製作代行のご依頼製作です!!
今回のご依頼機体とマーキングは、航空自衛隊で調達されたJ型で、J-MSIP仕様の初号機であり、かつ近代化改修された「82-8899号機」です。航空自衛隊のF-15J戦闘機についての解説は、もはや有名機であるのでここでは割愛しますが、J-MSIP(航空自衛隊では単に「MSIP/エムシップ」と呼称)について解説します。
J-MSIP(Japan-Multi-Stage Improvement Program)とは、日本版多段階能力向上計画の意味で、米国のMSIPと同様、一気にフル改修すると予算的にも厳しくなるため、段階を追って少しずつ改修を行うために将来的な発展性を予め持たせる手法のことで、日本では、生産ライン上の途中から独自の仕様変更を行って機体の改良・アップグレードを行っています。因みにJ型における調達方法の内訳は、アメリカより空輸された最初の2機(02-8801/802)の三菱重工で再組み立て、続く8機(12-8803~22-8810)はノックダウン生産、残りは部品を国産化したライセンス生産で155機(22-8811~82-8965)の計165機(DJ型48機を合わせて合計213機)となっています。J-MSIP仕様機(以下、MSIP機と表記)は、1985年(昭和60年)以降に納入された調達区分C-6からC-17ロットの103機(J型:82-8899号機-82-8965号機、DJ型:52-8063号機-92-8098号機)が該当しますので、機体番号から、ライセンス生産期間中に実施されていることが分かります。尚、1981年(昭和56年)から1984年(昭和59年)までの先に納入された調達区分C1~C5ロットの機体は、便宜的にPre-MSIP機(MSIP非適用機)と呼称します。該当機体は、F-15J では、98機(02-8801号機-82-8898号機)となっています。
MSIP機は、パイロットの操作性向上、兵装管理やバリエーション追加能力の向上、及び各種電子機器の演算能力向上が主体とする搭載装備の仕様変更のため、Pre-MSIP機との外見上の差異は、コクピット周りと胴体側面のアンテナやセンサー追加の違い程度となっています。尚、改修の進み方における個体差もあり、判別には複数ポイントを総合的に観察する必要があります。
続いて生産終了後(J型は1998年(平成10年)11月4日の165号機の生産で終了)の2002年度~2008年度の期間には、更なるアップグレードに向けて「近代化改修」が行われました。この「近代化改修」は、大きく分けてMSIP機を対象とする改修計画と、Pre-MSIP機を対象とする改修計画との2種類がありますが、今回はMSIP機の近代化改修計画についてのみ簡単に解説します。MSIP機の近代化改修計画の当初は、改修の進捗状況によって形態一型と形態二型に分けられており、外見上で分かる主な点では、形態一型(試改修初号機:12-8928)は、IRST(赤外線探索追尾装置)を追加装備することでシーカー部分が風防前に突出する形状となった他、空調設備と発電装置の改良に伴い、操縦席後方右側面の空調用丸型排気口が廃止されました。形態二型(試改修初号機:32-8942)は、機体後部にある両アウトリガー後端部にECM用のアンテナが追加され形状が異なる他、両アウトリガー側面に新たにアクセスパネルが設置されたため、フォーメーションライトが分割される形状となりました。しかし、実際に機体を改修する予算計上が進むにつれ当初の改修計画が変更されたため、この区分は正式に使われなくなりました。近代化改修についても、主にレーダーや電子機器など搭載装備の更新であり、外観形状が大きく変わる改修でないことから、MSIP機における近代化改修の前後でも、外見上の差異はあまり見られません。
余談ですが、近代化改修機の更なる能力向上改修計画として、JSI(Japan Super Interceptor)と呼ばれる最新の近代化改修パッケージ化計画が、2018年度から現在も進行形で進められています。航空雑誌等ではこれらの改修機のことを纏めてF-15J改と呼んでおり、また、海外では「近代化」を意味する「modernized」の頭文字のMが付加されてF-15MJと呼ばれています。JSI改修の主な内容は、最新レーダーの換装、新型電子戦装置の搭載、ミッションコンピュータ・通信装置の大幅更新、長射程スタンドオフ兵器の運用能力付与により、F-15EXに近いレベルの対空・対地・対艦能力と生存性を得るとされています。

※出典はWikimedia Commons、米国空軍作成、パブリックドメイン扱い
製作代行におけるご依頼の仕上り程度は、TG(トライアルグレード:『飛行機模型 製作代行の案内』のグレード設定参照)ですが、製作方針のご要望と追加オプションとして、下記の市販アフターパーツ追加、及び追加工作を行います。
◆ご要望(キット内の選択事項を含む)
・風防は閉状態
・機体番号は82-8899
→第204飛行隊所属時期(白頭鷲の横顔/イーグルヘッド)
・ドロップタンク✕3
・スピードブレーキ閉状態
・駐機エンジン停止状態(エアインテイク:フラット状態、主翼エルロン下げ状態)
◆追加オプション(下記の市販アフターパーツの追加組込み)
・武装追加(1/72航空自衛隊 ミサイルセット/ファインモールド)
→AAM-3✕4発、AAM-4✕4発
・シートベルト(FineMolds NA8)の追加
・フォーメーションライト F-15用(FineMolds NA16)の追加
・機首AOAセンサーの金属パーツ置き換え工作

令和8年8月度(第1回)の進捗状況
では早速、製作のポイントを交え作業進捗状況を簡潔にまとめてみたいと思います。今回使用のキットは、ファインモールドから発売の1/72スケール 航空自衛隊 F-15J 戦闘機❝J-MSIP❞(近代化改修型)です。このキットは、新金型の2023年リリースで、J-MSIP仕様を再現した現用イーグルの最新版(2026年時点で)となっています。また、緻密なモールドで接合部分が目立ちにくく組立強度を考慮したパーツ割りが売りで、細部までの精密再現により細かいパーツが多く、従来の1/48スケール・キット並の再現度となっています。まさに1/72スケール・F-15Jにおける、国内外での決定版・キットとして存在感を醸していると言えます。

まずは、実機関連情報を資料本からお勉強
模型製作に欠かせないのが実機資料本ですね。色々な資料本が出回っていますが、模型製作において、スケールに適切な表現方法の検討や実機のディテールに関する確認のため、役に立ちそうな情報が掲載されている、下写真の資料本を活用してみたいと思います。


仮組み確認
本組み作業着手にあたり、組立説明書に一通り目を通し組立て手順や概要を頭に入れて、実際の作業手順をイメージしつつ、仕上り精度の確保のための補強箇所、及び塗装工程を考慮した後嵌め加工の箇所等の検討を行います。概ね検討の方針が定まったら、全パーツを切り出して仮組みを行いパーツ同士の隙間の有無、モールドのズレ等を確認し、完成時のイメージから逆追いして具体的な作業手順を再構築していきます。また、今回の依頼内容を鑑み、後の工程で支障が無いパーツに限りこの段階で接着固定しています。

仮組みを終えた感想ですが、なるほどキットメーカーが、細部までの精密再現と太鼓判を押すだけあってモールドやパーツは細かく、ナナニイとしてはパーツ数が多めですが、パーツの嵌合も良く、組んだ時の隙間も概ねありません。また、パーツ間の継ぎ目は、パネルラインに合わせた設計となっているので、継ぎ目消しの作業は少なくて済みそうですが、パーツ間の継ぎ目クリアランスにより発生する「線の太さ」の違いから、パーツ表面の繊細なモールド・パネルラインとのバランス調整を考慮する必要がありそうです。また、パーツ間等の継ぎ目における微妙な面の凹凸についても留意する必要があります。尚、ツイン垂直が、機体本体と一体となるパーツ構成となっているので、強度面では優れているものの、塗装工程で少々手間が掛かりそうなので注意が必要ですね。


仮組み確認からの気づき
仮組みから得られた見立て情報から、詳細な組立て工作の方法について検討していきます。本キットでは、機体内部を補強するようなパーツ形状を組込む設計となっており、そのパーツ重量から機首前輪式の航空機の模型において、よくあるバックヘヴィーによる尻餅にはなりませんでした。また、今回ウエポン類の装備での仕上りなので、念のために全てのウエポン類を装着して、全体のウエイトバランスに変化が生じないか確認を行いました。結果問題ありませんでした。

20mmバルカン砲のディテールアップ
細かいトコロからですが、本キットでは、省略されがちな機体内蔵の20mmバルカン砲の砲身がパーツ再現されており、機体側の射出口からチラリと見えます。ただし、キットパーツでは、砲口は再現されていないので、ピンバイスで0.3mmΦの孔を中心ズレしない様に注意しつつ開けます。

開口加工した20mmバルカン砲の砲身パーツを機体内部にセットし、仕上り状態を確認します。砲口を再現すると一見して20mmバルカン砲と分かる様になり、リアル感が出てきました。

水平尾翼の脱着・可動の加工
次に気づいたトコロは、水平尾翼の取付け方法です。キットでは、垂直尾翼と一体となったアウトリガー・パーツの開口部分に差込んで接着固定する構成となっており、実機の水平尾翼が軸回転にて動く構造から仕上りを考えると、軸部分のみで固定するのがベストになりますが、接着面が小さいことから、完成後の強度的に不安が残ります。因みに水平尾翼パーツの軸径は、2mmΦでした。

そこで、発想の転換です。つまり、水平尾翼は接着固定しないで、脱着・可動できる様に加工します。加工には、手持ちジャンクのポリキャップ(内径:2mmΦ、外径:4mmΦ)とプラパイプ(内径:4mmΦ、外径:6mmΦ)を使用します。

作業手順は、まず水平尾翼パーツの軸を垂直尾翼と一体となったアウトリガー・パーツの開口部分に差込んで仮組みし、ポリキャップを水平尾翼パーツの軸に通します。次に切り出したプラパイプをポリキャップに嵌め込みます。そして水平尾翼パーツが機体に対し水平になる位置で仮固定して、プラパイプと垂直尾翼と一体となったアウトリガー・パーツとを流し込み接着剤で固定します。

少し時間を置いて接着が完了したら、水平尾翼パーツとポリキャップを外し、垂直尾翼と一体となったアウトリガー・パーツを機体本体に合わせてプラパイプの干渉する部分をカットします。尚、プラパイプの干渉部分カットは、何度もパーツ合わせを行って少しづつ行います。

プラパイプのカット調整を終えたら、ポリキャップをプラパイプに嵌めてプラパイプから出っ張る部分をカットします。因みにプラパイプのカットを干渉するギリギリ部分のみ行ったので、ポリキャップの抜け止めを反対側のキット本体パーツ側が兼ねる構造となります。

全てパーツを再度仮組みして、水平尾翼パーツの脱着化と可動具合についてテストします。ポリキャップ効果にて、水平尾翼の抜け落ち防止と可動の両立が成立しました。
ミサイル類の取付け補強工作他
続いて、機体本体の本組立ての前に済まして置きたい搭載ミサイル・パーツの組立てと整形作業に入ります。別売りのミサイルセットから、90式空対空誘導弾(AAM-3)と99式空対空誘導弾(AAM-4)を各4発の計8発分を製作します。
まず、AAM-3ですが各部フィンと一体化した本体パーツと別パーツの前方フィン残り2枚の3パーツ構成となっていますので、各パーツを整形し接着します。尚、AAM-3パーツは、両主翼下面に懸架される落下式増槽用パイロンの両側に専用ラックを介して設置されるので、AAM-3パーツと専用ラック・パーツとの接続ポイントに銅線0.19mmΦで軸打ち補強を行います。

AAM-3パーツの後部面にロケットモーター用の開口をピンバイスで開けた後、スピンナーで開口底面を平坦に削って整えディテールアップします。

次にAAM-4ですが、各部フィン全てと本体が一体成形されているので、パーティングラインのみを消して整形します。尚、AAM-4パーツは、機体両側下面に直接設置され、かつ、キットパーツの接続ポイントと異なる位置で接続されることから、キットパーツの接続ポイントの凹部を埋める必要があります。凹部の断面は、三角形なので切り出した三角プラ棒にて埋めて整形します。(赤丸部)

AAM-3同様にAAM-4パーツの後部面にもロケットモーター用の開口をピンバイスで開けた後、スピンナーで開口底面を平坦に削って整えディテールアップします。

機体との接続ポイントの位置出しを行った上で、AAM-4パーツの接続ポイントに銅線0.19mmΦで軸打ち補強を行います。また、極小パーツのミサイル搭載用のマウントラッチにもピンバイスで貫通孔を開けて軸打ち銅線に通し、接続補強を行っています。あと、不要なキットパーツの凹部接続ポイント埋めて整形を終えたら作業完了です。

最後に落下式増槽の組立てです。キットパーツは、左右2パーツ割りで、凸モールドと一部凹モールドが彫刻されています。この形状では、パーツの継ぎ目処理に少々手間が掛かることが予想されます。また、パイロン・パーツと落下式増槽・パーツとの接続が緩いので、パイロン・パーツと落下式増槽・パーツの後部接点ポイントに銅線0.19mmΦで軸打ち補強を行いセンターズレ防止を行っています。

落下式増槽は、両面パーツをしっかり接着した後、パーツ継ぎ目部分に瞬間接着剤をパテ代わりに盛って、凸モールドを削らない様にマスキングテープで養生しながらヤスリで整形し、一部凹モールドで消えた部分の再生も行い全体を整えた後、仕上り確認のためサフを吹いて、不具合箇所の確認を行い、必要に応じ補修も行って作業完了です。

次月の作業予定
今月の作業は、仮組みを開始して上記解説以外の細かな箇所を含め各パーツの成形調整まで終えました。次月は機体各部の組立てとコクピット内の組立てと仕上げ作業に着手したいと思います。
・機体各部の組立て
・コクピット内の組立てと仕上げ
それでは、次月末まで、ごきげんよう。





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