2022/02/19 製作記事~1/48 零戦22型甲(タミヤ)~#03

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三菱 零式艦上戦闘機22型甲 製作記まとめ(主に工作編)

 今回も前回に引き続き、操縦室廻りの製作とディテールアップを中心に解説します。前回で操縦室内部の仕上げを完了していますので、今回は操縦室外で風防内の各部ディテールアップ過程を解説して行きます。

アンテナ支柱の金属化

 アンテナ支柱は、プラ製だと非常に弱く遅かれ早かれ破損してしまうワースト3に入ってしまう部類ではないでしょうか。よって、丈夫な金属を削り出して自作します。ただ、零戦のアンテナ支柱は、意外と細く薄いのに加えやや複雑な形状をしています。ですので、再現は少々難易度が高いですが、補強効果は抜群ですのでやはり手は抜けません。以下、作業概要です。

 使用材料は、真鍮線(1.5mmΦ)です。まず、1/48スケールで作図されている資料図集を開いて、アンテナ支柱の形状や長さを確認します。因みにキットのアンテナ支柱パーツは、資料図集のモノより少し長く、形状もデフォルメされています(金型の制約に起因?)。次に真鍮線をミニ・アンビル(金床)の上に置いて金槌等を用い、アンテナ支柱に必要な長さと幅が取れるまで概ね均等な厚みで叩き延ばします。この後、資料図集に合わせてアンテナ支柱の形状と厚みを削り出しますが、最初は電動ヤスリやモーターツール等の電動工具を用いて切削して大まかな形の当たりを付けます。それから、金属製の平棒状ヤスリを用いて外形を整えた後に角部のR面取り、丸・三角断面ヤスリ、細棒状ヤスリ等で細部を整えていきます。最後にスポンジヤスリを掛けて表面の削りキズを取って完成です。

 あと、本作品ではアンテナ線に極細テグスを使いますので、アンテナ支柱先端にピンバイスで孔(0.2mmΦ)を開けています。

射爆照準器(九八式射爆照準器一型)のディテールアップ

 キットにおける射爆照準器(九八式射爆照準器一型)のパーツ割(2分割で下部は機体と一体化)は、精度向上と取付け強度を両立した素晴らしいアイデアです。ですが、射爆照準器の本体は、プラ・パーツなのでデフォルメ化は致し方なく、各部は突起形状にて造形されています。出来自体は従来キットと比べると良いのですが、本作品では操縦室廻りの各部をディテールアップしておりますので、バランスを取る上で、自ずと道連れディテールアップとなってしまいます。以下、作業概要です。

 まず、射爆照準器の本体前部にある十字照準リングに相当するデフォルメ突起、分厚い反射ガラスとフィルターガラスを切取り、切り口を平たんに整えます。次にレンズ部分をWaveのH-アイズ3(クリアー1.2mmΦ)に置き換えますので上部約0.5mmをカットします。WaveのH-アイズは、フラット面に他で余った銀シール(完成後に光の入射加減でキラッと反射します)を貼った後に照準器パーツに接着し、上部曲面部に切り出したマスキングテープ(1.0mmΦ)を貼っておきます。

 この後、ファインモールのエッチングパーツ(日本陸海軍用照準リングセット)から専用の十字照準リングを切り出して、本体パーツに接着します。最後に本体を半艶ブラック、衝突安全クッション部をダークラバー色にて塗装し、全体を半艶クリアーにてコートしてからレンズ部のマスキングの除去、透明プラ板(0.2mm厚)から反射ガラスとフィルターガラス(スモークグレー塗装済)を切り出して接着(美透明接着剤/MR.HOBBYがおススメ)して完成です。

 本作品は、資料本「ソコハ何色?」による各部塗色考証にて行っています。仕上りイメージを掴むため、ロールバー部分を含め塗装を行っていますが、今までのイメージと少し変わって、黒系色部分が増え兵器感がより増した様に感じますね。

機体胴体と主翼の接着

 機体胴体と主翼を接着する前に機体胴体部へ操縦室部分を接着します。その際にキットのランナーを使って胴体横方向の補強を入れます。これにより、機体胴体の側面に力が加わってもフレット部分で割れる心配をする必要がなくなります。

 また、主翼側の事前工作として、キットではモールドのみで表現されている右主翼前縁部の操縦室外気取入れ口の開口します。実機では防鳥網と開閉シャッターが設置されていますが、本作品では防鳥網のみを極小金網(100メッシュ)の取り付けにて再現しています。

 これらの工作を行った後、ようやく機体胴体と主翼との接着を行います。キットの主翼パーツは、上反角や下面パーツと上面パーツとのモールド整合の精度が良いので、まず、胴体パーツに対する下面パーツパーツの位置決めを行った上で下面パーツパーツのみ先行して接着します。その後、接着剤の乾燥を待って主翼上面パーツを下面パーツ、及び胴体パーツへ接着します。

 この後、本作品では風防内の凸リベット工作を行っています。本来この作業は、操縦室部分を機体胴体へ接着する前に行っていた方が効率が良いと思いますので補足しておきます。キットにおけるこの部分は凹リベット・モールドで表現されていますが、実機は風防に覆われた操縦室内なので空気抵抗の考慮が必要ないことから、従来の凸リベットが打たれています。本作品では趣味人ワークスから発売されている極小凸リベット成形ツール(Dr.リベット)を用いて凸リベットを作成しています。以下、作業概要です。

 作業手順は、①機体胴体の左右パーツを接着・継ぎ目消し作業を行います。②次に継ぎ目消し作業にて消えた凹リベット・モールドをカルコ等を用いて再生します。因みに凹リベット・モールド位置に凸リベットを打設しますので、出来るだけ正確に再生することが望ましいです。③Dr.リベットを用いて粘着テープ付きの凸リベット部品を作成し、キット凹リベット・モールド位置に打設(貼付け)します。④打設後の凸リベットは、ピンセット等を用いて位置調整を行い、綿棒等で上から押さえて圧着の後、その上に接着剤(プラ用流し込み)を塗布して接着補強を行います。⑤塗布した接着剤が乾燥後に仕上げ塗装を行い完了です。尚、作業手順の詳細については下記に記載していますので、ご参考下さい。

【乾式凸リベット打ち】
使用する工具  まず初めに、当サイトの作品製作において、凸リベット作業に使用している主なツールを紹介します。尚、類似する代用品を使うことも可能な場合がありますので参考程度として下さい。 極小凸リベット整形ツール(Dr.リベット)  上の写真...

 因みに実機零戦の風防内の機体外面は全て艶消し黒色に塗られています。本作品では、模型映え効果を期待して半艶黒色(ベース:Mr.カラー:セミグロスブラック No.92+ハイライト(パネル部):タミヤカラー:LP-60 NATO BLACK)に仕上げています。

 更に凸リベット部分には、タミヤエナメル系塗料の暗灰色(XF-63 ジャーマングレイ)を用いでドライブラシを行い、凸モールド部分にハイライトを掛けて仕上げています。

 今回はこの辺で、ごきげんよう。

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