2021/04/23 徒然コラム#04

徒然コラム

飛行機模型のウェザリング考 ~“効果的な汚し”と“実際的な汚し”の違い~

 当サイトの主が、模型製作を通じて感じた事や気付いた事等について、思いつくままに書き綴る「徒然コラム」。第4弾のお題は「飛行機模型のウェザリング考」です。

 毎度の奇妙なタイトルでお話を始めますが、今回もお付き合いの程よろしくお願いします。早速ですが飛行機模型に限らず、スケールモデルにおける広いジャンルでは、模型製作過程における最終の仕上げ段階でリアル感や存在感を持たせる最も効果的な表現法の一つとして、ウェザリング(汚れ等の表現)技法が知られています。一般にウェザリング技法は大きく分けて2つのアプローチがあり、ドライブラシ、ウォッシング、チッピング、スペックリング等に代表される塗料を部分的に上塗りする「添加法」と、金属下地露出の銀ハゲ、冬季迷彩の塗装ハゲ等の塗装工程の中塗りとなる基本塗装の上に剥離剤等を塗布し、その後上塗り乾燥後に部分的に剥がす「剥離法」があります。前者は修正・補修が比較的容易である反面、筆やエアブラシ等を用いて絵画的・疑似的に現象を表現するため、如何にも描いていますの不自然感を無くす絵心が必要であるに対し、後者は実機と同じ現象を再現するため非常にリアル感が出るものの、失敗したりやり過ぎたりするとその補修に多大な労力を必要とするリスクが伴います。   

 ウェザリングは、実際の車両や機体等の実物や写真から汚れ具合を観察し再現することが、より本物らしくなると考えるのが一般的ですが、この「実際的な汚し」をそっくりそのまま模型作品へに反映して、結果汚い仕上がりとなる、所謂「やりすぎ表現」のご経験を持たれた方もおられると思います。この現象は実際実物の車両や機体等は、その汚れの発生源なる場所に置いてあり、かつ周囲になじんでいるため汚れそのものが強調されないことに起因し発生すると考えます。つまり模型作品へこの「実際的な汚し」を行うと、部分的に観るとリアルなのですが、俯瞰して全体を観るときれいな机上やショーケース内との相対比較効果で汚れ表現が非常に目立つことになるため、結果的に「汚く見える」ことになるのです。ですので、ウェザリングは、実際の汚れ具合から手加減を加えて適切に調整することで「効果的な汚し」とすることが出来ると考えます。

 イメージで例えるなら、店頭に並べられた野菜の「大根」について。畑から引き抜いたばかりの大根は、自然でリアルな汚れ感はあるものの土にまみれて汚く見えます。次に、この土まみれ大根を簡易的に水洗いして白いみずみずしい肌が現れ、しかし表面の窪み等に少し土汚れが残っている状態で見ると、自然で新鮮な印象を持ち合わせつつ畑の土の中で育った感も出てきます。更に、これをたわし等を用いてきれいに水洗いし、そのまま調理できる状態にすると、知識が無ければ大根が土の中で育つ野菜であることも想像出来なくなる単なる「食材」になってしまう事でしょうか。このイメージ例を模型作品へ施すウェザリングに置き換えると、「リアルな汚し」は、畑から引き抜いたばかりの大根の状態。「効果的な汚し」は、簡易的に水洗いした大根の状態。そして、きれいに水洗いした大根は、基本塗装を終えた状態に見立てられることになるでしょうか。 

 実際に運用されている現物の飛行機は、その完成時に外観を美しく仕上げられていますが、過酷な使用環境の中で発生する汚れをまとうことで、ある種の機能的な美しさ「小綺麗で使い込まれているも健全で整備が良く行き届いている状態」から、存在感や凄味が醸し出されています。これをウェザリング技法を用いて模型作品で再現する観点で、このコラムの結論として「“実際的な汚し”を低減化し調整することで“効果的な汚し”に置き換わり、模型映えするリアル感と存在感を表現することが出来る」という考えを提言致します。上記を踏まえてウェザリング技法の本質を一言で例えるならば、「お化粧」感覚になるでしょうか・・・。

以上

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