零戦虎徹~母艦直掩~(2023年)

1/48スケール

帝国海軍 正規空母「瑞鶴」戦闘機隊 第2小隊一番機 岩本徹三 一飛曹 搭乗機

昭和16年12月8日 ハワイ沖近海

◆作品概要◆
【キットメーカー】エデュアルド
【スケール】1/48
【機種タイプ】零式艦上戦闘機21型
【作品の完成】2023年01月

操縦席及びその廻りのディテールアップ。発動機点火プラグ線の追加。プロペラの磁石脱着加工。アンテナ支柱、ピトー管及び機首機銃の金属置換。機体モールド・リベットの総彫り直し。主脚出し表示棒の自作変更。主脚ブレーキホース追加。アンテナ空中線張り。増槽の磁石脱着加工。零戦独特の主翼「ねじり下げ」の補正と主翼断面の確保の追加工作。機体は微グラデーションによる光沢仕上げ。また、コーション類を除いた帯・機体番号と国籍標識は塗装。

零戦特有の主翼先端に向かい垂れ下がる「ねじり下げ」の再現
右主翼先端折上げの補助翼端部「補助翼保護棒」追加
海軍特有の艦上機における光沢仕上げ
プロペラ・ブレードとスピンナーとの異なる仕上げの銀塗装

 零式艦上戦闘機は、昭和12年に帝国海軍より提示された12試艦上戦闘機の計画要求書を受けて三菱重工にて制作し、制式採用された戦闘機です。

 本型は、最初に採用されたタイプ11型に艦戦としての艤装である、着艦フック及びクルシー無線帰投方位測定装置の設置、さらに航空母艦上の運用を容易にするために翼端50cmを折畳める機構を設けた零式1号艦上戦闘機2型(後に零式艦上戦闘機21型と改称)で、昭和15年11月から生産されたタイプです。

 零式艦上戦闘機(以下 零戦)は、出現当時から大戦中盤まで運動性能が抜群で、火力、速力当も当時の艦上戦闘機の水準を超え、陸上戦闘機すら凌ぐものでした。

 さらに熟練搭乗員(ベテラン・パイロット)に操られ、各地の戦線で無敵とも思える強さを発揮し、連合軍のパイロットに「ZERO」と呼ばれ、非常に恐れられました。

 21型は、零戦の「無敵神話」に大きく貢献したタイプで、量産のため三菱重工のみならず中島飛行機でも昭和16年11月から生産され、以後の改良機である32型、22型、52型が、三菱重工にて製造されている期間も中島飛行機にて昭和19年6月まで生産されました。本型の生産数は、零戦の総生産数10,123機の約36%を占める3,561機で、その内訳は三菱重工が740機、中島飛行機が2,821機でした。

 本作品のマーキングは、総撃墜202機の帝国海軍航空隊トップエース岩本 徹三 一飛曹(最終:中尉)搭乗機で、日米開戦ハワイ島攻撃時の正規空母「瑞鶴」の艦載機としています。岩本一飛曹は、老練な実戦経験者として豊富な経験を買われ、機動部隊上空の直掩(哨戒)任務を命じられたため、ハワイ島への攻撃制空隊に参加していませんでした。著書「零戦撃墜王」には、それでも敵機来襲は必ずあると気を取り直し任務を遂行されたと記述があります。しかし、ハワイ島攻撃は、完全な奇襲攻撃として成功したため、艦隊上空での空戦は行われませんでした。

 本キットは、遠く欧州チェコのメーカーであるエデュアルド社から日本のメーカーとモデラーへの奇襲攻撃の如く、一昨年の2021年暮に完全新金型にてリリースされました。その衝撃は正に「我レ、奇襲攻撃に成功セリ!。トラ・トラ・トラ!」ですね。以下、簡単ですが本作品について解説します。
 

 主翼に搭載された20mm機関砲の銃口部分は、真鍮パイプに置換えてあります。右側主翼前縁にあるコクピット内空気取り入れ口には、細めメッシュを追加しています。主脚のブレーキホースは、0.3mm径のソフトワイヤーにて追加しています。

 コクピット内のディテールアップとして、射爆照準器のガラス部分は、0.2mm厚の透明プラ板に置き換えて自作しています。

 発動機には、点火プラグ線を極細の金属線を追加しディテールアップしています。また、操縦室内の後方にある保護柱(ロールバー)のディテールアップ、操縦座席を吊っているゴムひもを真鍮線にて再現し追加しています。

 風防・天蓋は、キットのものを使用し縁を薄く削りました。また、第二風防には、キット付属のエッチング・パーツで開閉用のコの字型の手掛けとロック用のバーを取付ています。

 増槽タンクの後部下面には、空気抜きパイプを真鍮パイプにて追加しディテールアップすると共に、機体側に埋め込んだ磁石で、簡単に脱着出来る様に改修しています。また、集合排気管は、市販の細い径のストローをカットして使用しています。

 主翼翼端部の折り上げ機構は、タミヤ零戦22型キットの接続パーツを流用して組み込んでいます。また、主翼下面にあるロック解除用の埋込み把手部、補助翼端部の保護目的で設けられる、「補助翼保護棒」を自作追加しディテールアップしています。

 アンテナ線は、市販の0.13mm径の黒色ナイロンテグスを使用しました。尚、尾翼のアンテナ線の取付け基部は、極細金属線をよじって制作し取り付けてあります。

 アンテナ支柱は、真鍮線の削り出しにて自作しています。また、機首の7.7mm機銃は、径の異なる真鍮パイプを組み合わせて自作し置換えています。また、主翼上面の脚出指示棒の内側は実機の検証通り黄色に塗色しています。

 カウリング上部の機銃弾道溝には、実機通り小突起を再現しディテールアップしています。

 本作品は、航空母艦搭載機で発艦前の状態としていますので、汚し無しとすると共に、海軍伝統の油磨きでピカピカに輝く仕上げとしています。

 本作品を作り終えての感想です。このキットの製作で、補強を目的とする工作で色々と手を入れましたが、零戦独特の主翼「ねじり下げ」の補正と主翼断面の確保(キット:従来のモナカ構造への対処)以外は、良く出来た零戦21型のキットです。流石、最新金型キットですね。あと、全面凹リベットが施されていますが、浅いトコロ(特に主翼上面等)がありスミ入れ時に濃淡が生じると思われます。これについては、スジボリ・モールドも同様です。よって、これへの対処として、本作品では総モールド・リベットをラインチゼルやニードル等でなぞって、深く均一になる様に追加作業を行っています。この点、出来ればメーカーで金型補正を行って頂きたいトコロですね。いいセンいってるのに勿体ない・・・。

Fine

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