2020/12/30 徒然コラム#01

徒然コラム

模型製作における器用さとは何か? ~器用なのは手先?それとも・・・~

 当サイトの主が、模型製作を通じて感じた事や気付いた事等について、思いつくままに書き綴る「徒然コラム」。第1弾のお題は「模型製作における器用さとは何か?」です。

 他人が作った非常に高い完成度の作品を観て、「どうやったら、こんな作品が作れるのだろうか?」とか、「自分もこんな完成度の高い作品を作れる様になりたい!」とか思うこともあるのではないでしょうか。私も幼少の頃、自宅近くの模型店(昔は身近に模型店が多く在りました)のショーウインドウに飾られた大人の方が器用に作られた素晴らしい完成度の作品群を観て、身の程知らずにも「いつか上達して肩を並べてやるぞ!」なんて息巻いていたことを今も覚えています。

 一般に精密な模型を作ることが出来る人をよく「手先が器用」と言いますが、言葉通り手先が器用に精密かつ正確に動くだけで上手に模型を作れるのでしょうか。同様に伝統工芸などでは神業的な技術で線や絵を描かれる人がおられ、その作業を観ていると手先を器用に動かし正確無比に道具を操ってみるみるうちに仕上がって行くのをよく映像等で目にします。では模型製作での手先の訓練は、何にポイントを絞ってどう鍛えれば良いのでしょうか。現代ではインターネット情報や数多く出版されているハウツー専門書等が容易に手に入る便利な時代になり、誰もが模型製作に関する技法・技術の詳細については知ることが出来るようになりましたが、これに伴う手先の訓練に関する詳細はほぼ皆無(当サイト含め)と思います。よって、これらから欲しい情報を得ても意外と知りたい部分が省略されたり、説明通りにやって見たものの期待通り出来なかったりと、結局「自分は手先が不器用だから無理」と諦めるしかないことも多いのではないでしょうか。

 少し視点を変えて自身の体験談です。私は設計関連の職業を長らく続けていることで、いつしか「設計とはあらゆる部分への気配りに尽きる」という考えに至りました。これは設計に対する心構えとして、現場作業に入ってから問題無く完成させることが出来るために、設計内容を常にシンプル化する創意・工夫を行うことを積極的に試行錯誤することで得た”気づき”なのです。これに至れたのは若い頃に先輩技師達から現場作業へ極度に高い精度を求めたり、困難な工作手順を用いないと成立しない設計は下の下であり、難易度が高いものでも設計内容が整理され、また設計内容には熟考された適切な工法・手順が反映されれば、無理なく達成出来るのだと厳しく指導を受けたことに依るものです。この積み重ねのおかげで、難しい設計も発想の転換に基づくアイデアや、色々な工夫の組合せにより無理なく明快に解くことが出来るようになってきました。更に現場作業の完成までの進捗状況をモニタリングし、設計内容での首尾・不首尾を確認することで後の設計にもフィードバック補正を加える等で経験・知識の引出し数を増やすことが出来、これがまた設計に対する自信にも繋がりました。

 この体験から自身を振返って観ると、この「設計とはあらゆる部分への気配りに尽きる」の思考は、実に私の模型製作での技術力向上へ大きく影響を与えてくれています。模型製作に置換えるならば、頭の中で完成イメージを可能な限り明確にして、それに向けての作業手順を構築し、かつそれぞれの部分作業の内容を単純化しつつ、自分の技量レベルに合った工作内容へ咀嚼することで、比較的安易で効果的な工作を行うことが出来る道筋を立てる「自分への気配り」を行うことになります。よって、この「思考の設計」に実現性や理に適う部分が多ければ多い程、望む”器用な作品”を作ることが出来る可能性が高まります。つまり、この「思考の設計」こそが「器用さ」の本質・根源であり、このコラムの結論として「器用なのは思考に在り」という考えを提言致します。ですので、この「思考の設計」が出来るようになれば、後から追って来るように自ずと自分の手先へ必要な鍛錬について解る様になって来ます。後は効果的な鍛錬方法に関するヒント情報(身の周りやネット上で転がっているが、注意しないと見つけられないことが多い)の収集に力を注ぎ、模型製作を通じて狙いを定め根気よく試行錯誤を繰り返すことです。

以上

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