2025/06/29【ハセガワ1/48零戦】製作の勘所~追加工作編~

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 最近は、海外や国内でニューキットがリリースされる中でも、タミヤのゼロ(1/72、1/48、1/32)が、依然と神キットであることに変わりなく、金型の古いハセガワの1/48ゼロは、オールド・キットの部類に追いやられつつあります。しかし、十二試艦戦から最終の54型まで、ほぼ全ての型式をコンプリートしているのは、ハセガワのみで、大変に貴重なシリーズ化されたアイテムであることは、ご存知の通りですね。
 このキットにおいて、設計の配慮不足が起因すると思われる部分の改修内容については、別記事の「補正工作編」をご覧頂くとして、本記事は更なる追加工作にポイントを絞って解説してみたいと思います。

◆主翼の「ねじり下げ」の再現◆

 まずは、零戦模型における定番、主翼の「ねじり下げ」の再現からです。キットの主翼は、一応金型造形で「ねじり下げ」が加味されている様ですが、如何せん、内部が空洞の所謂、モナカ構造となっており、押えるとフカフカします。ですので、主翼上面と下面パーツの接着時における押さえつける加減で、キットに仕込まれた「ねじり下げ」が正しく再現されず、また主翼断面の形状が左右で対象にならないリスクを抱えています。この対策として、主翼内部に自作の主桁骨を入れてやることで、「ねじり下げ」の再現と同時に主翼断面の形状が左右対象とすることが出来ます。下写真は、主翼の主桁骨の自作スケッチ(エデュアルド・ゼロ製作時のもの)です。スケッチ図の内容で各部パーツのプラ板を切り出します。

 で、切り出した自作の主翼の主桁骨パーツを主翼下面のキット・パーツに接着した状態です。因みに自作の主翼桁骨をセットする位置は、キットにモールドされている主桁位置に合わせています。尚、ハセガワ・キットのプラ厚は、少し薄い様で、主桁骨パーツと主翼上面パーツとの間に隙間が生じますので、プラ板(0.5mm厚)を幅1.5mmに切り出してスペーサーとして全体を嵩上げしています。

 主翼内に自作の主桁骨パーツをセットし、キット主翼上下面パーツを接着した状態です。下写真ではわかりにくいですが、定規の下側目盛の3cm付近から主翼先端に向けて、主翼上面が徐々に下がって来ています。うまく「ねじり下げ」が再現できました。

◆第二風防のスライド・レールの再現◆

 続いて第二風防のスライド・レールの再現です。キットのこの部分は、単なる凸状になっていますので、削り取ってL型プラ棒(エバーグリーン/No.292:2mm✕2mm)に置き換えます。尚、L型プラ棒は、後部にモールドされている機体レールと一体となるように、内外で連続する様に切削・調整します。

◆第二風防のスライド化の再現◆

 ハセガワ48のゼロ・シリーズにおける模型としての観点で、良い点として挙げられるトコロは、風防パーツの構成形状ではないでしょうか。キットの風防は、第一、第二、第三の3ピースに分割されたパーツのみで、第二風防の開状態と閉状態を選べる構成になっています。

 具体的に良いトコロは、第二風防の開閉の際、自然な感じでスライドすることです。でも製作上は、第二風防を開状態か閉状態かの2択で接着固定するか、それとも、接着固定しないで開状態か閉状態かを可能にするかのどちらかになります。

 因みにこの構成では、第二風防のプラ厚で第三風防の幅がやや狭まるので、プロポーション的にデフォルメされていることになりますが・・・。

 そこで、先述の「第二風防のスライド・レールの再現」が活きてきます。この再現されたレールをちゃんと機能させるために、第二風防の両底面の前方部分にレール軸を仕込みます。

 工作方法は、まず第二風防の両底面の前方部分にニードルを刺して当たりを付けた後、第二風防の透明パーツが割れない様に注意しつつピンバイスを用いて、0.2mmΦ→0.3mmΦ→0.4mmΦの順に孔径を大きくし、深さ0.5mm程度の孔を開けます。次に洋白線(0.3mmΦ)をL字型に曲げ、第二風防の透明パーツに開けた孔に差して、瞬間接着を楊枝の先に少量つけて塗布し接着します。

 この追加工作により、機体側のスライド・レールに第二風防に設置したレール軸をはめ込み、第二風防のスライド化と脱落防止が両立することが出来ます。(レール軸の掛かり代:0.5mm程度)尚、第二風防の機体側との脱着は、第二風防の底幅を少し広げてやることで可能ですので塗装後に後嵌めします。

◆機銃ガス抜き孔のリアル開口◆

 機首にモールドされている機銃ガス抜き孔のリアル開口について解説します。キットの裏面から、このモールド位置に合わせてリューターで薄く削っていくと、モールド部分のみが薄く透けてきます。
爪楊枝でこの薄くなったモールド部分を突くと綺麗に孔が開きます。そして、裏からピンバイスで1mm径の孔を開けたプラ棒(2mmΦ)を当てがって、配管が内部に繋がっている様に接着して作業完了です。

◆機首の防火壁スリットのリアル開口◆

 次は機首の防火壁スリットのリアル開口です。キットではこの部分、凹モールドで表現されていますので、先の機銃煙の排出孔の開口と同じ要領で、キットの裏面から、このモールド位置に合わせてリューターで薄く削って開口します。

 下写真は機首の防火壁スリット部分におけるキット裏面の状態です。機銃ガス抜き孔部分のディテールアップ箇所(白いプラ材)も確認できますね。

◆転覆時保護支柱廻りのディテールアップ◆

 そして最後は、転覆時保護支柱廻りのディテールアップです。まず、転覆時保護支柱に設置されているヘッドレストの改修です。キットのヘッドレストの丈は短いので、丈長さを下方延長してやる必要があります。尚、延長の目安は、操縦席後部の座席高さを変える吊りゴム紐の直上までで、切り出したプラ板(0.5mm厚)を接着して延長しています。

 続いて転覆時保護支柱です。私見ですがこの部分、零戦が薄い板を張って作られている事を認識させる重要な部分と思っています。ですので、零戦キットの製作では、ここを作り込むと操縦室内のゴチャゴチャ感との相乗効果でグッと「らしく」なります。転覆時保護支柱部分のリブは、プラ板(0.2mm厚)で、操縦室内操縦席後部のリブは、プラ板(0.3mm厚)で追加しています。後、転覆時保護支柱の天端部分は、第三風防との隙間塞ぎも兼ねてプラ板(0.5mm厚)を貼って、接続する第三風防に彫刻されたモールドに合わせて大きさを調整しています。
 因みに十二試艦戦キットの組立説明書では、この転覆時保護支柱の設置をオミット指示ですが、実機では設置されています。尚、キットでは余剰パーツ扱いとなっていますが、キットパーツが使えるので忘れずに設置して下さいね。

 以上、1/48スケール・キットでは、少しやり過ぎ感が漂う追加工作内容ですが、部分的にでもお役に立てれば幸いです。

Fine

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