2022/04/02 製作記事~1/48 零戦21型(エデュアルド)~#04

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三菱 零式艦上戦闘機21型 製作記まとめ(主に工作編)

 前回に引き続き、操縦室廻りの製作について解説します。また、珍しい(?)アクシデントへのリカバー方法も解説していますので、へこたれない模型製作をご覧下さい。

機首7.7mm機銃のディテールアップ

 本作品では、想定外の機首7.7mm機銃にかかる工作を説明します。何故想定外か?、キット7.7mm機銃パーツは、一体成型でリアル再現されてそのまま使用出来るのですが、購入キットでは、残念ながら片側の機銃だけ、弾丸装填レバーのプラ突起部分が欠落していました。尚、本キットは2機入りコンボ・セットなのですが、両ランナー共に同じトコロが欠落していますので、検品若しくは金型に問題があるのかもしれません。お陰でディテールアップを兼ねた再現工作を行うことになりました。以下、工作概要です。

購入キットの右側機銃(No.17パーツ)の後にあるはずの突起部分(弾丸装填レバー)が欠落

 まず、機銃本体から装填レバーのモールドを削り取っておきます。次に装填レバーパーツを自作するのですが、当パーツは細く小さいので強度確保のため金属パーツに置換します。丁度良いのが長方形断面のホッチキスの針で、このホッチキス針の1本をほぐして取り出し、装填レバーの形に整形します。機銃本体パーツの装填レバー基部には予めピンバイスで孔を開けておいて、装填レバー・パーツの差込み代をその孔に差し込み瞬間接着剤で接着固定します。また、装填レバー先端の把手部分は、低粘度の瞬間接着剤を少し付けると表面張力で球体化しますので、硬化促進剤をスプレーして固めます。

 次に7.7mm機銃の銃口銃身は真鍮パイプに置き換えディテールアップすると共に、銃身を後付け出来るように加工します。また、実機機首での銃溝露出する銃身長さを鑑みるとキットの銃身は1.5mm程度長いので同時に長さ調整します。以下、工作概要です。

 ます、キット7.7mm機銃パーツの銃口銃身部を6mmカットし、ピンバイスで孔を開けて真鍮線の取付け軸(0.5mmΦ、見掛かり長さ:約2mm)を差し込んで接着します。次に真鍮パイプに置換する7.7mm機銃の銃身部分の製作ですが、銃身部分の長さをキットより1.5mm短い4.5mmで設定し、2種類径(銃身部分:外径0.7mmΦ/内径0.53mmΦ/長さ4.5mm、銃口部の鉢巻:外径0.9mmΦ/内径0.73mmΦ/長さ1mm)の真鍮パイプを組み合わせて作ります。因みにパイプ同士の接着は、瞬間接着剤にて行っています。出来上がった置換7.7mm機銃の銃身は機首の銃溝から見える取付け軸(真鍮線)へ外から差し込みます。

 機首7.7mm機銃パーツを塗装して、各部もセットして仕上げに向けた位置関係や納まりのチェックを行います。思惑通りに機首7.7mm機銃の銃溝底部を塞いだ効果、機銃銃身の見え掛かり具合、ディテールアップされた機銃の装填レバーがきっちり納まりました。あと、実機通りにカウリングの銃溝部の先端にあるバルジ(突起)もプラ板にて再現しました。

プロペラの塗装仕上げ

 この段階でプロペラを仕上げています。事前工作として、両者共にスピンナーパーツの凹モールドが浅いので、「毛引き」と言う道具を使って彫り直しています。


 本作品の21型は、開戦初期(戦況優勢時)におけるプロペラとスピンナー共にシルバー色バージョンです。同じシルバー色といっても、プロペラとスピンナーはそれぞれ色味が異なり、資料本「ソコハ何色?」でも解説があるように、プロペラはメッキ調のシルバー色で、スピンナーはメタリック調ではない落着いたシルバー色(実機でも銀色塗装)なので、前者はガイアカラーのプレミアムミラークローム(GP-08)、後者はタミヤカラーのシルバー(LP-11)にて塗装し、仕上りの区別化を図っています。尚、プレミアムミラークロームはクリアーコートすると曇るので、そのまま仕上げています。

方向舵の取り付け補強

 補強工作は完成後は目立たない地味な作業であるものの、工作精度を要求されるややレベルの高い工作です。しかし、今後の作業上の取り回しや完成後の強度保持に効果がありますので紹介します。

 本キットでは補助翼、昇降舵、方向舵を別パーツ化されています。これにより機体に多様な表情を付ける事ができるのですが、同時にほぼイモ付け接着なので一体化キットと比べて強度面での低下は否めません。よって、在来工作ですが、ピンバイスで孔開けし、真鍮線(0.4mmΦ)を通し、瞬間接着剤による接着固定を加えて補強を行っています。

操縦室ロールバー(転倒時保護支柱)廻りのディテールアップ

 操縦室内の塗装完了により、左右の胴体パーツを接着する工程まで進みましたので、操縦室ロールバーを改修します。実機零戦のロールバーは、薄いジュラルミン板を組み合わせて構成されています(資料本「ソコハ何色?」P47参照)。キットもこの構成を概ね反映し背面リブ部分のみ再現されていますが、インジェクションキットの限界からかリブ部はやや厚く、その他部分は省略にてディフォルメされています。本作品は第二風防を開放にて、操縦室を見せる仕上りを予定していますので、このロールバーは意外と目立って見えます。よって、薄厚プラ板(全て0.2mm厚)を用いて改修します。以下、作業概要です。

 まず、ロールバー背面リブ部分を削り取り、パーツ継ぎ目と軽め孔を一旦パテ等で埋めて整形後、軽め孔をピンバイスで孔を開けて復旧します。因みに今回使用したパテは、タミヤの光硬化パテで、硬化時間が短くて硬化後はプラっぽい材質になりますので常用しています。次にロールバー側面プラをリベットモールドが消える程度で薄く削ります。これに合わせてロールバー頂部についても削りますが、第三風防クリアーパーツを都度、仮組セットし薄厚プラ板が入るクリアランス確保のチェックながら注意して削ります。最後に薄厚プラ板を大き目に切り出し、プラ用の流し込み接着剤を用いて側面→頂部の順に貼っていきます。接着剤が乾いたらカッターナイフやヤスリ等でロールバーの外形を整えます。また、薄厚プラ板の小口断面が見えるトコロは、カッターナイフ等を用いたカンナ削りの要領でテーパーを掛けて更に薄く(0.15mm程度)します。

 零戦のロールバーを操縦室側から見ると、三角形の人工皮革製の頭当てが装備されていますが、実機では三方を薄いジュラルミン板のリブに囲まれていて、下部は座席高さ調整紐あたりまで覆われています(資料本「ソコハ何色?」P47参照)。キットはで三方リブは再現されておらず、ロールバー本体に頭当てパーツを直接取る付ける構成となっています。よって、三方リブの再現をプラ板を用いて改修します。以下、作業概要です。

 まず、ロールバー前面を操縦室後壁面と同面になる様に削ります。この時、操縦室胴体開口の後縁は、操縦室後壁面より少し出ており、この出っ張りラインをロールバーの三方リブの出に合わせますので、この部分におけるロールバーに接する範囲も同面に削ります。次に前作業で説明しました大きめに切り出した薄厚プラ板(0.2mm厚)を側面に貼ります。接着剤が乾いたらカッターナイフやヤスリ等でロールバーの外形を整えますが、操縦室胴体開口の後縁に合わせて三方リブが残る様に調整します。

 最後に頭当てですが、作業を終えたロールバーの三方リブ内にピッタリ納まる様にキット頭当てパーツの微調整を繰り返した後、周囲に丸みを付けて完成です。キットの第3風防パーツを仮セットして、ロールバーの上部が第3風防枠に隙間なくピッタリと接して補強柱(機体転覆時の搭乗員保護のために設置)として機能している感が出てるかを確認します。

アンテナ支柱の金属化への置換え工作

 アンテナ支柱は、プラ製だと非常に弱く遅かれ早かれ破損してしまうワースト3に入ってしまう部類ではないでしょうか。よって、丈夫な金属を削り出して自作します。ただ、零戦のアンテナ支柱は、意外と細く薄いのに加えやや複雑な形状をしています。ですので、再現は少々難易度が高いですが、補強効果は抜群ですのでやはり手は抜けません。以下、作業概要です。

キット・パーツとの比較
自作金属パーツとの比較

 使用材料は、真鍮線(1.5mmΦ)です。まず、1/48スケールで作図されている資料図集を開いて、アンテナ支柱の形状や長さを確認します。因みにキットのアンテナ支柱パーツは、資料図集のモノより少し短く、形状もデフォルメされています(金型の制約に起因?)。次に真鍮線をミニ・アンビル(金床)の上に置いて金槌等を用い、アンテナ支柱に必要な長さと幅が取れるまで概ね均等な厚みで叩き延ばします。この後、資料図集に合わせてアンテナ支柱の形状と厚みを削り出しますが、最初は電動ヤスリやモーターツール等の電動工具を用いて切削して大まかな形の当たりを付けます。それから、金属製の平棒状ヤスリを用いて外形を整えた後に角部のR面取り、丸・三角断面ヤスリ、細棒状ヤスリ等で細部を整えていきます。最後にスポンジヤスリを掛けて表面の削りキズを取って完成です。

 あと、本作品ではアンテナ線に極細テグスを使いますので、アンテナ支柱先端にピンバイスで孔(0.2mmΦ)を開けています。最後にキットの第3風防パーツを仮セットして、アンテナ支柱の傾きを確認しながら機体胴体へ差込み用の孔をピンバイスで開け、仮セットして正しく納まっているかを確認します。

 今回はこの辺で、ごきげんよう。

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