【カスケード塗り/応用形その2】

【塗装方法の解説】

本サイトの作品において、機体迷彩塗装に用いている多段階グラデーション塗装方法をカスケード塗りと称しています。
概要は、ベース色とする溶剤系アクリル塗料(ラッカー系塗料)の各ビン生指定色(ベース色)と、これらベース色を基準に一定のルールにて混色した中間色(基準色2色に付き1色)を加え、エアブラシによる黒系色(シャドー色)立上げ塗装で、濃色から中間色、明色へ順に色を重ね吹きにてグラデーション構築して行きます。加えて、塗装膜表面の平滑化と下色味の自然浮出しを兼ねた研磨処理を経て、黒系エナメル塗料でのウォッシング。最終にベース色や中間色で不具合箇所の部分補修とハイライト色の部分追加塗装を行います。
この塗装方法の特徴は、迷彩塗装に用いる各指定色(ベース色)とこれらの混色(中間色)、及び黒系下地色(シャドー色)との間で、全体的に連携かつ統制された階段状(カスケード)の色調(色相・明度)を構成することであり、グラデーション塗装を用いて外板パネル等のうねりや塗装面の経年劣化を表現しています。

【塗装方法の手順】

手順の解説は、造形村製1/48フォッケウルフTa152H-1を作例に順次行っていきます。迷彩塗装のパターンは、大戦後期に施されたグリーン系標準迷彩色の3色(RLM81:ブラウンバイオレット/RLM82:ライトグリーン/RLM76:ライトブルー)です。

塗装下地の調整と先行部分塗装

サフェーサー吹きにて塗装下地を整えた後、全面リベット打ち作業を経て全体にスポンジヤスリをかけてリベット周辺のメクレを均し、超音波洗浄器(ぬるま湯が良いです)に浸けて凹モールドに溜まったプラ粉塵を除去します。洗浄後、十分に乾燥してから必要各部へマスキング(テープとスポンジの併用)を行っておきます。

続けて、先行部分塗装として国籍マークの塗装を行った後、国籍マークのマスキングを行います。

作業1:パネルライン部分への黒系色ライン塗装

最初の工程は、キット全体でスジ彫り表現されている全てのパネルライン部分、及び陰となる隙間等の部分へ黒系色(シャドー色)をエアブラシにて細吹きします。
因みに今回作例で使用した黒系色(シャドー色)は、Mr.カラー:セミグロスブラック(C92)です。

作業2:機体上面部分への暗迷彩ベース色の塗装

パネルライン部分等の黒系色(シャドー色)の残し加減については、直接パネルラインへベース色が乗らなければ、ほとんど残らなくても後工程で調整は可能です。

次に、前工程の黒系色(シャドー色)で細吹きしたパネルラインや陰部等を避けて、パネルラインで囲まれた面(パネル・ゾーン)へグラデーションを付けるように上面暗迷彩ベース色をエアブラシにて吹きます。この時、パネルライン部分等の黒系色(シャドー色)がうっすらと残るように調節することがポイントです。
因みに今回作例で使用した上面暗迷彩ベース色は、Mr.カラー:ブラウンバイオレット/RLM81(C121)です。

作業3:機体上面の暗迷彩ベース色へハイライト色(中間色)の塗装

上面暗迷彩の中間色にてハイライト塗装(左翼部分は未塗装)
上面暗迷彩の中間色にてハイライト塗装(左翼部分は未塗装

さらに中間色(上面暗迷彩ベース色と下面迷彩ベース色を概ね6:4で混色)を ハイライト色として細吹きにて、パネル・ゾーン内のリベット・ラインで囲まれた部分を狙ってスポット・グラデーション塗装します。その際も前工程の上面暗迷彩ベース色や黒系色(シャドー色)は薄っすらと残るようグラデーションを付けます。
因みに本作例で使用した下面迷彩ベース色は、 Mr.カラー:ライトブルー/RLM76 (C117)です。

上面暗迷彩の中間色にてハイライト塗装(作業完了)

作業4: 機体上面の明迷彩色ベース塗装のマスキング

組立て説明書に掲載されている塗装図の拡大コピー、若しくは等倍縮尺の自作塗装図を切り出した型紙をマスク材として使用します。尚、マスキングは 僅かなボカシ幅でもって境界ラインを形成すべく、1mm厚の両面テープ(弱粘着)で固定と浮きクリアランスの確保を行っています。

作業5:機体上面部分への明迷彩ベース色の塗装

次に、前工程の黒系色(シャドー色)で細吹きしたパネルラインや陰部等を避けて、パネル・ゾーンへグラデーションを付けるように上面明迷彩ベース色をエアブラシにて吹きます。この時も、パネルライン部分等の黒系色(シャドー色)がうっすらと残るように調節することがポイントです。
因みに今回作例で使用した上面明迷彩ベース色は、Mr.カラー:ライトグリーン/RLM82(C122)です。

作業6:機体上面の明迷彩ベース色へハイライト色(中間色)の塗装

上面明迷彩の中間色にてハイライト塗装(左翼部分は未塗装)
上面明迷彩の中間色にてハイライト塗装(左翼部分は未塗装)

さらに中間色(上面明迷彩ベース色と下面迷彩ベース色を概ね6:4で混色)を ハイライト色として細吹きにて、パネル・ゾーン内のリベット・ラインで囲まれた部分を狙ってスポット・グラデーション塗装します。その際も前工程の上面暗迷彩ベース色や黒系色(シャドー色)は薄っすらと残るようグラデーションを付けます。
因みに本作例で使用した下面迷彩ベース色は、 Mr.カラー:ライトブルー/RLM76 (C117)です。

明迷彩ハイライト塗装における縁取り塗装

上面の迷彩塗装における変化を加える効果として、暗迷彩色との塗分けラインに沿って縁取りラインを入れます。本作例では再度、上面明迷彩ベース色を塗分けラインに沿って吹いています。

上面迷彩の中間色にてハイライト塗装(作業完了)

縁取り塗装の完了後、迷彩マスキングを除去し上面の迷彩色部分の塗装が完了した状態。(上写真の状態)

作業7: 機体側面・下面の迷彩色ベース色の塗装

機体側面、及び下面部分へ下面迷彩ベース色を塗装するため、上面迷彩色部分との塗分けラインに沿ってマスキングを施します。上面迷彩塗装工程と同じ方法でマスキングし同様に僅かなボカシ幅でもって境界ラインを形成すべく、1mm厚の両面テープ(弱粘着)で固定と浮きクリアランスの確保を行っています。

前工程の黒系色(シャドー色)で細吹きしたパネルラインや陰部等を避けて、パネル・ゾーンへグラデーションを付けるようにした下面迷彩ベース色をエアブラシにて吹きます。この時も、パネルライン部分等の黒系色(シャドー色)がうっすらと残るように調節することがポイントです。
因みに本作例で使用した下面迷彩ベース色は、 Mr.カラー:ライトブルー/RLM76 (C117)です。

とりあえず、機体迷彩塗装が完了しマスキングを除去した状態。尚、下面迷彩のハイライト色の塗装は後の工程で行います。また、 マスキングからはみ出したミストは、エナメル溶剤を含ませた綿棒で優しく擦って可能な限り除去します。(ミストは多少残っても後の工程で修正可能です)

作業8:機体全体塗膜の1次研磨

全体の塗装が完全乾燥(丸1日間の養生をお勧めします)したら、機体全体に番手の高い(細かい目)スポンジ・ヤスリ(使い古して柔らかくなったものを使用すると良いです)→ヤスリステック フィニッシュ(ウェーブ)を使用して艶が出るまで研磨します。この研磨の目的は塗膜の表層部分のザラ付き除去や国籍マーク等部分との塗分け部の不陸を慣らすことと、パネルラインのシャドウ色のグラデーションの調子をある程度整えることです。尚、研磨によって凸部や角部等で部分的に下地色が露出することがありますが、後の工程で補修や調整は可能(ただし、限度がありますので最小限に留めて下さい)ですので、作業が完了したらそのまま次工程へ移ります。

作業9:機体側面の斑点迷彩(モットリング)の下書き

ドイツ空軍機特有の迷彩であるモットリングの塗装作業に入ります。モットリングの位置、大きさ、形状の目安をモットリング色に合わせた近似色の色鉛筆でフリーハンドで描いていきます。

作業10:機体側面の斑点迷彩(モットリング)の塗装

モットリング塗装は、細吹きエアブラシ(0.2mm径)を使用します。尚、塗料の希釈は通常塗装時より薄めに調整する必要があります。感覚的に希釈程度は通常時の1.5~2倍でしょうか。近接吹き(距離5~10mm程度)となりますので紙等で試験吹きを行ってコツを事前に掴んで下さい。

まず暗迷彩色(RLM81)の部分から塗装し、明迷彩色(RLM82)の部分へと移行します。尚、多少ミストが飛んでも塗装乾燥後、先工程のスポンジヤスリにて研磨すればある程度補正できます。

作業11:機体全体塗膜の2次研磨

モットリング塗装工程が完了しスポンジヤスリにて補正研磨後、二次研磨作業を行います。二次研磨では塗膜が持つ本来の艶が出るまで研磨します。クリアーコートによる艶と異なり引き締まった硬質感ある艶が出ます。

作業12:ウォッシング(+下面迷彩ハイライト塗装)

機体全体色のトーンを整えることと、パネルラインやリベット部分等の凹部への墨入れとを兼ねて、機体全体にウォッシング塗料を塗布します。尚、ウォッシングにはエナメル系塗料を薄めたものやスミ入れ等専用に調合された塗料を使用します。
因みに今回作例で使用したのは、タミヤ:スミ入れ塗料(ブラック)と同(ダークブラウン)を2:1にて混色したものです。

全体のウォッシング塗装が概ね乾燥したら、エナメル系溶剤を付けたティッシュペーパー等で全体を荒拭きし、その状態で一旦乾燥させます。次に、エナメル系溶剤を付けた綿棒を使って、僅かにウォッシング塗装が残る様に一方向に綿棒を動かして拭き取って行きます。尚、綿棒を動かす方向は、機体胴体部は上から下へ、翼部分は前から後ろへとすると良いようです。
この一連の作業が完了したら、ウォッシング塗装が濃く残ってしまった部分や、前工程の塗膜研磨時で不自然に下地色が露出した部分へ、エアブラシ細吹きで暗迷彩色部分には暗迷彩ベース色、明迷彩色部分には明迷彩ベース色をスポット吹きにて補正(必要に応じて再マスキング)します。この時、各迷彩色部分は、ウォッシング効果でトーン・ダウンしていますので、再塗装色が第3の中間色となります。次にこの効果を利用して、トーン・ダウンした下面迷彩塗装をベース色として、下面迷彩色のハイライト塗装を行います。下面迷彩ハイライト色は再度、 Mr.カラー:ライトブルー/RLM76 (C117)を細吹きにてパネル・ゾーン内のリベット・ラインで囲まれた部分を狙ってスポット・グラデーション塗装します。その際も前工程の下面迷彩ベース色や黒系色(シャドー色)は薄っすらと残るようグラデーションを付けます。

作業13:基本塗装の完了⇒クリアーコート塗装

以上の基本塗装が完了したら、溶剤系アクリル塗料(ラッカー系塗料)のクリアー色にて全体をコート塗装し、これまでの塗装を保護します。
因みに今回作例で使用したクリアー色は、Mr.カラー:スーパークリアー半光沢(C181)としています。

以上

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