最近は、海外や国内でニューキットがリリースされる中でも、タミヤのゼロ(1/72、1/48、1/32)が、依然と神キットであることに変わりなく、金型の古いハセガワの1/48ゼロは、オールド・キットの部類に追いやられつつあります。しかし、十二試艦戦から最終の54型まで、ほぼ全ての型式をコンプリートしているのは、ハセガワのみで、大変に貴重なシリーズ化されたアイテムであることは、ご存知の通りですね。
このキットの残念なトコロは、一部設計の配慮不足が起因すると思われる箇所があり、製作仕上りに影響が出ていることです。今回は、これらについてポイントを絞って解説してみたいと思います。
◆操縦室内部の補正◆
まずは、操縦室内からです。定番の操縦席背面の軽め孔の開口は、忘れずにピンバイスで行います。尚、ここでの問題点は、操縦席の前後位置です。キットの位置では、やや前方寄りになっており、座席の後ろスペースが大きいです。ですので、座席パーツの裏面の突起を削って、後方に1mmズラして接着してやると良い感じになります。あと、操縦席後部の座席高さを変える吊りゴム紐ですが、キットでは中途半端にモールドされていますので、部分的にモールドを削り取って、真鍮線(0.3mmΦ)を追加してやると、立体感が出てリアルになります。

◆操縦室廻り、機体胴体内の補強◆
次に操縦室廻り、機体胴体内の補強について解説です。ハセガワ・キットのプラ厚は、やや薄く変形し易いので、製作時の精度が落ちて、隙間や段差が生じることがあります。その対策として、キットのランナー等を用いて、内部に縦方向と横方向につっかえ棒を効果的に入れることで、強度を増すことが出来ます。

続いて、主翼上面パーツ面と機体胴体フィレットとの接続部分の問題点です。このキットでは、先に述べた設計の配慮不足から、そのまま組み立てると、この接続部分に段差や隙間が生じることが多いです。なので、この対策方法について、以下順を追って解説します。
先ず、主脚格納庫部分の主翼内部面にそれぞれ切り出したプラ板(1.2mm厚)を上写真の位置に貼りします。これは、不足している主翼上面パーツの高さ位置の嵩上げ補正を行う目的で設置しています。この対策により、主翼上面パーツ面と機体胴体フィレットとの接続部分での段差は、ほぼ解消出来るかと思います。

次に機体胴体フィレット部分における横方向の補強を行います。切り出したランナー(長さ:約24mm)を操縦室の床裏面に沿わせ、フィレット部分の突っ張り棒として設置し接着します。この時、突っ張り棒でフィレット面部分が変形しない様に注意が必要です。丁度、突っ張り棒が、フィレット面部分に軽く挟まっている程度ぐらいが良い加減です。この対策により、主翼上面パーツ面と機体胴体フィレットとの接続部分での隙間は、ほぼ解消出来るかと思います。

更に主翼下面パーツの補正が、必要ですので解説します。キットの主翼下面パーツをそのまま、機体胴体に合わせると機首前方で段差が生じます。また、主翼前縁部でフィレットの凹モールドも連続しません。この問題を解決するために、主翼下面パーツの後縁にプラ板(0.5mm厚)を貼り足すと、主翼下面パーツが前方にスライドし、これらの問題を解決します。

主翼下面パーツの補正が完了した状態。機首前方で主翼下面パーツと機体胴体との段差は、ほぼ解消し、主翼前縁部でフィレットの凹モールドも連続します。

◆主翼下面の20mm機銃の薬莢排出孔部分のディテールアップ法◆
あと、やっといた方がイイかも的な工作で、主翼下面の20mm機銃の薬莢排出孔部分のディテールアップ法です。キットパーツでは、四角い開口が開いてる状態ですが、実機では、機銃から薬莢排出孔まで斜め横方向に配管でつながっています。これを再現するため、開口の内側(胴体側)にプラ棒(3mm半割)、外側にプラパイプ(外径:8mm/内径:5mm)の4分割した自作パーツを貼り、これらの両小口に切り出したプラ板(0.5mm厚)で塞いで作業完了です。

薬莢排出孔部分のディテールアップを構成する各部材について、簡単ですがスケッチを起こしましたのでアップしておきます。

この工作により、ただの空虚な孔ではなく、何か意図を持った開口の雰囲気が出たのではないでしょうか。因みにこの薬莢排出孔に開閉式の蓋カバーが付くのは、戦争の中後期になってからで、初期の零戦は、開口ままだったとのことです。

Fine

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