ノースアメリカン P-51D「マスタング」~シルバーフィニッシュ~ 製作記まとめ(主に工作編)
前回で機体胴体パーツの接合接着から塗装工程とデカール貼まで一気に解説して、完成させてしまいましたが、今回では、前回の補足として、もう少し詳細に解説してみます。それでは各工程の解説です。
【補足】機体胴体の継ぎ目消し
左右の胴体パーツを接合接着後、パーツ接合部分の継ぎ目処理工程に入ります。継ぎ目処理には、瞬間接着剤(低粘度タイプ)を使用して、パーツの継ぎ目部分に塗布して硬化後、金属ヤスリで荒削り、スポンジヤスリで番手を変えて研磨し表面を整えます。
パーツ継ぎ目処理部分は、切削により当然鍍金コートは剥げますが、その範囲を必要最小限に留める目的で作業に入る前に、鍍金面を保護するマスキングテープをパネルラインに沿って貼ります。
前回同様にこの後極薄金属シートを貼りますので、そのプラ下地をしっかり平滑に作るためにスポンジヤスリの番手を#2000→#4000→#6000→#8000→#10000の順に水研ぎして仕上げます。
【補足】主翼の接着面のメッキ削りと接着・補強
前回でも述べましたが、鍍金でコーティングされているプラパーツは、溶剤系プラ専用の接着材が使えませんので、接着する部分・面の鍍金コートをヤスリ等を用いて表面切削して除去した後、溶剤系プラ専用接着材で接着します。
主翼の各パーツについて、機体胴体に主翼下面パーツを先行して接着してから、上面パーツを接着する工程を取るため、機体胴体へ仮組み確認を行い主翼下面パーツの接着位置を決めます。因みに流石タミヤのキット、機体胴体と主翼の接続部であるフィレット部に隙間なくピッタリフィットします。
主翼パーツについて、タミヤの最近の金型キットと違って古いキットでは、上下パーツ間は空洞となる所謂、モナカ構造となっており、主翼面の上下を指で挟んで力を加えるとベコベコして、最後には主翼の上下パーツ接着ライン上に割れが生じてしまいます。
ですので、これを防止する目的で、主翼内部に詰め物を入れて補強します。補強方法は、主翼下面パーツ内側に団子状にしたエポキシパテを分散配置して、その上から主翼上面パーツを挟み込み、密着させて主翼上下面パーツを溶剤系プラ専用の接着材(流し込みタイプ)にて接着します。尚、エポキシパテが硬化後に剥離しない様に各主翼パーツの裏面は、事前にスポンジヤスリ等で鍍金剥がして表面を荒らしておきます。
【補足】機体胴体と主翼の極薄金属シート貼り
下写真は、今回使用する極薄金属シートで、アメリカ・メーカーの製品「ベア・メタル」です。この商品は、極薄粘着シートに金属箔を貼付けたもので、コンパウンドや水研ぎサンドペパー等で研磨が可能な優れモノです。また、プラ表面のモールドにも馴染むと共に、ある程度の曲面にも追従することができます。因みに今回は、単調化を避けるためテクスチャーの異なる3種類「マット・アルミニウム」、「ウルトラ・ブライト・クローム」、「ニュー・インプローブド・クローム」を使用しました。
「ベア・メタル」は、機体にモールドされているパネル毎に分けて貼ります。ですので、当該パネルより大き目になる様にカッターナイフで切り出して貼った後、パネルラインに沿ってカッターナイフの刃を入れて余分なシート部分を切り出し除去します。この作業をパーツ継ぎ目処理部分、及び鍍金コートが劣化して剥げた部分にも行ってメッキ感を回復します。
因みにキット鍍金コートの剥げ防止のため、持ち手となる指が触れる箇所は、下写真の様にサランラップを巻いておくと良いでしょう。
【補足】塗装工程とデカール貼
「ベア・メタル」貼りの作業が終わったので塗装工程に入ります。今回の塗装工程において、メッキ面や「ベア・メタル」面に塗装することになりますが、そのままの塗装ですと塗膜は、マスキングテープでも簡単に剥離してしまいます。よって、下塗り塗装でプライマー塗布が必要となります。今回使用するプライマー選定において、最も強力な市販商品は、ガイヤのマルチプライマー・アドバンスで、原液使用の場合、塗膜はマスキングテープの粘着力にも十分耐えます。ですが、エアブラシにて使用する場合は、若干希釈しないと塗装しにくい様ですので、最低限の塗膜強度を確保出来る様、溶剤の添加量に気を付けて、希釈し過ぎないように注意する必要があります。
塗装が必要な箇所にマスキングテープ等でマスクした後、プライマー塗布して塗装を行います。今回塗装を行った箇所は、コクピット外部(黒色系)、機首上面の防眩部分(オリーブドラブ)、主脚格納内部(機内色)、尾翼方向舵部分(シルバー色系)、そして機首ストライプ部分のスケ防止下地(黄色系)です。因みに今回の機体マーキングは、ブルーノーズではなく赤色と黄色のストライプです。
機首ストライプ部分のスケ防止下地の範囲設定について、今回キット付属のデカールを使用しますので、デカールを普通紙にコピーして、機首ストライプ部分の裏にマスキングテープを2枚重ねて貼って、カッターナイフ等で切り出すとデカールと同じ大きさのマスキングテープが作れますので、これをキットの機首に貼って下地範囲を決めてやります。この後、細切りマスキングテープを下地範囲マスキングに沿って貼って位置決めが出来たら、下地範囲マスキングテープを除去して作業完了です。
小物類を含めて塗装工程を終えたら、各部を組み付けて機体を組立てます。因みに今回も駐機状態なので、主輪カバーは、閉状態にしています。
尚、この後の工程として、機体各部へのデカール貼りを行い十分乾燥した後、金属用のクリアー塗料を全体に吹いてクリアーコートしますので、この工程を考慮した各部パーツの接着順序を考える必要があります。今回の後取り付け対象は、キャノピー天蓋部分、排気管、落下式増槽、ピトー管(主翼下面)が該当します。
機体各部へのデカール貼り作業が完了しました。この後、デカールの乾燥を待って金属用のクリアー塗料を全体に吹いてクリアーコートし、残りの小物類を機体に取り付け接着して完成です。
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