2021/01/14 徒然コラム#02

徒然コラム

模型製作の“こり性”は作品で! ~こり(肩・首の)症の軽減姿勢とは~

 当サイトの主が、模型製作を通じて感じた事や気付いた事等について、思いつくままに書き綴る「徒然コラム」。第2弾のお題は「模型製作の“こり性”は作品で!」です。

 模型作品の展示会や個人Web上で、縮尺の非常に小さい作品や細部を忠実に再現した「凝った作品」を観ると、その技術の高さや知識の深さにしばしば感心してしまいます。そして、これらに触発され自分も挑戦したくなって、細部ディテールアップ等の細かい作業に夢中のあまり、あと少し、あともう少しと気が付いたら長時間経っていたなんて事よくあることではないでしょうか。そして翌日過ぎには首や肩(若しくは背中辺り)に何だか詰まったような重い違和感や痛みが・・・。そうです、これは「こり」の症状ですね。この「こり」症は一度発症すると軽度でも中々治りにくく、整骨院に通うか悪化すれば病院に通うこととなります。また、悲しいことに安静のため模型製作は暫くお預けとなります。昔通っていた整骨院の先生で絵画を描くことを趣味とされている方がおられまして、ある日、常連患者の方から「今も絵描かれていますか」との問いに、先生は「長年の肩こりがひどくて身体の調子が悪くなったので、もう絵を描くことをやめましたよ」と話されていたことを今も覚えています。人生の楽しみまで奪ってしまう「こり」症の罪深さを改めて感じた次第です。

 この手の「こり」の原因は、一般に同じ姿勢や眼精疲労によるものと考えられます。特に模型製作では身体の首や肩(若しくは背中)に多く現れるのではないでしょうか。私の場合は背中に多く、肩甲骨辺りを中心に悪化すると肩や首に広がっていく感じです。整骨院へ行って治療するも、しばらくすると再発を繰り返して限がありません。ですので、この「こり」の負のスパイラルから解放されるには、「こり」そのものを誘引する根本原因を見つけ出し、正しく対処するしか解決しないと考えました。この問題の解決に向けて長い期間の思考錯誤の末、一つの解決方法に行きつくことが出来きましたので、この場で紹介してみたいと思います。 

 まず、その糸口となったのは、模型製作とは関係の無い体験での自身の“気づき”からです。私は趣味でヴァイオリン演奏をやっているのですが、ご存知の通りヴァイオリンを弾くには、左手で持った楽器本体を顎に挟んで、右手に持った楽弓を楽器本体の弦の上に乗せて動かすことで弦を振動させて音を出します。同時に、曲を奏でるため左手を前後に動かしつつ4本弦を指で押さえ音程を取るのですが、最初は左手を自由に動かすためには楽器本体がブレたり、下がらない様に支える必要があり、顎で強く挟んで楽器本体を保持しなければならず、また低音弦を弾くためには右手全体を上方に上げる動作が必要となる等で首や肩に常に力が入ったままの状態から、練習が長時間に及ぶと同様に身体の首や肩に「こり」が発症し悩みの種となっていました。しかし、ご指導頂いた先生から「良い音」で弾くには、身体を脱力させる必要があると教えて頂きました。具体的には「やる気なく」弾く身体動作を行うことです。この言葉の意図するものは、気持ちまでやる気を失くすのではなく、あくまでイメージとして身体に「緩み」状態を作ることを目的とし、楽器を構える姿勢や演奏するのにも、身体動作を必要最小限に抑える省エネ化を体現出来るのかに尽きるということです。先述のヴァイオリンの弾き方をこの考えで補正すると、楽器本体は顎と鎖骨付近に置きブレ防止のために頭部の重さだけを利用して顎で押さえるに留め、楽器本体は左手で支える。両腕は肩骨格でその重さ支えつつ肩・腕関節を意識して動作に必要な最小限の筋肉のみで、やる気なく弾くことになります。この結果、その楽器が持つ本来の良い音が出せる様になると共に、この姿勢を維持出来ていれば、長時間の練習でも身体の首や肩の「こり」が軽減されて来たことに気が付きました。

 この“気づき”から普段の生活で如何に不要に部分的な筋肉の「力み」を無意識に行っているか思い知らされました。同時に意識的に身体の筋肉の動きをコントロールすることで、「こり」を抑制できる可能性についても知りました。最後に模型製作における肩・首の「こり」症への軽減に向けた姿勢についてまとめさせて頂き、このコラムの結論として「こり(肩・首の)症の根本原因は姿勢に在り」という考えを提言致します。

【「こり」症の軽減姿勢】
①:まず、腰をやや曲げて椅子に座り、両手は両膝の上に置き脱力しつつ背筋を伸ばします。この時、顎は軽く引くと良いでしょう。
②:背筋を伸ばすイメージは、頭のてっぺんに輪が付いていると想像して、更にその輪に付いている紐が上方に引き上げられて腰から上の上体が吊られて伸びている状態として下さい。この時の注意点として、上体に釣られて腰を反らさない様に(腰はやや曲げたままを維持)。
③:姿勢が出来ているかどうかの確認方法には、協力者が一人必要となります。協力者は、椅子に座ったあなたの背後に立って、あなたの両肩の上へ両手を置いてもらいます。その態勢のまま、協力者は自身の体重をあなたの両肩へ鉛直方向に均等に掛けてもらいます。その時、あなたの上体の骨格(特に背骨)が前後・左右へたわまずに協力者からの荷重が、あなたの身体を通して椅子の座面へ伝われば成功です。
④:実際の作業を行う場合は、上記の姿勢を維持して首から肩へ繋がる筋肉(寒い時や重い物を持上げる時に無意識に反応する)を意識的に使わない様にして、両腕の支持は肩骨格や肩関節に任せます(肩の形をなで肩にするイメージ)。細かい作業で下向きや両肘を机上に付く姿勢の場合もこの筋肉は、無意識に不要な力が入りやすいので、首・肩廻りの脱力コントロールが習得出来るまで、いつも注意し続ける必要があります。

 良い姿勢を身に着けて末永く模型製作の趣味を続けて行きたいものです。

以上

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