等のサンプルに基づいて検証されているのですが、塗装工程による色の発色違いや塗膜の経年劣化に起因して、これまでの幾たび新説が発表されて二転三転を繰り返し今日に至っております。よって、模型塗料を製造しているメーカーからも、是正色として新色が都度リリースされおり、結局、正しいとされる零戦の明灰色はどの様な色味なのか確定できていない状況です。そこで当サイトでは、各方面での情報を独断分析して一定の見解について纏めてみました。(詳細は下記ページ参照)

2022/04/03 日本軍機迷彩塗装考その2~零戦の初期迷彩色(明灰色)~
色見本「海軍航空機用塗料識別基準」とは何か?  昭和13年11月28日付にて、帝国海軍航空本部は、軍用航空機の塗装標準色を定めました。その時に定められた色見本を「海軍航空機用塗料識別基準」といい、色見本帳(カラーチャート)として通称「仮規1...

 よって、本作品では、上記の見解に基づいて零戦の初期迷彩色(明灰色)の調色を行ったモノを使用します。参考にした最も近い色味と考えるカラーチップは、下写真の専門誌に折り込まれている「零式艦上戦闘機用カラーチップ」の「★三菱機11、12、32型全面、52型下面色」です。即ちこの色が、「海軍航空機用塗料識別基準」で規定されている「灰色J3」と考えます。

モデルアート12月号臨時増刊号 ZERO FIGHTER(昭和59年12月25日発行/絶版)
上記誌面に折り込まれたカラーチップのページ(P115)引用
左写真の記載調合比に基づき約40年前に作った調合色「灰色J3」(まだ、使えました)

カウリングの塗装

 カウリングの塗装について、まず全体にセミグロスブラック(クレオスC92)でベース塗装し、リベット、並びにパネルラインで囲まれた部分を狙ってカウリング色(クレオスC125)を吹きます。この後、半艶クリアーコート(クレオスC181)を行って艶調整おこないます。

機体全体の塗装

 機体塗装に先駆けて、操縦室部に風防・天蓋のクリアーパーツを取付け接着してから、窓部分のマスキングをキット付属のマスキングシートを用いて行います。その後、風防・天蓋、及び奥まった部分や陰影となる部分にブラック(ガイアEx-02)を塗装します。

 次に白帯と日の丸等の赤色下地となる部分にホワイト(ガイアEx-01)を吹きます。尚、この段階で機首部前方にある燃料ハッチ(赤色)と発動機潤滑油ハッチ(黄色)部分に塗装する予定でしたが、手持ち資料の検証から機体色にて塗装されていたと判断し、今回はオミットとしました。

 続いて白帯となる部分をマスキングし、赤色となる日の丸や機体番号等の部分を吹きます。因みに使用した塗料は、フィニシャーズのディープレッドです。

 更に赤色部分を浮き等が無いように確実にマスキングします。

 機体色のベース塗装として、パネルラインに沿ってシャドー吹きを行います。尚、「灰色J3」は単純なライトグレーなのですが、実機では、面積効果によるものか青味感があるので、青味感を出すためにシャドー色も青系濃色のネービーブルー(クレオスC14)を使用しています。

ベース塗装シャドー吹き)を終えた状態

 続いて、下地濃色の塗装工程に入ります。今回は単色迷彩なので、カスケード塗りはそのまま使えませんが、考え方を踏襲します。先のシャドー色の色味選定で考慮した青味感出し狙いを引き継いで、下地濃色をミディアムブルー(クレオスC72)で使用し、パネルラインで囲まれた部分を狙って吹きます。補足として、この段階ではリベットラインを無視します。

下地濃色の塗装を終えた状態

 次に自作調合色「灰色J3」の1次塗装として、リベット、並びにパネルラインで囲まれた部分を狙って吹きます。この段階で濃淡が目立ちますが気にしなくても大丈夫です。

自作調合色「灰色J3」の1次塗装を終えた状態

 続いて、自作調合色「灰色J3」の2次塗装を行います。この塗装は全体仕上りの調整を目的としていますので、1次塗装時よりやや薄めに溶いた塗料で、エアブラシのニードル位置設定を開放気味にして、塗装面から20~30cm程の距離から全体的に満遍なく濃淡差を埋める様にオーバーコート吹きします。

自作調合色「灰色J3」の2次塗装を終えた状態

 尚、エアブラシ塗装で薄吹きオーバーコートすると、塗装表面がザラつく傾向があります。また、入隅部分(機体~各翼間のフィレット)も気流の影響で塗装表面がザラつくことが多いですね。この場合の処置として、塗装後に重ねて同種塗料の薄め液(溶剤+リターダー)を生吹きすると、ザラついた塗膜表面が再溶解してなだらかになります。よって、本作品においても、部分吹きによる局部的な塗装表面のザラつきがありましたので、同処置を行った結果、塗膜表面が全体的になだらかになり、かつ面としての光沢も出てきました。

機体全体の溶剤吹き処理を終えた状態

 機体色の自作調合色「灰色J3」の塗装を終え、概ね1日間乾燥後、風防・天蓋、翼端灯等のクリアー部分を除きマスキング材を除去します。因みにマスキング除去する際は、事前に新刃のカッターにて当該マスキングの境界に沿って薄皮一枚分の刃入れを行っておくと、マスキング除去後、綺麗な境界線となります。

 あと注意点として、本作品は、本家三菱の工場生産機としていますので、主脚収納庫内も外装色と同色としています。

 機体外装の基本塗装を終えましたので、次回から墨入れ等のエフェクトを交えた仕上げ工程に入ります。

 今回はこの辺で、ごきげんよう。

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